Scientific Boxing

国内、海外のボクシング界の状況や試合の観戦記などを絶対的主観で書き綴るブログ

観戦記~WBAスーパーミドル級~

2010年06月23日 | BOXING

王者:アンドレ・ウォード vs 挑戦者:アラン・グリーン
試合結果:ウォード判定勝ち

●所見~ウォードの場合~
この日はジャブのインパクトに肩をグッと入れ単発に打ったが相手のパワフルなプレスの出鼻を挫こうと
の意図があったのだろう。
ジャブに力を入れて打つと初動作にモーションが生まれ、往のスピードも下がる事によりクロスカウンター
を食う危険性がある。
例としては葛西氏がW・バスケスに痛烈な右クロスを食った様な感じ。
しかしこの選手は元々のスピードがあるので力加減で鈍る事はなく、また、打つ時は肩を上げ気味で
首も竦めていて攻防一体にもなっている。
右脚の使い方が特徴的で膝の動きを見ると曲げ具合でシフトウェイトしていると思われる。
F・トリニダードはフットワークの際、前の左膝から下でリズムを取り、左フックの体勢を作ったが、
この選手は右膝の微少な屈伸で自身の距離を作り、相手の距離感を乱している様にも見える。
メイウェザーの様にスウェイしてすかさずリターンする程のものは無いが、膝の曲げで上体の前後位置
を変え、スウェイの変わりとなり、その時、軸はブレないので攻撃態勢も崩れない事にもなっている。

自ら接近戦に入った意図は判らないが、完全なクロスレンジだった事が功を奏したと思われる。
ショートレンジでは相手のアッパーを含むコンビを打たれる危険は残るが、クロスレンジは胸が密着
する程なので相手のパンチも限られる。
当然に自身のパンチもが限られるが主導権を握る分優位となり、得意であればもっと優位となる。
vsハグラーⅠのV・アンツォフェルモは超接近戦で相手の長いリーチを持て余させ、グダグダのドロー
に持ち込んだ。
クロスレンジで主導権を取るには基本的にしつこい性格であり、押し相撲に強く、リーチが長過ぎず、
そして汗の臭いに耐える鼻を持つ事。
なお、被弾を極端に恐れる必要は無い。
何故なら打たせない為のクロスレンジだから。

●所見~グリーンの場合~
スピーディなテクニシャンに相対すると動きが止まるとよく言われるがこの試合もその傾向が大きかった。
パワー、スピード、連打と、もっと良いのだろうが、全て相手に封じ込まれ、それにより自らをも封じ
込めざるを得ない状況に追い込まれた様だ。
接近戦でロープを背にした状態でレバーに左フックを打つ為の首を入れ替えるアクションの際に打ち
込まれていたが、これは相撲で見られるマワシを取る為、腕を入れ替え様とした際に寄られるものと
同様で、瞬間的な呼吸を読まれている。
攻め手が無い場合は数少ないチャンスを捉える事が重要となり、そのチャンスは中盤に相手がたった
1回スイッチした時と思えてならない。
が、何ひとつしなかった。

世界戦において消極的戦法の選手は過去にも多く見られたが、私が観た中のワーストはvsT・ノリス
のP・ベイデンで、彼はアマ戦績が素晴らしく、無敗で世界王者になった経緯から評判は頗る良く、
「 ノリス危うし 」 の声もあったが、いざ試合になると打たないわ打つ気も無いわの貝ガード一辺倒で、
期待が大きかっただけにガッカリ。
また、パンチ打たない部分に視点を置くならば、過去にボクシングマガジンでC級王者C・デレオンの
防衛戦の相手が12R通し打ったパンチ ( 軽いのを含む ) が10発程度とかの信じられない記事が
載っていたがそれが本当ならばそれはそれで驚異的な事とも思うが。

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