ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

鈴木デイヴ「馬と子どもとおっさんと」第9話

2013-10-22 00:46:08 | ぼくらのありのまま記
第9話 「帰る場所というか拠りどころになればいい」
前回まではこちら

今日はおっさんが馬を使って
こどもにどんな場所を提供したいのか。っていう話し。



よろしくねん

デイヴ
俺は持続可能なシステムを作りたい。
それは相模原でもすごく思ってて、
ほんとにブツブツになって
子どもたちが苦しんでるのが・・・

たら  
ブツブツって何?

デイヴ 
相模原は俺たちの前は
菊池さんって人が場長だったのね。

たら  
あ、人が?

デイヴ 
人が変わると全然違う原理で
動かそうとしちゃうのがストレスだったな。
「この人なんだから違うんだよ」から始めようとする。
それって受益者に対してすごく不誠実だと俺は思ってる。

たら  
ハーモニィらしさもあるけど、
ねぎちゃんらしさ菊池さんらしさ、
人のカラーを大事にしようってなってるんだ?


デイヴ 
そうそうそう。
だから個人事業主の集まりみたいなさ。
チームであって特色を生かすっていうのは大切。
ただ、全く違う原理で動くのは違うでしょ。
例えばハーモニィって、相模原でハーモニィを好きになった人が
牧場に行ったら全く違うものが提供されちゃってて。
それはある程度しょうがない。
「やっぱりハーモニィだからここは変わらないのね」 
っていうものを匂わせながらそれを提供するのと、
「いや、ここはここなんだから」っていうのとでは集客度が違う。
こっちにもこっちに行く人がいっぱいいる方が企業として有益でしょ。


たら  
デイヴのいう持続可能なシステムっていうのは、
つまり、人や場所が変わっても、子ども達に同じ質の楽しさを
提供したいってことだよね?
 


デイヴ 
そうそうそう。でも実際あたろうが
蓼科行って蓼科らしいことできないじゃん。
だから全く一緒のものが継続できる
とは思わないけど、揃えることで
統一感が出るってことなんだよね。
それに、人が変わって変えてくにあたっても、
3年かけて変えてこうよって。
「この人が来たからこの人のやり方で行きましょう」
じゃなくて、1年くらいかけて前の人に合わせたことを
まずやってみて、2年目でちょっと変えてみて、
3年目でまたちょっと変えるとこで
子どもだって受け止めやすいじゃん、っていうこと。


「俺だって受け止めやすかったよ~。(想像)」東北!!


たら  
相模原でそんなことを思ってたんだね。

デイヴ 
そう。事務局に移動だって、 
全然行きたくなかったよ。
相模にもう1年いたかったんだもん。
本気で。あと1年いれば、相模でやってるいろんな
子ども相手のプログラムで集客してくっていうものが
俺がいなくてもできるようになると思ってたのね。

たら  
あー、持続可能なシステムができそうだったんだ。
それがブツブツっと切れたってことね。




デイヴ 
そのときは俺の流れを続けたいからって
踏ん張ってくれてたのが2人いて、
でも気持ちの持っていき方が難しい。
まだ20代前半だから。
「まあまあ合わせて上手くやりますよ。」
って言うのがまだ言えない。
一生懸命やろうと思ってる時に上の都合で事が変わって
「え、なんだかわからない」っていうことで足元が
すくわれちゃうのが残念だったんだよ。
1番大切にしてるのは子どもだから。
    
子どもは「今までと変わらないものが欲しかったのに」
って言う権利があると思うから、
それが壊されちゃうのはつまんねえなって。
3年やってぶち壊されて、
また3年やってぶち壊されてやるんだったら、
一生懸命構築する気持ちが
なくなっていくかなっていうのはあったかな。

たら  
なんかいいことではあるけどさ、相模の子たちが今でも
デイヴのところに遊びに来たりするじゃん?
ほんとはそうじゃなくて、相模に居場所があればいいんでしょ

デイヴ  
うん、そういうこと。それが理想。
俺にとって子どもがどういう思いでハーモニィとか
俺のもとに来てほしいかっていうと
帰る場所というか拠りどころになればいいと思っていて、
「ここに来るまで我慢しよう」とか、
「ここに来たからすっきりした」とかいう風な場所でいたい訳さ。



たら   
ああ、日々の生活つまんないなっていう。
でも、デイヴがいる牧場に来たら・・・

デイヴ  
俺じゃなくていいの。
「この馬がいるから」でいい訳。
「あたろうがいるから」でいいし、
「牧場が好きだから」でいいし。



あたろう。スコップ団であたろうが今の仲間と知り合い、牧場をつくって。ボランティアでデイヴも通ってたんだって。

デイヴ
とにかく俺たちが作ってる空間に来てくれる。
それで心が救われる、
ちょっとゆとりができる、それで帰る。
それで普段の生活ががんばれる。
それが大人の単純な事情でどんどん変わっていくのが
許せなかったりするわけ。

たら  
がっかりしちゃったんだ?
大人の事情でどんどん人が変わって、
雰囲気とかもがらっと変わって。
子どもがとまどっているのをみて。

デイヴ 
まぁ、そうだね。


たら  
で、辞めて5年も普通のサラリーマンやってたの?

今日はここまで。
読んでくれてありがとうございます。

今日の感想。
「それで普段の生活がんばれる」
これってサービス業において、
もう普遍的な価値なんじゃないかな。





きれいな空も。青い海も。コーヒーも、音楽も。
ポニーもデイヴも。お鮨だって。
すごい感動は提供できなかったとしても
「さ、明日もがんばっぺ」と思ってもらえるように。
きっとみんなで共有しているはずの気持ちと、理不尽な移動と。
もう色々、問題は複雑で。笑
「まあまあ合わせて、上手くやりますよ」
きっと一番上手く言えなかったのはデイヴなんだろうな。
僕もすごく苦手だから。かといって僕は貫きたいこともないんだけど。

理不尽な人事異動なんて、
生きていたらみんな経験しているんじゃないだろうか。
子どもの頃だって、大切な約束をお父さんの都合で
だいなしにされちゃうことも沢山あるし。

大人は「そんなに言うなら、テメーでおやりなさいよ」と言われるし
子どもは「いやなら、出て行きなさい。」とお母さんに言われるし。
理不尽は社会の構造に組み込まれているんだろうね。


戦う?逃げる?とりあえず我慢?それでもdothebest?
ちなみに僕は今は、逃げています。逃げながら耐性をつくりつつ
って感じですかね。
みんなどうやって対処しながら生きているんですか?
よかったら教えてください。arinomamaki@gmail.com


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