ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

「好きでやってるから。」と「試合に、どうしても勝ちたい!」の両立。

2017-09-30 23:25:51 | 東京日記
フェイスブックのトップページの画像を変えた。

出張握りや、社員食堂labでの予定をいれた。



好きなネタを好きな値段で売る。

「基本は、儲けなくてもいい」と考えている。


今は、遊びだからいい。
それは、稼げないことから、
逃げているわけではなくて。
自分の中で「ほんとうに好きなことか?」と、
確かめる時間にしたいから。


野球選手もサッカー選手も、
DJ、ダンサー、シンガー。
なんでもいい。


みんな、プロじゃなかった時代があるはずだ。
サッカー少年や野球少年だった人たちがプロになっていく。
楽しくて、楽しくて、ただ歌っているのが、楽しくって!!
という時期があったはずだ。

中には、そうじゃない人もいるだろうけれど。


僕はといえば、、、、ずっとプロだった。
大学生のころ勤めたバイト先が鮨屋で楽しそうだなと思って。
卒業してからそのまま見習いになった。
見習いの頃からお金をもらって。
僕は小笠原諸島で育って、買い物する場所がそもそもない島だから。
あんまり物欲もなく。なんとなく、お金が少なくても、
「あー、生活苦しいな、、、」と思う時期は一度もなくて。

なんとなく仕事してお金もらって生きて来れた。

(25〜6歳の時、鮨屋の近くの居酒屋で働いていた西川さんは、
毎月毎月給料3日前になると、ほんとうに400円くらいしか
残らない生活をしていて。まじか!!!こんな人もいるのかと思った。)

だから、
日が暮れるまで、サッカーボール蹴り続けてたよー。と
無邪気に鮨で遊んでいた時期がない。

今までも、遊びの鮨会は、
たまにはやっていたけれど、それは、
人と仲良くなりたいとか、目立ちたいとか。
そんな、理由があってのことだ。

お金のためでもなく、誰かのためでもなく。
なんの理由もなく、ただ、握りたいから握る。
「やっべー、超美味しそうなブリ見つけちゃって、
どうしても握りてぇなー!!」
みたいな時間を過ごしてみたくなったのだ。
(そう思ったということは、もう、ちゃんと好きなのかもしれないのかなぁ。)


さすがにギター一本のストリートフリーライブみたいに、
無料でやっていたら、あっという間に、お金が尽きるので、、、
それは、しない。続けていけるお金は残す。
今日は車海老一本1100円とかね。
今日は毛ガニが1匹12000円もした笑。
250mlで4500円もする15年熟成のバルサミコ酢を買ってみたり(笑)。
やっぱりそれは、お金がないと、買えないものだから。


「そんなんで、何が残るんだよ、、、。大丈夫なの???」

それは、絶対に大丈夫だ。
というか、お金は残らないけれど、
その他は、実際には、残るものだらけだ。


鮨を通じて、
同じ時間を過ごしたお客さん、、、というよりは、
「美味しいもの好きな仲間」ができて、
(不思議と毎月毎月、出会えてよかったなぁと、
心から思える、新たな出会いがあるんだよー!!)
経験と信用はたまる一方だ。

逆に、お金も貯まらなくて、経験と信用さえもたまらないようならば、
この先、鮨職人として生きるのはどっちにしても無理だからねー。

ジ、エンド。



「儲けなくていい」という「遊び」だけれど、
「経験」と「信用」は本気で集めている。

集めているというと、「経験」と「信用」を
集めるためにやっている感がでちゃうなー。
ことばは、ほんとうに難しい。そして、書いていると
すっきりしてくるね。

経験とか、信用とかさえそれもとっぱらっても、
「好きでやってるから、ひとりでもやるよ」と本当は思いたいんだけれど。

そもそも、人にウケたくてやってるし、
実際には、お客さんが食べてくれないと、
魚捨てることになるからね、、、、。
だから、人に来てもらわないとどうしようもない、、、。
そもそも魚に旨い!!で「すし」だから、
「おいしい!!」と言ってもらえない鮨は、その人にとっては鮨じゃないから。
(自分にとっては鮨かもしれないけどねー。)

あ、そうそう。「好きでやってる」だけじゃなくて。
「うまくなりたい」って気持ちもあるのよ。
下手なままじゃあ嫌なわけだから、そう考えるとやっぱり

「おいしい!!」という「信用」が集まらなければ、意味ないのか。

あれだ!!
「好きでやってる」という気持ちと
「試合するからには、どうしても勝ちたい!!!」
その両方が必要なんだ。

それは、お金とは,関係ないところのものだから、
まぁそうなれば自然と「信用」は貯まる仕組みか!!

納得。あとは、そしたら、お金ってなんだ。とうやって稼ぐんだ???
と言う問題は残る。まぁそれは、得意な人に聞いていけばいいや。

ということで、いつまでやるかわからないけど、
とにかく鮨で、遊びましょ。

ゆるいけど、試合だし、遊びだけど本気だし。
こんな場所や時間は、このキッチリ、ガチガチの東京で、
そして、自分自身の人生の中でも、なかなかないよー笑。


ミツカンミュージアムで地方創生とカルチャーのあるべき姿をみた。

2017-09-29 19:01:28 | ありのまま記 一話完結編。



とにかく、めちゃテンションあがるミュージアムだった。

お酢の概要とミツカンの歴史を聞いて来ました。


もともと日本酒を作っていた会社が、江戸時代に、酒粕が余るので、
「それで何かできないか?」と始めたのがお酢事業。


もともとお酢は、お米からつくるのが定番の世の中で、ミツカンは、余り物の酒粕から、つくりはじめた。

いらないもの、余り物から、生み出した赤酢。

名前は「山吹」


使う道具は変われど、製法は昔のまま、代々受け継がれているお酢。




酢飯にすると、山吹色になることから、この名前がついた。ミツカンのすごいところは、余り物からなにかをつくったところではない。


名古屋の知多半田という小さな町でつくる、山吹で、江戸の鮨屋を、そして鮨屋を通して江戸の住民を熱狂させたことが、その価値なんだと思う。
今なお高級店の鮨屋では赤酢を使う店もたくさんあるように、今なお根付く赤酢カルチャーを創り出したところだ。


ドラッカーのいう、顧客の創造を思い出した。

それまで、日本でお酢と言えば米酢。
江戸の鮨屋も例外なく米酢を使っていた。



その中で「赤酢は鮨に合う。香りも味も米酢にないものがある」
と気がつき、船で当時は1〜2週間かかる道のりをかけて、江戸に乗り込み、営業をかけまくったのだ。


捨てていたものから作り上げた山吹を、2週間かけて江戸に行き、鮨屋に売り込み歩く。そして、雇用、産業、カルチャーを根付かせたミツカンは、本当にすごいなと思った。



「熱狂」から「カルチャー」として根付き、やがて「伝統」となる。
ものづくりの、そして、地方創生、料理、食べることに関わる仕事、全てに通じるあるべき姿が、ミツカンにはあると思った。






そして、今も発酵食品企業の第一線を、突っぱしるミツカン。王道を突き進みながらも、企業理念は「変革と挑戦」を貫き変わり続けるミツカン。

とっても好きになっちゃいました。





例えば音楽でも、
ロックンロールやヒップホップ、レゲエ、新しい音楽が、一部の人たちの熱狂から、
はじめにそれを生み出した人が死んでも、
カルチャーとして根付き、続いていくとやがてクラシックとして根付いていく。


そして、2017に生きる僕は、何を受け継ぎ、これから、誰と、何を伝えていけるのだろうか。



「熱狂」「魅了」「カルチャー」
そんなキーワードが頭の中をぐるぐるまわっている。


アートディレクションもとっても素敵だったし、こういうお金の使い方はとってもいいなと思った。

ということで、ミツカンミュージアム、とってもよかったです。
ありがとうございましたっ!!









発酵にキュンときている。

2017-09-27 12:07:20 | 東京日記

「やっとここまで来たか」感がすごい。

気がついたら今まで、人と魚と海ばかり見てきた。

ここにきて発酵にキュンキュンきている。
「発酵の技法」という本にわくわくしまくり。

「私は単に食品を愛する「大地へ帰れ」主義の何でも屋」という肩書きがまずおもしろい。


酢飯の酢、醤油、発酵食品無しにしては成り立たない「鮨」なのに、僕は海ばかり見ていた。

そのおかげで、市場に並ぶ魚は、見て触れば、だいたい味の想像はつくようになった。


しかし、お酢はどうだろう。

色や見た目の違いはわかる。飲んだ違いも、なんとなくわかる。しかし、なぜ、そうなったのか。がわからない。

「今年のお酢は、ずいぶんといいじゃないか」ということはまずわからない。




なぜAの方が甘いのか。
なぜBの色は濃いのか。
なぜ同じ米酢なのに、飴色もあるし、淡い色のものもあるのか。

その違いを知る上で大切なことが、発酵なのだ。



唐桑で牡蠣を育てるために植樹の活動をしている畠山さんたちの「森は海の恋人」活動のように。

鮨も、米や大豆、山のものがないと成り立たない。

海の魚と、山の米をつなぐ、 鮨という食べ物があって。にぎり1貫で、海の山の世界観が伝えることができるのかぁ。と思うと、めっちかゃ面白い。



あれよ、豪華なお刺身の盛り付けで、
山から里に流れる川を見たて、
自然の暮らしを表現することから、
刺し盛りのことを「里をつくる」で
「お造里」(おつくり)と呼んだりするけれど。


鮨はにぎり一貫で、お造理の世界観つくれちゃうじゃん!!

そんなことを考えると同じ鮨でも、全く違う景色が広がりますなぁ。いよいよここまでくると「フェティッシュの世界にようこそ!」という感じですなぁ。



そして、鮨において、海と山をつないでいるのは、「発酵」なのだ。これは発酵について知ってることがないので説明できないだけれど。根拠のない自信みたいなものがある。




そこにたどり着いた先は、道に迷ってやみくもにごちゃごちゃ進んでいたら、いつの間にか本線に戻ってきたような景色が見えるはずで。
こんなはちゃめちゃな生き方だけれど、
クラシックなことができるような気がする。





あぁ、どこかの里山に発酵留学がしたいー!!




一本810円の車海老を買った。

2017-09-25 10:14:08 | 東京日記
「海老好きな子が誕生日だから」とリクエストがあったので、一本810円の海老を20本買った。

「一本900円もした」と言ったけれど810円だった。
90円サバ読んでましたw




飲食店は仕入れ値の3がけ(3倍にして売る)と言われているので、
一貫2400円分の車海老。
前働いていた鮨屋は大トロ1500円。
中トロ900円だったので。
3貫で4800円ですね笑。
まぁ、でもすっごい良心的なお店で高いネタは2がけで売っていたから。
810円の車海老だったら1600円、もしくは、1400円くらいで売っていただろうなぁ。


1400円で売っても約590円は手元に残る。
例えば100円分のイワシを一貫握って、3がけで200円儲けるよりも、
2がけ以下でも、車海老を一貫握って600円手元に残した方が、
一貫で手元に残るお金は多い。

「一貫ずつの原価計算よりも、トータルで、
今月はいくら仕入れて、いくら儲かったのか。」
ざっくりとそんくらいの計算しかしていないけれど。
20年もお店を切り盛りして、今でも第一線で、
予約が取れない、素晴らしいお店だった。


車海老に話を戻そう。

この海老を買った場所は、夫婦でやっている車海老専門店。
4代目のご主人で、市場が日本橋にある時代からやっているお店。

「豊洲には移転するんですか?」

「もうここで終わり。こんなバカな仕事だれも継がないから」

この海老屋さんは生きている海老を競りで入札して、
小売で、飲食店相手に小売をしている。




その日仕入れた海老は、翌日まで売らないそうだ。
翌日まで元気でいられる、生命力の強い海老だけを選んで、売る。
そうでないものは、B品として売る。

B品とA品。どれだけの違いがあるのか、、、。
僕にはまだわからないけれど、何十年とそうやって選別をしながら、車海老なら◯◯さん。
という信用を得ている車海老屋さんだ。ここで商売を続けられている職人がそうやって選んでいるんだから、
それは勉強させてもらうしかないだろう。



そういうこだわりのおかげで、
いいものがちゃんと、届く。

その選別をもししなかったら、、、。
良いも悪いも混ぜて売ったら、
結局「悪い」に引っ張らられて、
良いも安く悪くなっていく。

10本買って2本がいまいち。
それで、その2本を食べたお客さんにとっては、
他の8本が良い海老だったことは関係なくなる。



高くしたくて、そうしているわけではなくて、
こだわった結果そうなってしまった。
という気持ちが810円になったということだ。


そんなことを、考えたら、やっぱり一本810円の車海老を買いたくなってしまうのだ。

おやっさんが「こんなバカな仕事はだれも継がないよ」と言った一言の
「バカさ加減」は狂気じみた職人気質だったり、
こだわりだったり、採算度外視な部分だったり、するんだろうな。

「あれ、この前も来たよね」

「そうなんです、最近、東京帰って来て」


「そうかい。今日は何本欲しいの?」

「20本です」

「キロ15000円で20本だと、、、だいたい15000円かな」

(まじか、、。海老だけで15000円かよ。。。)

「じゃあ、、、、10本ください。」


「はいよ。」

と10本買った。

選んでもらったエビがめちゃくちゃ、元気で。
あぁ、やっぱり、あの人にも食べさせたいなぁ。と思って。

「あ、やっぱり、もう10本ください。」

と予定通り、もう20本買った。

結果は、、、。まぁ、想像にお任せします。



来年、市場は豊洲に移転する。

今日、銀座の鮨屋で、誰かが食べた車海老の握りは、このおやっさんが選んだ車海老かもしれない。
食べている人が、誰も知らないまま、ひっそりと、いつのまにか、舞台から姿を消すのだろうね。

名前も知らないおやっさん、今日もありがとうございます。


このタイミングで東京にいるのも、何かの縁だろうから。
全国の産地にも通いたいけれど。
築地にもできるだけ、通い続けようと思う。


流通と、IT革命で、産地直送が流行っているけれど、
やっぱり築地で働くキュレーター機能への信用は、
なかなかのものだよ、本当。






すしウィークエンド

2017-09-24 21:47:26 | 東京日記
金土日はすしウィークエンドでした。


(朝焼けを見ながら築地に向かうのも気持ちがいいです)

金曜、昼、夜。
土曜、昼。
日曜、昼、夜。

小岩、旗の台、神楽坂、大塚、、、。
2歳から◯◯歳まで。
いろんな場所でいろんな人に鮨を握りました。


新たなご縁もありました。
ありがとうございます。


(今回のメインは、北海道のぶり。しあわせのぶりしゃぶ。)







「回転寿司じゃない寿司は、はじめて!!」という方から、
「日帰りで金沢まで鮨食べに行った時も、すんごく感動したんだけど、
今日も同じくらい感動しました」とお鮨を食べ慣れている方にも
ねぎらいの言葉をいただきました。

ありがとうございます!


「こういう鮨はじめて!」と
「普段食べてるけれど、あなたのお鮨もおいしいわよ。」と
このふたつの評価に出会えることは、本当に貴重なことだと思います。


(いくらも漬けたよ。)


きっと鮨屋を自分で開業したとしたら、、、
おそらく、すでに「お鮨好き」の人が、
中心のお客さんになると思うのですが。


出張握りだと僕への信用ではなく、
「主催してくれた人」への信用で、
まずは出会うことになります。

そういう時は
「鮨は好きだけど、普段食べに行くほどではないんだよね」とか
「回転寿司以外は初めて!!」とかそういう人も気軽にきてくれるし。
あと、ここが結構大切なんですが、
はじめましての出会いの場所が、行き慣れている友達の家だと、
はじめから、リラックスして食べてもらえます。

知らないお店の緊張感とか、アウェー感がないまま、
はじめてのお鮨を食べれるのは、なかなかできないことです。






そんななかでも!!!ちゃんとお鮨を食べ慣れている人に
「いいね」と言ってもらえることは、本当に嬉しいです。




こんな荷物を積み込んで小岩に借りているキッチンに向かい、
白い目で見られながらも、運んだ甲斐がありました^^


自分の中でも「調子がいい」部分と「全然くすぶってる」部分があって。
とにかく「美味しいものをつくる」ということは外さずに、
周りの環境にとらわれず、信じ切ってやり抜けることを、
やっていければなぁという日曜の夜、そんな心境です。




気仙沼では船の上で朝日を見ましたが、
東京では、築地に向かう途中で朝日が上がります。

コンクリートジャングルですが、
スカイツリーの横に見える朝日も綺麗ですよ。



あとは、、、
赤酢がやべー。これでつくる酢飯は半端ない。
ビネガークエストが超楽しい。

ただ、冷めると酢の具合がキツく感じて、
握りとの一体感が薄まる。とお客さんに言われました。
うわぁ、まじか。そういう特徴もあるのかぁ。

来週ミツカンミュージアム、行ってきます。

70分のガイド申し込んだのですが、大人気!!

思わず、HPをスクショしました。
この埋まり具合すごない?
ミツカンミュージアム、キラーコンテンツすぎ。