東京都港區の物流博物館にて、「汐留駅にみる貨物鉄道と通運のあゆみ」展を觀る。
日本で鐵道が開業した翌年の明治六年(1873年)九月十五日、新橋と橫濱から同時刻に貨物列車を發車させて始まった日本の「通運事業」の歴史を、昭和六十一年(1986年)十一月一日に廢止された汐留驛を中心に通覧する、密度の濃い特別展。
「通運」とは、もともと鐵道による貨物輸送事業をさす用語云々。
東京における鐵道貨物の総本山として、各時代の要請に合はせて發展していく汐留驛を支へてゐたのは、いかに機械化、合理化されやうと、結局のところ“人の力”であることを感じる。
荷物の數が多ければそれだけ人手も必要なわけで、その根本は令和現在でも決して變ってゐないことは、現今問題の“物流業界の人手不足”がよく物語ってゐる。
そして明治三十七年(1904年)に空撮された汐留驛全景の向かふに、現在に續くアーチ型の煉瓦造り高架線がまだ築造途中の姿で冩ってゐることに、
時代が移り變はる瞬間を目撃したやうな樂しさを覺ゆ。