澄んだ空の向ふに映える白富士。町内に例年通り訪れる年中行事。浮世の景色は変はらねど、変わったはニンゲンの生活。忌ま忌ましきは支那疫病かな。なれば気分も変へやうと、再び隣町の古刹へ出かける。鐘楼を包む竹林のもとに腰をおろし、風に躍る笹に耳を澄ますうち、ここでひとつ手猿樂の稽古をしやうと、俄かに思ひ立つ。鞄にいつも入れてゐる夏扇を手にとり、「能樂師は、扇さへあればいつでもどこでも舞える」──金春流前宗 . . . 本文を読む
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プロフィール
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- 自己紹介
- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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