アンティーク・コーディネーターへの道

アンティーク・コーディネーターを目指して蒐集している古民具や古道具を日々の生活とともに紹介します。

陶芸家『国吉清尚』

2005年05月10日 | 陶芸・版画
趣味の陶芸を始めて早6年半が過ぎました。始めるきっかけの一つとなったのが、当時沖縄の窯元で陶芸の修行を積んでいた弟Jの影響でした。
ある朝、いつものように眠たい目をこすりながら日経新聞の朝刊に目を通していると、圧倒的な力で視界に飛び込んできた小壷の写真がありました。作者の名前を見てもしばらくはピンと来なかったのですが、記事を読み進めるにつれ、記憶が蘇ってきました。作者の陶芸家『国吉清尚』は、弟のJが師事していた陶芸の師匠だったのです。
日本経済新聞に掲載されていた記事「無垢の力 十選」(2005年4月15日)を一部抜粋してみると、
「海からひろってきたような小壷だった。(中略)すべらかな釉薬のかかった心地よい陶器世界への安住を拒絶し、水底でずっと忍んできたかと思わせる表情。それは焼き物と呼ぶよりむしろ焼かれ物と呼びたくなく趣でもあり、ケロイド状の陶器とも見えた。(中略)小壷はすでに作者の最期を予感していたのかも知れない。1999年、国吉は自らの身を焼き、55歳で死んだ。(中略)沖縄の土が語りかけてくるところを、しかと肌にうけとめ、それを愚直に形の言語へと翻訳し、火炎の力をえて、定着させること。それが国吉の作陶原理だった」とあります。
この記事を読んで以来、実家にある『国吉清尚』の作品をもう一度手にとってみたい衝動に駆られ、GW中に帰省した際に実家から借りてきたのが写真の3作品です。左奥の酒器は父が窯元を訪ねた時に国吉清尚さんから直にいただいたもの。右奥は弟が修行中に師匠からいただいたもの。そして手前は国吉清尚さんの窯で焼いた弟の作品です。身内の作品はともかく、実際に手に持って使ってみると、作品には国吉さんの作陶原理が息づいているように感じます。特に左奥の酒器は焼かれた土の力強い風合いがよく表れていて、ずっしりとした重みの中に彼の魂のようなものが今でも宿っているようです。
陶器は使い込めば使い込むほど味わいがいっそう増して、愛着が湧いてくるものですね。今は亡き『国吉清尚』の作品も棚に並べてただ眺めるだけでなく、実際に手にとって唇に触れてみることでますます彼の作品の良さを実感できることでしょう。
よ~し、さっそく毎日酒器を代えて、日本酒や焼酎を飲んでみようっと。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅いGW (lignponto)
2005-05-10 14:44:31
こんにちは。遅いGWなので、今日は、家でのんびりとしてます。昨夜、渋谷に行く途中で、隣に韓国の人が座りました。何かの拍子にそのおじさんの手が私の体に当ったんですが知らんふりでした。欧米の人なら一言あるんですが、韓国の人も日本人と同じで、何も言わないのかな-と思いました。
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個人の良識によるのではと... (Arang)
2005-05-10 17:20:09
日本にも韓国にもマナー知らずの人はいますから一概には言えませんが...

韓国では必ずと言っていいほど、バスや電車でお年寄りに席を譲ります。日本では寝てるふりをしてる人が多いですよね...自戒も込めてですけど。

遅めのGWエンジョイしてくださいね!
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そうですね。 (lignponto)
2005-05-10 19:28:23
そうですね。ひとりの人で、その国全体の人を決め付けるつもりはありません。私も日本人の代表として注意しなくちゃ。
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Unknown (glimi)
2005-05-11 09:19:09
Mi petas turnoiron!
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日本エスペラント大会 (Arang)
2005-05-11 10:48:50
glimi-san,koran dankon!

Mi legas paroladoj de d-ro L.L.Zamenhof en tramo por relerni Esperanton (^^)
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六年経ちましたね (J朗)
2005-05-14 23:32:31
偶然でしょうか?清尚さんがなくなったのが六年前の五月十日でした

この季節になると当時の気持ちを思い起こします



(焼き締めの)酒器は充分に水を漬してあげて使ってあげてください 艶がでていいですよ
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そうかぁ。。。 (Arang)
2005-05-16 16:27:07
国吉さんの命日とは知りませんでした...

偶然の一致とはあまりにも不思議な縁です。

酒器はこんど水に浸してからお酒を飲んでみますね。
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ありがとう (妹玲子より)
2005-06-18 18:20:05
清尚兄の作品、大事に使って下さってうれしいです。母と見てこんなにも、大切された。感謝です。
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こちらこそ (Arang)
2005-06-20 09:54:23
玲子様、これからも一生大切に使わせていただきます。清尚様には直接お目にかかる機会はありませんでしたが、私の方こそ素敵な作品をありがとう!とお伝えしたいぐらいです。
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