久しぶりの歌舞伎座1階席でした。何時振り?と思ったら、4月以来。そういえば4月も歌舞伎初見の友達を連れてきたんでした。ええ、普段はすっかり3階が指定席ですよ
そんな訳で、初歌舞伎の友人のためにできるだけ分かりやすくてとにかく面白い演目がいいな、と選んだのが納涼歌舞伎の第一部。結果、大正解でした
*慶安太平記*
第一部を選んだもうひとつの理由は、染五郎さん。ミーハーな友人は染さまファンなので、仮チラシに橋之助さんと染五郎さんの名前が並んでいたので気に入ってもらえるんじゃないかと思ったんです。
が、老中役の染五郎さんの出はあっという間。筋書によると、この老中・伊豆守と忠弥(橋之助さん)の出会いの場は重要なシーンだったようですが、何かを感じることもできずに染五郎さんを舞台に残して幕が引かれました。
ところで、忠弥は酔っ払ったフリをしながら徳川転覆を企てているんですが、この酔っ払いのフリが楽しいのも楽しいんですが、江戸の人ってなんだってこんなにお酒が好きなんだろうかとしみじみ可笑しくなりました。先日たまたま機会を得て落語を聞いたんですが、子褒め、猫の災難、親子酒、と見事にお酒が出て来るものばかり。お芝居の初めに、茶屋で忠弥が中間たちにお酒を振舞う場面がありますが、みんなお酒が(特にただ酒は!)大好きなんですね~。なんだか凄く羨ましいぞ、と江戸の人たちに嫉妬しました(お酒が飲みたいだけな訳じゃないんですよ)。
一幕目は、犬との絡みや伊豆守との出会いなんかがあるものの、少し退屈に感じてしまいました。二幕目一場も市蔵さんにときめきながらもなんとなく長く思われてしまって。
しかし、二幕目二場の捕物の場の迫力と緊張とスピードったら!!
初めは太刀を使ったゆっくりとした立ち廻りでしたが、徐々に加速していって息もつかさぬ程の凄まじく迫力のある大きな立ち廻りを観られました。
橋之助さんの激しく気迫溢れる立ち廻りが素晴らしい。戸板を渡して屋根に駆け上がったり、屋根から捕手の広げる紐へと飛び降りたりと、舞台をいっぱいに使った激しい激しい立ち廻りでした。
橋之助さんの気迫も素晴らしいけど、捕手の役者さん達ひとりひとりの緊張感とそれぞれのイキの良さも凄かった。あれだけの大立ち廻りを一月続けるのには、余程モチベーションを上げて臨まないと危険ですよねぇ。
与力は三津之助さんと左十次郎さん。このお二人が二場に安定感をもたらしているのかしらね、なんて想像しました。
とにかく写実的な立ち廻りが圧巻で、終わり良ければすべて良し!ってやつでしょうか。
*近江のお兼*
近江の国の力持ちの晒女、お兼の舞踊です。
「晒女」ってなんだろう?と気になり検索したんですが、どうもよく分かりません。どなたかご存知の方がいらっしゃたら、ぜひぜひ教えてくださいませ
さて福助さんのお兼は、可愛いのにすごく力持ちっていうアンバランスさが面白かった。絡んでくる若い者をふいっと振り払いながらも、表情はまだ少女のもののようでそこのギャップがすっごく可愛かったです。
最後の晒をふんふんと振り上げるのは、どんな意味があるのかしら?あんなに長い間振っていたら、絶対筋肉痛になるわよねぇ、とどうでもいいことを思いました
*たのきゅう*
きっと、好き嫌いがあるんだろうなぁという舞台でしたが、私と友人はツボを討ち抜かれましたよ「日本むかしばなし」みたいな切り絵の書割とか、ミニチュアの屋台とか、たのきゅう(三津五郎さん)の乗る(実際には、引くが正しい?)馬車とか、たのきゅう一座の衣装とか、まるごと全部可愛くて終始にこにこしていました。
特に可笑しかったのは、たのきゅうとおろち(染五郎さん)の絡み!「慶安太平記」ではちょっと振られた染五郎さんでしたが、おろち役を嬉々として演じていらっしゃるように感じました。席が5列目上手だったので、染さまを堪能するには絶好の場所でしたしね♪
「シャーッ」と威嚇するおろちが可愛くて可愛くて、まるで高校生に戻ったようにコロコロと笑ってしまいました。峠の岩場から現れるなり岩に体を挟まれたり、杖に付いているおろち(?)に手を噛まれたり、可愛い小ネタが満載でその度にコロコロ笑ってしまう。娘に化けた三津五郎さんから貰ったお花に「萌え~!」とかね。
三津五郎さんの「たのきゅうお兄ちゃん」もまた素敵で、すっごいふざけてるくせに踊りとなるとさすがのキレと安定感で「萌え~!」でした。
歌舞伎座の看板の隣にある「たのきゅう」のポスターがまた可愛いの。娘や坊さんに化けたたのきゅう(三津五郎さん)がぺたぺた貼ってあって、四隅には三津五郎さんの変顔!必見ですよ。
お芝居の中で「口上」のお稽古があり、小吉くんの初舞台と三津右衛門の名代昇進のご披露がありました。
小吉くんのぽんきゅう、おろち退治に大活躍で可愛かった
欲を言えば、舞台の使い方とか(プリン型みたいなセットはちょっと乱暴すぎた気がしてしまいました。)、たのきゅうの変身とか(あのでっかい頭と前身だけの衣装は雑すぎるような…)もっと工夫する余地はあるのかもしれませんが、とにもかくにも可愛くて楽しくて、おとぎ話みたいなお芝居にうきうきと浮かれ気分で歌舞伎座を後にしました。
そんな訳で、初歌舞伎の友人のためにできるだけ分かりやすくてとにかく面白い演目がいいな、と選んだのが納涼歌舞伎の第一部。結果、大正解でした
*慶安太平記*
第一部を選んだもうひとつの理由は、染五郎さん。ミーハーな友人は染さまファンなので、仮チラシに橋之助さんと染五郎さんの名前が並んでいたので気に入ってもらえるんじゃないかと思ったんです。
が、老中役の染五郎さんの出はあっという間。筋書によると、この老中・伊豆守と忠弥(橋之助さん)の出会いの場は重要なシーンだったようですが、何かを感じることもできずに染五郎さんを舞台に残して幕が引かれました。
ところで、忠弥は酔っ払ったフリをしながら徳川転覆を企てているんですが、この酔っ払いのフリが楽しいのも楽しいんですが、江戸の人ってなんだってこんなにお酒が好きなんだろうかとしみじみ可笑しくなりました。先日たまたま機会を得て落語を聞いたんですが、子褒め、猫の災難、親子酒、と見事にお酒が出て来るものばかり。お芝居の初めに、茶屋で忠弥が中間たちにお酒を振舞う場面がありますが、みんなお酒が(特にただ酒は!)大好きなんですね~。なんだか凄く羨ましいぞ、と江戸の人たちに嫉妬しました(お酒が飲みたいだけな訳じゃないんですよ)。
一幕目は、犬との絡みや伊豆守との出会いなんかがあるものの、少し退屈に感じてしまいました。二幕目一場も市蔵さんにときめきながらもなんとなく長く思われてしまって。
しかし、二幕目二場の捕物の場の迫力と緊張とスピードったら!!
初めは太刀を使ったゆっくりとした立ち廻りでしたが、徐々に加速していって息もつかさぬ程の凄まじく迫力のある大きな立ち廻りを観られました。
橋之助さんの激しく気迫溢れる立ち廻りが素晴らしい。戸板を渡して屋根に駆け上がったり、屋根から捕手の広げる紐へと飛び降りたりと、舞台をいっぱいに使った激しい激しい立ち廻りでした。
橋之助さんの気迫も素晴らしいけど、捕手の役者さん達ひとりひとりの緊張感とそれぞれのイキの良さも凄かった。あれだけの大立ち廻りを一月続けるのには、余程モチベーションを上げて臨まないと危険ですよねぇ。
与力は三津之助さんと左十次郎さん。このお二人が二場に安定感をもたらしているのかしらね、なんて想像しました。
とにかく写実的な立ち廻りが圧巻で、終わり良ければすべて良し!ってやつでしょうか。
*近江のお兼*
近江の国の力持ちの晒女、お兼の舞踊です。
「晒女」ってなんだろう?と気になり検索したんですが、どうもよく分かりません。どなたかご存知の方がいらっしゃたら、ぜひぜひ教えてくださいませ
さて福助さんのお兼は、可愛いのにすごく力持ちっていうアンバランスさが面白かった。絡んでくる若い者をふいっと振り払いながらも、表情はまだ少女のもののようでそこのギャップがすっごく可愛かったです。
最後の晒をふんふんと振り上げるのは、どんな意味があるのかしら?あんなに長い間振っていたら、絶対筋肉痛になるわよねぇ、とどうでもいいことを思いました
*たのきゅう*
きっと、好き嫌いがあるんだろうなぁという舞台でしたが、私と友人はツボを討ち抜かれましたよ「日本むかしばなし」みたいな切り絵の書割とか、ミニチュアの屋台とか、たのきゅう(三津五郎さん)の乗る(実際には、引くが正しい?)馬車とか、たのきゅう一座の衣装とか、まるごと全部可愛くて終始にこにこしていました。
特に可笑しかったのは、たのきゅうとおろち(染五郎さん)の絡み!「慶安太平記」ではちょっと振られた染五郎さんでしたが、おろち役を嬉々として演じていらっしゃるように感じました。席が5列目上手だったので、染さまを堪能するには絶好の場所でしたしね♪
「シャーッ」と威嚇するおろちが可愛くて可愛くて、まるで高校生に戻ったようにコロコロと笑ってしまいました。峠の岩場から現れるなり岩に体を挟まれたり、杖に付いているおろち(?)に手を噛まれたり、可愛い小ネタが満載でその度にコロコロ笑ってしまう。娘に化けた三津五郎さんから貰ったお花に「萌え~!」とかね。
三津五郎さんの「たのきゅうお兄ちゃん」もまた素敵で、すっごいふざけてるくせに踊りとなるとさすがのキレと安定感で「萌え~!」でした。
歌舞伎座の看板の隣にある「たのきゅう」のポスターがまた可愛いの。娘や坊さんに化けたたのきゅう(三津五郎さん)がぺたぺた貼ってあって、四隅には三津五郎さんの変顔!必見ですよ。
お芝居の中で「口上」のお稽古があり、小吉くんの初舞台と三津右衛門の名代昇進のご披露がありました。
小吉くんのぽんきゅう、おろち退治に大活躍で可愛かった
欲を言えば、舞台の使い方とか(プリン型みたいなセットはちょっと乱暴すぎた気がしてしまいました。)、たのきゅうの変身とか(あのでっかい頭と前身だけの衣装は雑すぎるような…)もっと工夫する余地はあるのかもしれませんが、とにもかくにも可愛くて楽しくて、おとぎ話みたいなお芝居にうきうきと浮かれ気分で歌舞伎座を後にしました。
染五郎さんのおろちがおかしかったです~(染ちゃん、やる~)
で、晒女はもう大丈夫ですか?
晒(麻)の名産地近江には、ああして川で晒を洗う晒女が多かったのでしょうね。
晒は水に晒せば晒すほど白くなったということですので、多分お兼も、今でいう晒製造工場の女工さんというか(工というのは変ですね、やっぱり洗濯女というのでしょうか)そういうお仕事をしていたんじゃないんでしょうか。若しくは家内工業で、お父さんが晒織って、娘のお兼が洗うとか。
詳しい方にお聞きになったら、ワタシにも教えて下さい。
福助さん、今月は腕や肩にバンテリンでしょうか。。。。?
家内工業の晒屋さん、なんだか想像するとほのぼのとしますね~。「若い者」さんたちは、晒を運ぶ人たちなのかな、とか。
染五郎さんのおろち、可愛かったですよね~「やに」でやっつけられてしまうのが少し可愛そうでした。
単に、晒の産地で、洗濯ものに晒が多いから、自分ちで使った晒を洗っているだけなのかもしれませんものね
晒女の件ですが、私の町は古い城下町なのですが町中に紺屋町という町があってその町内の道の真ん中に幅約2m弱深さ30cmほどの紺屋川という川が町並みに沿って流れています。つまり川の両側に家が建ち並んでいるわけです。
その昔、晒を扱った店や染物屋が集中していたことから紺屋町って命名されたそうですが、その川では女性が毎日染めに使う晒を洗っては道で張り干ししていたそうです。「晒女」っておそらくそんなところからきているのではないのでしょうか。間違っていたらごめんなさい。
街を流れる川は、生活に根ざした清らかでいきいきとした流れだったんでしょうね♪そんな情景を思い浮かべることができなくなってしまった私たちの今の生活はちょっと残念だなぁと、己の無知を棚に上げて思っています。
三津五郎さん&染五郎さんのタッグはなかなか新鮮で面白かったですよ!松竹座の染五郎さん&愛之助さんのお芝居も楽しそうですね