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視点 : 社会の硬直化

2012年07月15日 | 時事問題


これまでの2回は、今我々が何をすべきか、何をしてはならないかを書きました。

今回から基本的な問題点を考えます。

なぜ長期の一党支配が問題なのかを考えます。


問題は、支配層の固定化による弊害です。

世界史を見ると国家が硬直化しては滅亡を繰り返しています。

古代王朝は300年間が限度でしたが、時代の変化が激しくなると期間は短くなります。

なぜ硬直化が起きるのでしょうか。財力、職業、知識などで蓄積と格差が生じ、それらが世襲によって一部の人々に偏在することで硬直化が始まります。

この少数の人々が政治権力に結びつき、やがて社会を制御します。

始めは往々にして国民にとってもメリットがあるのですが。

その人々は利権維持に奔走するようになり社会全体を見ず、やがて社会変化を無視するか適応出来なくなります。

中国王朝や徳川幕府の崩壊、中世キリスト教の停滞などがその典型です。



明治維新を見るなら、高い教養と尊い血筋の幕府首脳達では政局は乗り越えられませんでした。

幕府も各藩も膨大な借金を抱え、さらに貿易による急激な経済変化に対応出来ませんでした。

結局、尊皇攘夷思想は右往左往しながらも10年間かけて一本にまとまり、進取の気象に富む下級武士達によって改革が実行されました。

彼らは薩長土肥での政権運営実績としがらみを切る勇気を持ち合わせていたのです。

この四藩はすべて中央政府から外れていたが、もっとも海外との接点が多かった所です。


今回の原発推進も硬直化と利権保持のメカニズムが働いています。

一部の人にはその恐ろしさは認識されていましたが、政府と官僚が音頭をとって産業界と学会を育成し始めると利権保持に走り、やがて絶対安全神話の大合唱になりました。

地震、津波、人為ミスによる数万人、数兆円の被害予想があったにも関わらず、原発に関わる官僚、学会、産業界、労働界、マスコミが一丸となり安全策に手を抜いて来ました。

当然、代替エネルギーや送配電分離などには目もくれませんでした。

赤信号、皆で渡れば怖くない。

今回の被害総額と原発破棄に伴う損害額は恐らく25兆円を越えるでしょう。

それでも当事者は誰も罰せられることはないでしょうし、謝ることもないでしょう。

こうしていつの時代にも社会不満が蔓延していきます。

これを放置すると危険な社会に陥ります。

次回はこの対策を考えます。






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