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絶望の選挙結果 3 : 劣悪な政治文化 1

2013年01月09日 | 時事問題

< 2012年12月16日、衆議院選挙の顔 >

今回の選挙で残念だったのは、民意が反映されず、大事な争点が無視されたことです。

それは同じ過ち、一度評価を下げた政党や首相が繰り返し祭り上げられたことです。

これは幾度も繰り返して来た道です、ここ7年の間。



小泉政権の終わりから始まる安部、福田、麻生、鳩山、菅、野田へと続いた、ほぼ1年毎の交替から国民は何も学ぶことは無かったのか。

6人の内閣発足当時の支持率は50~72%だったが、それぞれの末期には16~25%となった。

現首相への急激に高まる失望、やがて盛り上がる次期首相への期待、そして繰り返される交代劇、それはさらなる失望と鬱憤をもたらした。

そして絶望の淵に立ちすくみ、降って湧いたような日本維新の会や日本未来の党に、新たな期待を託したのか。

その結果何が起きたのか。

長期政権と2世議員を見限り、政権交代を起こしたにも関わらず、また復活した。

問題は、国民に反省がなく政治凋落への歯止めがなかったことにある。



< 得票数と議席数の推移 : 大きく振れる与野党議席と第三極の出現の問題が見える >

今回、自民党は選挙区得票率43%で79%の議席を得、民主党は23%で9%となった。

これは上記グラフからわかるように、得票の少しの差が議席数の数倍の差になり、大きく振れながら繰り返されている。

小選挙区制は二大政党を目指すものであるため、どうしても一人勝ちとなる。

今回、絶望的なのは小党が乱立したことにより、無効票が大量発生し、さらに振れが増幅された。

何が問題なのか。

なぜ小党乱立を許すのか : 実践経験の無い、まともに教育されていない議員や小党に何が出来るのか。所詮、公約を実現させる為には連立は不可欠だが、その時に煮詰まっていない公約は反古になるのは目に見えている。

なぜ小選挙区制の欠点を際立てせるのか : この制度の最大目的は政権交代を可能にすることにあった。どうしても長期一党独占は弛緩(腐敗、癒着)と停滞を生む、それに伴って野党も非力になる。この制度は、二大政党制によって緊張感と切磋琢磨しうる議員を生みだすことにある。それなのに小党乱立では今回にように逆効果になる。


この深層に何があるのか。

不安心理 : 日本人は社会不安に苛まれると、感情的な集団行動に出る傾向が強い。効用を冷静に判断せず、取りあえず藁をも掴む気持ちで、新規首相や政党に飛び付く。最も恐れることは、これを繰り返す内に、本当に藁しか掴めなくなることだ。歴史的にそれを繰り返す民族は日本だけではないが。



< 無党派層の投票行動 : 無党派層の支持政党が逆転している >



< 政党支持層と無党派層の推移 : 無党派層の拡大が顕著である >


社会認識 : 日本人は失敗した者に対して再起の可能性を認める度量がある。しかし一方で、その失敗原因が政治制度や本質的なものであり、変化しうるものかを察することをしない。これが同じ過ちを簡単に繰り返す原因の一つです。



< 無党派層の年齢別割合 : 無党派層は若い者ほど多い >



< 年齢別の投票率推移 : 高齢者60歳代がトップでむしろ上昇している >

政治意識 : 投票率の長期低下、無党派層の長期増加が顕著です。無党派層を支える若年層は誰かがやってくれると社会に甘えている。無党派層は政治社会の問題点、あるべき姿を認識しないがゆえ、選挙毎に大きく支持政党が変わり、また小党乱立に結びつくのです。これは投票率の高い地方の高齢者の意向が政治に反映する結果を生む。結局、都市部の若年層は、得票にならないゆえ将来の問題を議員に取り上げられることなく、益々政治に無気力になっていく。


次回も政治文化の問題点を追及します。





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