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絶望の選挙結果 7: 劣悪な政治文化5

2013年02月02日 | 時事問題


< 日本沈没 >

前回は、英国、ドイツ、ギリシャの選挙状況を見ました。

いずれも小政党乱立の傾向が進んでいました。

特にギリシャは経済危機により、一気に多党化しました。

今回はその原因を探り、この連載を終わります。


二大政党制がうまく機能しているように思える米国はどうでしょうか?

大統領選では概ね2期毎に支持政党が交代していたが、2010年に下院でねじれが発生した。

その内実を、下記グラフの政党支持率の長期低下が物語っている。

各政党の支持者が減っていることは、日本と同様に浮動票が政権を不安定にさせるだろう。





< 米国、政党支持率。赤=共和党、青=民主党、黒=無党派 >



< 主要6ヶ国の投票率推移 >

欧米先進国と日本で何が起きているのか?

既に取り上げた主要国の投票率は総べて低下傾向にある。





< 主要6ヶ国の政治への信頼感 >

投票率と信頼感の水準は相関していないが、共に低下傾向にある。

ただ日本だけが著しく低いことに注意して下さい。

前回、ギリシャで見たように経済悪化、社会不安増大、政治不信は結果として小政党乱立を招いていた。

既に見たように、小政党乱立と無党派層の増加は投票率の低下と並行して進んでおり、それらは政治への信頼感低下が招いた結果だと推測出来る。

小政党乱立は歴史が示すように、益々政治混迷を招き、悪くすれば社会を崩壊させることにもなる。


それでは、なぜ政治不信が増大しているのか?

これら主要国に共通している状況と言えば下記の問題が挙げられる。

1. 経済の停滞 : 戦後、日米欧は華々しく経済成長を遂げたが、1980年代より経済成長は鈍化傾向にある。その平均は日本で9から0.8%、EUで4から1%になった。

2. 経済格差の増大 : 所得や資産の分配の不平等を示す指標であるジニ係数は多くの先進国で長期悪化傾向にあることを示す。下のグラフがそれを示している。




< 主要国のジニ係数、0から1の値をとり、0が完全平等、1が最悪状態 >

経済停滞と経済格差の拡大傾向は社会経済の硬直化が表面化して来ているのだろう。

先進国は80年代以降に行って来た大幅な金融緩和、財政支出でバブルを繰り返した。

その度に経済格差は開き、益々国家は財政赤字で選択肢が限られ、一方、国民は徐々に冷えていくぬるま湯の中で、不満と不安を増しているのだろう。

国民は不満のはけ口として、既存の政治を拒否するだけの行動に出ている。

これでは解決にはならない。


それにしても、なぜ日本が酷い状況にあるのか?

1. 政治意識が低い : 単に民主主義が定着していないとも言えるのだが。国の政治を市民が支えると言う意識が育っていない。明治維新すら、市民が政治の主役になることは無かったし、男女普通選挙法の導入も遅かった。

2. 内集団ひいき : 日本人は表面上、周囲に合わせた行動をとり、目立つことは避ける。これは、周囲が安心状態にある時は良いのだが、一度不安状態に陥ったりすると、個々にバラバラな行動をとり始める。これが小政党乱立の末に、強引な指導者や権威者に身を委ねる結果を招く。

現在、その兆候が出て来ているように思えるのだが。

一端景気が上昇しても、バブルが弾けた時に、恐ろしい結末が待っているかもしれない。

私にはこの状況を打開する方策が見つかりません。

どうか皆さん用心して下さい。


長い間、お付き合いいただきありがとうございました。





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