アクアコンパス 3   世界の歴史、社会、文化、心、読書、旅行など。

カテゴリー「案内」に人気記事と連載の目次があります。Twitter に yamada manabuで参加中。

社会と情報 27: 国境を越える情報

2014年03月26日 | 連載中 社会と情報

< 1. 拘束されたゴールデン・ミサビコ氏 >

今回から、国家を越える情報がどのような働きをするかを見ます。
最初に、現在のアフリカで起きた事件を取り上げます。

コンゴで起きた事件

2009年、一人の男性が国家の諜報機関によって逮捕・拘留された。
彼は「国家の安全を脅かした」「偽情報の公表」の罪で懲役1年を宣告された。
この事件の発端は、軍人や役人が安全上閉鎖されていた鉱山から違法にウランを採掘し、深刻な環境破壊を起こしていると、彼が発表したことによる。
さらに、コンゴ政府とフランスとの密約により原子力会社AREVA社に採掘権が与えられたことも告発した。
彼、ゴールデン・ミサビコ氏は、アフリカ人権擁護協会(ASADHO)カタンガの代表です。
彼と協力者の人権活動家は誘拐や暴力、脅迫に合っていた。



< 2.A:コンゴ。B:コンゴのカビラ大統領。C:問題の鉱山、手彫り採掘。D:ヒラリー元国務長官 >

コンゴ
この国は隣国も介入する内戦が続き疲弊している。
経済は、ダイヤモンド等の鉱物資源輸出だけでGDPの45%を占める。
問題の鉱山のウランは日本に投下された原爆に使われた。
議会制民主政体であるが、報道の自由度は極めて低い。
国境なき記者団が発表するコンゴの報道自由度は2013年度で世界の179ヵ国中142番でした。



< 3. アムネスティ・インターナショナルのHP >

その後の展開
彼を救ったのは、海外だった。
欧米メデイアはこの事件を報道し、環境・人権問題と不正疑惑を訴えた。
国際人権救援機構NGOのアムネスティ・インターナショナルは、世界中に事件を訴え、コンゴの大統領に要請書を送り、国連と協議した。
米国のヒラリー・クリントン元国務長官は2009年、アフリカ歴訪時にコンゴの大統領に会い、彼の解放を要請した。
世界がこの事件を監視することにより、彼の身柄の安全は確保された。
彼は2013年の時点で、南アフリカに滞在し活動を継続している。
フランス大統領も絡んだ密約は、彼の告発を機に、白紙に戻ったようだ。

しかし・・・・
アフリカのウラン、ダイヤモンド等の希少鉱物の採掘は、未だ多くの闇―環境破壊、労働災害、紛争、汚職、を生みだしている。


ポイント
国外との連携・支援があってこそ、報道の自由が無い国家の不正を正すことが可能になる。
日頃から、海外と協調する姿勢が重要です。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿