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社会と情報 58: 戦った報道 15

2015年10月23日 | 連載中 社会と情報



< 1.明治時代の広告チラシ、軍人が人気 >

今回は、戦時体制下で起こった社会的変化の補足説明になります。


< 2. 憲兵 >

社会的変化を二つに分けます

しらずしらずのうちに国民の思想や心情が変化していく

一つは憎しみの連鎖や愛国心などの国民感情の高まりです。
さらに、出征し辛酸を舐め、また身内が戦傷死した場合、それを無駄だったとすることに人々は強い抵抗を感じます。
これが国益の厳守に結びつきます。
国民は領地を返還させられた三国干渉で政府を弱腰と猛烈に批難し、また日本将兵29万の命と引き換えに手に入れた中国を放棄出来ないとして、撤退が出来ず戦争を拡大することになった。



もう一つは、武器使用と軍人精神の波及です。
以前、「私達の戦争 17~22」で銃の普及を検証しました。
その結果、銃の普及は犯罪被害者の増大を招いていました。
見方を変えれば、暴力を是認し暴力で解決する社会に変容したのです。
これはハリウッドのアクション映画を見れば一目瞭然です。
同様に軍人精神が浸透すれば、スパルタ教育など社会から家庭まで専制的な振る舞いが増大します。
こうして社会は国益や暴力、攻撃、統制に慣れて行きます。



< 3. 1936年の小学校国語読本 >

国が戦時体制強化の為に国民をリードする
初めは国民誰しも厭戦的です、そこで国は軍人を讃えて良き軍人になることを奨励します。
また仮想敵国を想定し恐怖を煽り、戦闘意欲を鼓舞するようにもなります。
古今東西、軍事大国はこれを実践して来ました。
これら教宣には教育と広報、批判禁止(弾圧)が重要です。

前々回の某新聞の記事を言い換えればこうなります。
* 大きな脅威が迫りつつある。
* 多大な犠牲を払った国益(領土など)を死守すべき。
* 目前の敵は蔑視すべきもので、撃退は容易である。
これは国民を煽る最も有効な言葉でしょう。


< 4. 在郷軍人会の集合写真 >

一方、目立たないが着実に効果を上げた例として在郷軍人会があります。
在郷軍人会は、戦時動員可能な予備役によって構成され、1930年代には300万人に達していた。
当時の日本人口は約6000万人でした。
当初、これは軍人の教育鍛錬が目的であったが、後に軍主導による戦意高揚の実践部隊となっていった。
これは各地で、反権力新聞(朝日や毎日)への抗議や不買運動、満蒙開拓移民の推進で大きな役割を担った。
日本は在郷軍人会の制度をドイツに倣った。

こうして国民は大陸侵攻を国益とみなし、戦争と挙国一致体制を受容するようになっていた。
しかしこれだけで戦争に踏み出せるわけではない。

次回は経済的な要因について考えます。





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