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心の起源 連載2

2012年06月04日 | 連載完 心の起源
 前回(連載1)は共感が生みだす社会的行動の原初的な姿を見ました。

今回は古代文明の彫像に現れたものが、共感とどのように関わっていたかを見ます。

これらの像は世界の古代文明、初期の王朝かそれ以前より古くに作られたものです。




< 図3 彫像の目は何を語っているのか? >

上部中央の像から右回りで紹介します。

中米のテオティワカン遺跡、紀元後3~7世紀 /中国西部の三星堆遺跡、紀元前3~前1千年紀 

/日本の遮光器土偶、前2~前1千年紀 /インダス文明の神官王、前2千年紀

/中国殷周時代のとうてつ文、前2千年紀後半 / 日本のイケメンCG合成、現代

/メソポタミアのウルク遺跡、前3500~前3000年前 /エジプト王朝、ホルスの目

/ツタンカーメンのマスク、前14世紀 
 

どの大陸の文明においてもその特徴は同じで、必ず目が巨大化しています。

よく遮光器土偶はゴーグルをした宇宙人だとの説を聞きますが、どうやら違うようです。

なぜなら世界中が目を強調した像を製作しているからです。


 目がなぜ強調されるのでしょうか? 

 古来より、目は口ほどにものを言いといわれてきました。

古代中国では視線に異常がある子供を神の使いと見なした地域もありました。

幼児は2才半ばで他人の目線の方向に注意を向け始めるようなります。

実はチンパンジーもほぼ同様なことが出来ることがわかっています。

私達は世界中のドラマの中で、役者の表情と目を見て、その人の感情を察することが出来ます。

目で人を威圧したり、愛しい思いを伝えることも出来る場合があります

つまり共感を持つことが出来る人類であればこそ、目を特別視したのです。

古来より、人は目に何か特別な役割、例えば重要さ、神聖さ、威厳、あるいは可愛らしさを感じていたようです。

それが初期王朝の神や王、神官の像を作る時に際立たせることになったのでしょう。


しかしやがて王や神に対する意識に変化が現れた紀元前後から、像は写実的になり、目の大きさも普通に扱われるようになっていた。

この時期が、ちょうど世界宗教の誕生と重なることになりました。


 次回から、「人類の心の進化」がどのように行われたのか、最初に宇宙誕生から始まる進化の大きな流れを見ます。


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