夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ヘーゲル『哲学入門』序論 四[意志と行為]

2019年05月09日 | ヘーゲル『哲学入門』


§4[意志と行為]


Das praktische Vermögen bestimmt(※1 ) sich überhaupt innerlich, aus sich selbst. Der Inhalt seiner Bestimmungen gehört ihm an und es erkennt sie für die seinigen. — Diese Bestimmungen sind aber zunächst nur innerliche und also von der Realität der Äußerlichkeit getrennt, aber sie sollen äußerlich werden und sich realisieren. Dies geschieht durch das *Handeln,*(※2 ) durch welches die innerlichen praktischen Bestimmungen eine Äußerlichkeit, d. h. ein äußerliches Dasein erhalten. — Umgekehrt kann dies auch so betrachtet werden, dass eine vorhandene Äußerlichkeit aufgehoben und mit der innerlichen Bestimmung übereinstim­mend gemacht wird.(※ 3)


実行的な能力は、自身を一般的に内的に、自分自身から規定する。その規定の内容は、実行的能力自身に属しており、そして、それら諸規定を自分のものとして認識している。⎯⎯ これらの諸規定は、しかし、さしあたっては、内部にあるのみであって、そして、また外部の実在性からは分離されている。しかし、それらの諸規定は外部に現われなければならないし、そうして自らを実現しなければならない。このことは「行為」を通して現われる。行為によって内にある実行的な規定は一つの外的なものに、すなわち、外的な定在を手に入れる。⎯⎯ 逆にいえば、このことは、すなわち、手元にある外的なものを取り消して、そして、それを内的な規定と一致させることである考えることもできる。

(※ 1)ヘーゲル哲学において die Bestimmung は重要な意味を持っている。bestimmen 規定すること、の本質的な意義は「あるものをして、無から有にすること」、「或る物ものをして或る物ものたらしめること」である。

[die Bestimmung] 決定、規定、使命
noun: 決定, 決意, 決断, 決心, 結論, 決議, 不退転, 熱血, 熱情, 熱中, 結末, デシジョン, 熱心, 不退
[bestimmen]決定する、規定する
verb: 定める, 決する


(※2)人間の実行的な能力(可能性)は「行為*Handeln,*」を通して外的な実在性を手に入れる。praktisch とdas Handeln のおよその違いは以下のように理解すればいいと思う。

[praktisch] 実用的、実行的
adjective: 実際, 実用的, 実践的, 事務的, 即物的, 技術的

 [das Handeln] 行動する、行為する
verb: 働く, ふるまう, 演じる, 演ずる, 立ち回る, 行動する, 立ち振る舞う

(※3 )人間の意識は、理論的*theoretischen*であるか実行的*praktische*であるか、であるが、意志においては実行的である。そして人間生活は本来的に実行的である。人間の内面的な意志は、外部に現れなければならない。それは「行為」を通して現れる。

 
 
 

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