ヘーゲル『哲学入門』 第一篇 存在 第一部 質 第十二節[有限性]
§12
b) Etwas, das da ist, hat eine Beziehung auf Anderes. Das Andere ist ein Daseiendes als Nichtsein von Etwas. Es hat somit zunächst eine Grenze oder Schranke (※1)und ist endlich.(※2) Wie etwas an sich sein soll, ist seine Bestimmung.(※3)
第十二節
b)そこ(da)に存在する「或る物」(Etwas)は、「他なる物」と関係をもつ。「他なる物」とは、「或る物」にとっては非存在(Nichtsein)として現に存在しているもの(Daseiendes)である。それゆえに「或る物」は、まず境界あるいは限界をもち、有限である。或る物のそれ自体としてあるべきあり方が、その「規定」(Bestimmung)である。
※1
eine Grenze oder Schranke 境界と限界
ここでは境界と限界と訳した。Grenze と Schranke は同義的に使われているが、Grenze は外的なもの、Schrankeは内的なものである。
たとえば、人間がそれぞれ男女の両性に分たれているのは外的な境界Grenzeであり、男性が出産できないのは、内的な限界 Schrankeである。
※2
存在 Sein は 定在 Dasein へと具体的に進展していくが、定在 Dasein はさらに、或る物(Etwas)として存在する。そして或る物(Etwas)は、「他なる物」と関係をもち、それによって限界(Grenze, Schranke)づけられることによって、有限(endlich)なものとして存在する。
※3
この或る物(Etwas)はその外部にある「他なる物」によって、自らの存在範囲や本質的な性質が明らかになる。たとえば個人もまた他者と関係することによって、その性や性格(Bestimmung)や、能力などがわかる。
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