§3
Beim Bewusstsein haben wir gewöhnlich den Gegenstand vor uns, oder wir wissen nur von dem Gegenstande und wissen nicht von uns. Aber es ist wesentlich in diesen Dingen vorhanden /Ich/. Insofern wir uns überhaupt nur einen /Gegenstand/ vorstellen, so haben wir ein Bewusstsein und zwar vom Gegenstand. Insofern wir uns das /Bewusstsein/ vorstellen, sind wir uns des Bewusstseins bewusst oder haben wir ein Bewusstsein des Bewusstseins.
第3節[意識について]
意識のもとにあっては、私たちは、ふつう私たちの前に対象をもっている。あるいは、私たちはただ対象について知っているのみである。そして私たち自身については知らない。しかし、本質的なことは、この物のうちには「私」が存在しているということである。私たちが一般に、ただ一つの/対象/のみを考える限り、そこには私たちは一つの意識をもっており、そして確かにまた対象ももっている。私たちが/意識/について考えるかぎりは、私たちは、私たちの意識についても意識するのであり、あるいは、意識についての意識をもつ。
— In unserem gewöhnlichen Leben haben wir ein Bewusstsein, aber wir sind uns nicht bewusst, dass wir Bewusstsein sind; wir haben Vieles, auch schon Körperliches, /bewusstlos/; z. B. die Lebensverrichtungen, die zu unserer Selbsterhaltung gehören, besitzen wir, ohne darum von ihrer genaueren Beschaffenheit auch schon ein Bewusstsein zu haben, das wir erst in der Wissenschaft erwerben. Auch geistiger Weise sind wir Vieles, was wir nicht wissen.(※1)
⎯ 私たちの通常の生活の中では私たちは一つの意識を持っている。しかし、私たちが意識であることを私たち自身は自覚していない。また、すでに肉体的なもの、/無意識的なもの/など、たとえば、なぜそうなのか私たちが科学において手に入れたそれらの正確な構造を意識することもなく、またあらかじめ自覚することもなくして、すでに私たちがもっている生命活動や、自己保存に係るものなど、私たちは多くのものをもっている。精神的には、私たちは知らないことがたくさんある。
— Die /äußeren/ Gegenstände unseres Bewusstseins sind solche, die wir von uns unterscheiden und denen wir eine von uns unabhängige Existenz zuschreiben. Die /inneren/ Gegenstände hingegen sind Bestimmungen oder Vermögen, Kräfte des Ich.(※2) Sie bestehen nicht außer einander, sondern das, worin sie bestehen, ist Ich. — Das Bewusstsein verhält sich entweder theoretisch oder praktisch.
⎯ 私たちの意識の/外にある/さまざまな対象は、私たちが私たち自身とは区別しているものであり、そうしてそれらについては私たちから独立した存在として私たちが認めているものである。それに対して、/内にある/さまざまな対象は、「私」の規定するものであり、あるいは「私」の能力であり、「私」の力である。それらは互いに外には存在しない。むしろ、それらが存在するのは「私」の内にである。
⎯ 意識は、理論的にか、あるいは実行的にか、自らいずれかにふるまう。(※3)
※1
身体の臓器である胃や肺は、私たちが意識することがなくとも、食物を消化し、空気を呼吸する。また、血液が骨髄の中でどのようにして作られているのかも知らない。
※2
Bestimmungen
noun,pl: 規定、決定, 決意, 決断, 決心, 結論
Vermögen
noun: 能力, 力, 性能, 才能, 力量, 技量
Kräfte
noun,pl:力, 剛強, 強さ
※3
「物」として意識の外に意識がその対象をもつことと並んで、意識が「意識」としてを自らを対象とすること、この意識の、「私」の、自我の二重化、自己内分裂の様相を深く分析し、そのことの人間にとっての意義と必然性を明らかにしたことはヘーゲル哲学の不朽の功績といえる。