トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

相場の潮目変化を一気に取り込むDynamicHiLoBand _EA

2019-10-06 22:05:44 | 投資

 水上紀行氏提唱のBB5(ボリンジャーファイブ)を本ブログで紹介するとともに、トレンド発生の前兆現象であるBBσ2のバンド幅縮小時に仕掛ける半自動EAを開発した経緯がある。 

 開発に際してはバンド幅の縮小を数値的に捉えて、これをプログラム化することにより完全自動取引型EAをこころざしていた。BB SqueezeやATR等のインディケータを使った計算式を組み込んでみたが、どうしても汎用性において満足のいく結果が得られなかった。水上講師が提唱されているように、バンド幅の縮小の判断はどうしても目視に頼る方法しかなかったのである。 

 その後もBB5に代わる仕掛け条件を呻吟していたのであるが、ある時、豊島久道氏著「FXメタトレーダー実践プログラミング」を読み返している際に、HLBand.mq4という同氏作成の教材用インディケータが目に留まった。インジをチャートに描画すると、かなりの好感触があった。過去20期間の最高値をUpper Band、最安値をLower Bandとして表示される。アジア市場から欧州市場へ、そして米市場へと取引時間帯が推移する過程で、バンドが変遷していく様子がよく分かる。計算式も過去の高値、安値を基準にすることができることから、完全自動型EAとしてのプログラム化には、BBよりも優れているかもしれない、というのが第一印象であった。 

 著書には、HLBandをiCustom()とする教材用EAも紹介されていたが、これはそのまま使うと大きなドローダウンに遭遇することがあり、バックテストでも必ずしも好結果は出ていなかった。そして、東京市場をはじめとするアジア市場時間帯ではレンジ相場となりやすいため、ダマシが多くなる。できれば、東京市場終了後の午後3時からニューヨーク市場のクローズに近い日本時間午前3時までの取引時間制限のついたEAを作成してみたい。 

 先ず、第一に、HLBandを改良に取り掛かり、新MT4 strictでHiLoBandとして書き直した。MT4のインジ作成もMT5のインジ作成も今では共通のエディターが使われているから、先ず、MT5でインジを作成すれば、それはそのままMT4のインジとなる。先にMT4を作成すると、MT5では作動しないことがある。今日では、MT5が優先だから、「逆は必ずしも真ならず」ということになる。 

 EAもMT4用とMT5用2種を作成してみた。主な仕様は次のようになっている。仮称は「DynamicHiLoBand_MT4EA」と同名のMT5EA)

① 筆者推奨の通貨ペアはGBPJPYの4時間足、以下同通貨ペアの例

② HiLoBandの期間は20期間

③ 終値ベースでUpper BandとLower Bandを超えた場合、新しい足の始値でエントリー

④ 初期損切り値(SLpips)は35pips

⑤ 利確値(TPpips)、原則トレーリングストップ(TS)を使うので未設定(0)

⑥ TSpipsは15pips、トレーリングストップ(TS)を利用しない場合は、TSpipsを0(ゼロ)とし、TPpipsを適宜設定する

⑦ 取引時間制限を日本時間で設定。日本時間午後3時から午前3時までのみエントリーということであれば、StartHourを15、EndHourを3とすればよい。分刻みで設定できる

⑧ 2個のエントリー方法から選択できる

 トレイリングストップ(TS)のTSpips 15pipsで一旦手仕舞った後は、同一ローソク足内で、なをエントリー条件が満足されていても再発注はしない方法(EntryType 0)、手仕舞った後もエントリー条件が満足されていれば再発注する方法(EntryType 1)のいずれかを選択する。4時間足では、バンドを突破すると大きく飛び出すことが多いため、2度、3度とエントリーを繰り返すことがある。

⑨ 後に述べるバックテストの結果では、EntryType 1で、且つ、取引時間制限を設ける選択が利益総額、PFともに優れていた。 

その他特記事項

 先にも述べたが、HiLoBand(20)の上下バンドを相場が突破すると、4時間足では15pips以上一挙に動くことが多い。TSpipsを15に設定した場合、たとえダマシに遭遇してもプラスマイナスゼロで逃げられることが多い。もちろん、高値・安値が15pipsに届かないで相場が反転する場合には、35pipsの損切りとなる。 

バックテスト

① 対象通貨ペアと時間軸:GBPJPYの4時間足(4H)スプレッドは2pips

② テスト期間:本年1月~本日までを2期間に分かち、前者をバックテスト、後者をフォワードテストとする一般的なテスト方法

③ ここに図表として示したのは、年初から本日までの全体のテスト結果。エントリー方法をEntryType 1、エントリー時間制限を日本時間午後3時から翌日午前3時までとしている。 

 

トレード回数: 163、利益総額: $1,224.60、PF: 1.75、勝率: 69.3%、利回り:$10,000(レバレッジ1.2)で10ヶ月間の運用成績が12.24%ということは、これをレバ3で1年間運用すると利回りは、年30.6%ということになる。


 本EAの特徴はトレイリングストップに頼るところが大きいため、1分足ベースのEvery Tickでテストを行う必要がある。そのため、データが年初から揃っているAlpari社のMT4を利用した。 

 思いの外好ましいテストデータが出てきたので、次回MetaGenicFX社との打ち合わせの際、EAの公開につき検討したいと考えている。

追記:10月8日、下記にて本EA公開されました。

 https://metagenicfx.thebase.in/