成程確かに、横溝正史作品へのオマージュが随所に見られますね。
基本構成は『犬神家の一族』だし、『八ツ墓村』みたいな鎧兜やら『悪魔の手毬唄』みたいな日本人形も出てくるし、キャラクター設定が映画『獄門島』(市川崑監督作品)で大原麗子さんが演じていた女性みたいな人がでてくるし、抑々劇中での犯人の位置関係が、もろ横溝正史作品そのまんまだし。
なんだかねえ、あからさま過ぎるんだよねえ。これがコメディ映画とかパロディ映画とかだったらわかるけど、こんな重い暗い怖い内容の話でこれやっちゃう?
もうちょっとさあ、オリジナルで頑張ろうよ。
その点が思いっきり引っかかってしまって、お陰様で全然ハマれませんでした。
…で、終わりかと思いきや。
最後の最後で、泣かされてしまった。
観た人はわかると思うけど、すげえ可哀そうな男の子いたでしょ。あの子がさ、変わり果てた姿ででてくる。で、その子が泣きながら言うんだ。
「忘れないで!僕がここにいたこと、忘れないで!」
これ泣くよ。
このシーンで、それまで自分の中にあったモヤモヤ感が全部吹き飛んでしまった。このシーンだけあれば良い。そんな映画。
どんな映画だよ!(笑)。
『ゴジラ-1.0』もそうだったけど、現実というのはとても厳しくて理不尽だ。多くの人の命が、無意味に無残に奪われる。
でも、それでも
未来を生きる子供たちのために、この世界を守りたい。
子供たちの未来を守りたい。
そんな思いを込めた映画でした。
先行き不透明で、得体のしれぬ不安感に世界中が苛まれている今の時代だからこそ、生み出された映画です。
SF特撮やアニメの方が、こういうテーマは描きやすい。
全体的な感想としては、惜しいなあ、と言う感じ。
もっとオリジナル色が強ければ…だったね。オマージュは程々に。
言うまでもないこと、かも知れませんが
『ゴジラ-1.0』の完全勝利です~(笑)。