伊福部昭先生といえば、ゴジラをはじめ特撮・怪獣映画の音楽の作曲者として超有名ですね。
特撮・怪獣映画に限らず、時代劇現代劇を問わず、実に多くの日本映画に音楽を提供しておられます。
でも決して映画音楽専門の作曲家というわけではありません。映画音楽以外にも多数の音楽を手掛けておられ、それらの作品のなかでもとりわけ評価が高いのがコチラ
『シンフォニア・タプカーラ』です。
伊福部先生の音楽には、大地の鼓動、大自然の息吹、地の底から湧き上がる叫びのようなものをよく感じます。この『シンフォニア・タプカーラ』などはまさにその典型といってよく、特に第三楽章の後半、曲がどんどん速くなって行き盛り上がっていくところなど、激しく心を揺さぶられます。素晴らしい!
以前から私が主張している通り、日本の怪獣は大自然の精霊の怒りの象徴です。だから、伊福部先生の音楽が怪獣映画とマッチするのは、至極当然のことと言っていいのです。
タプカーラとはアイヌ語で「立って踊る」という意味だとか。大地を踏み鳴らし悪霊を祓うものらしい。伊福部先生は北海道出身で、幼少のころはアイヌの人たちと親しく交流していたそうです。
伊福部先生の音楽がどこか土俗的なのは、そんな幼いころの経験が影響しているのでしょうね。
これは素晴らしい演奏です。是非にも堪能していただきたい。39分ほどありますけど、交響曲にしてはそんなに長くないでしょ?(笑)
※必ず最後まで観てくださいね。映画はエンディング・タイトルが終わって客電が点くまでは席を立ってはいけないのと同じです。最後にどんなプレゼントがあるか、わかりませんのでね。それがエンタテインメント。そういう意味ではこの楽団、
エンタテインメントというものを、よくわかっていらっしゃる。
大地の鼓動、慟哭が聞こえてくるような『シンフォニア・タプカーラ』でした。