2010年にノルウェーで制作された、いわゆる「フェイク・ドキュメンタリー」という奴。ドキュメンタリー風に撮られた、純然たる劇映画です。
トロ―ルとは、主に北欧などで伝えられている森や山の精霊。
キリスト教以前には、アニミズム的な信仰の対象であったでしょう。
これがキリスト教の流入によって信仰の対象から引き摺りおろされた。
信仰対象でなくなった精霊は零落し、妖怪、怪物化していく。これは洋の東西を問いません。
日本でも河童などは、水神が零落して妖怪化したもの、とされていますね。
この映画で描かれるトロ―ルは完全な怪物扱い。ノルウェーの山や森に「実在」している怪物、トロ―ルを政府は極秘としており、人間のテリトリーに侵入したトロ―ルを「狩る」ハンターがいる。
この「トロ―ル・ハンター」を追い、特ダネをせしめようとする大学生たち。果たして彼らが見たものは!?
トロ―ルはCGで描かれているのですが、あんまり出来はよくないかな。印象としてはCGというより、昔々の映画『シンドバッド黄金の航海』とか『アルゴ探検隊の冒険』に出てくる、人形アニメーション、いわゆる「ダイナメ―ション」で描かれた怪物に近い。
怖いというよりはユ―モラス。しかしこれが人を襲い、喰っちまうんだから始末に追えない。
しかし彼らトロ―ルがこんな怪物になっちまったのは、人間が森や山、大地や大自然への感謝と畏れを忘れたからなのでね。
悪いのは人間。
な―んてことは、映画の中では一切語られておりません(笑)、あくまで私個人の感想であります。
北欧の美しく豊かな大自然の中には、今でも「精霊」たちがおられることでしょう。
大地へ、大自然へ。
森や山への畏敬の念を忘れてはいけない。それは日本であろうと北欧であろうと、地球上どこへ行っても、いや
宇宙のどこへ行っても
変わらない。