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猫と虫

 九月も半ばをすぎてようやく涼しくなり、夏のあいだ 寝て過ごすことの多かった猫のみゆちゃんも、また活発に遊ぶようになった。
 行方不明になっていたオレンジ色のピンポン玉をどこからか取り出して来て、自分で転がし、廊下を走り回って追いかけている。この、形が少しいびつになったピンポン玉でみゆちゃんが遊ぶのは、時たまである。前に遊んだときから、二ヶ月とか三ヶ月とか経ったあとで、ふと思い出したかのようにどこからか持ち出し遊ぶ。あ、そうだ、あれで遊ぼう、というわけだ。最後に使ったときどこに転がって行ったか、ちゃんと覚えているのである。
 廊下は滑るので、あと足の爪をがりがり立てる音や、床を滑ってしゃあしゃあ言う音、だったか走る音で、大変騒がしい。ピンポン玉が床を転がる音や、玄関の土間に落ちて跳ねる音もする。
 ああ、やってるなと思い、こちらの部屋で用事をしていると、音の種類が変わった。どたんどたん、ごろん、何かが落ちたような音もする。何をしているのだろう、見に行こうかしらと思ううちに、みゆちゃんが部屋に駆け込んできた。ぞぞ。そのみゆちゃんの前を、黒いものが、明らかに自らの力で走って―ピンポン玉のようにみゆちゃんに転がされているのではなく―、テーブルの下に逃げ込んだ。また出た…。
 二、三週間ほど前にも出たのだ。部屋の隅っこに置かれた箱の後ろを、右から左から、みゆちゃんが突っついていた。「何か」と遊んでいるのだ…。非常に嫌な予感がして、と言うよりもむしろ確信を持って、腕に鳥肌を立てながら見ていると、果たして箱の後ろから黒いものがかさささととび出して、壁を三十センチほど登ったかと思うと引き返し、絨毯の上を滑るように走って、ソファの下にとび込んだ。ソファのうしろに、キンチョールを撒く。しばらくして、そいつは少し離れた場所で死んでいた。
 みゆちゃんはテーブルの反対側へ回り、ちょいと手でつつく。虫は再び走り出すが、すでに弱っているようだった。またみゆちゃんに先回りされ、虫もUターンを試みるが、少し行ったところで、猫の前足に押さえられた。
 が、すぐにまた解放する。食べるつもりではなく、遊んでいるのだ。実家のちゃめも、夜中にゴキブリを捕まえて、父の枕元に置いておいたそうである。そういえば、子供の頃好きだった手塚治虫の漫画「ユニコ」に出てきた猫は、ゴキブリを捕まえて、「エビの味がするのよ」と言っていた。
 結局虫は、台所の今は使っていない床置き式クーラーのうしろに逃げ込んでしまった。みゆちゃんは、クーラーと食器棚の間に積まれた古新聞の山の上に乗って様子をうかがっていたが、バランスを失って、新聞と一緒に壁際へ落っこちてしまった。這い上がろうとするが、新聞の山が崩れて登れない。仕方がないので無様なおっちょこちょい猫を引き上げてやった。
 クーラーのうしろにキンチョールを噴霧しておいたが、虫の生死はわからない。



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Unknown (ニンキブログ)
2006-12-16 17:40:52
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