「大震災20年と復興災害」を出版
神戸の民間団体
「大震災20年と復興災害」を出版 神戸の民間団体
http://www.kobe-np.co.jp/news/bousai/201504/0007949446.shtml
阪神・淡路大震災の復興過程で見えた課題をまとめた「大震災20年と復興災害」を、民間団体「兵庫県震災復興研究センター」(神戸市長田区)が出版した。街のにぎわいが戻らず、商業者が苦境に立たされている巨大再開発事業などを「復興災害」と呼び、問題点を検証。法制度や被災者支援をめぐる提言も盛り込んでいる。(磯辺康子)
同センターは全国の研究者や弁護士らで組織。阪神・淡路が起きた1995年以降、復興に関する提言や本の出版を続け、今回は27人が共同で執筆した。
「復興災害」という言葉は9年前、同センター代表理事の塩崎賢明・神戸大名誉教授が発案した。行政の施策が被災者のニーズと合わず、さまざまな問題を生み出す状況を指し、今回はそのテーマに焦点を当てた。
高層ビルに空き店舗が目立つJR新長田駅南地区の再開発事業や、民間住宅を借り上げた災害公営住宅で被災者が入居20年を期限に退去を求められている問題などを取り上げ、課題を分析。塩崎教授は、復興災害の背景として「復興に名を借りた便乗型開発」と「復興プログラムの貧困さ」を挙げる。
阪神・淡路の教訓が東日本大震災の被災地でどう生かされたかも検証。阪神・淡路以降、国と自治体との協議で被災者支援の内容がある程度広げられてきた災害救助法について、東日本で十分に活用されなかった問題などを指摘している。
同センターの出口俊一事務局長は「東日本大震災の今後の復興や、将来の災害への備えを考える上で参考にしてほしい」と話す。
A5判、242ページ。2376円。同センターTEL078・691・4593