ついのすみかになる「無料宿泊所」
稲葉剛・立教大学特任教授が指摘
行政の姿勢も批判
ついのすみかになる「無料宿泊所」/稲葉剛・立教大学特任教授が指摘/行政の姿勢も批判
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ついのすみかになる-無料宿泊所-稲葉剛-立教大学特任教授が指摘-行政の姿勢も批判/
無料低額宿泊所を”死亡退所”する生活保護受給者が各地で相次いでいることを「毎日新聞」(2016年12月30日)が報じるなど、貧困ビジネスと生活保護の関係に注目が集まっている。
こうした中、「住まいの貧困に取り組むネットワーク」世話人の稲葉剛氏が都内で講演した。「貧困ビジネス業者の宿泊所に役所が保護申請者を送り込んでいる。両者は共犯関係にある」と行政の姿勢を批判した。講演は1月24日、「公正な税制を求める市民連絡会」が主催した。
生活保護申請は住居がない場合も可能だが、受給時には住む場所が定まっていなければならない。民間アパートなどを借りるための初期費用を行政が出す仕組みも用意はされているが、行政は出したがらないという。「『ホームレスの人に一人暮らしはできない』という偏見が行政にはある。一方、民間アパートを探しても断られるケースがほとんど。高齢単身者への入居差別は深刻だ」と稲葉氏は説明する。
その結果、生活保護を申請したホームレスの人の選択肢は(1)貧困ビジネス経営の宿泊所(2)簡易宿泊所――の二者択一に。低所得者向けの高齢者福祉施設は不足しており、一時的な寄居の場所であるはずの宿泊所が「ついのすみか」になってしまっているという。