阪神・淡路大震災から20年
兵庫県借地借家人組合本部 田中祥晃
阪神・淡路大震災から20年 兵庫県借地借家人組合本部 田中祥晃
http://www.zensyakuren.jp/sinbun/2015/566/566_01.html
20年前1月17日の朝、大音響と共に下から突き上げる振動で、一瞬、何が起こったのか、まさか爆弾が落ちたのか、立て続けに上下する振動、しばらくすると激しい横揺れではじめて地震に気付き、妻と私は布団をかぶり棚から物が落ち、物が壊れる音、私の家は新しかったので家の倒壊はまぬがれました。長女の子供(孫)2人は、成人の日の振り替え休日で遊びに来ていて16日の夜、家に帰るように言ったが、私の家から保育所に行くから泊めてくれとたのむので2階に泊まっていました。私の家から50m離れた娘の家は全壊でしかも家に返していたら、娘親子を死なすことになったのでは「九死に一生」を得た思いです。家の中は家財道具が散らばり、足の踏み場のない中をその他の家族の安否を確認し、こんな時、自分は何をすべきか考え、妻の職場は病院なのでおそらく大勢の怪我人が出ているだろうし、私の職場は民商で自営業者が困って相談に来るだろう、家のことは娘にまかせて車に妻を乗せ、住宅街は走れないだろうと思い、川の堤を走りました。
堤の道は波を打ったように上下して病院にやっとたどり着いたら病院の前は子供をタオルでくるんだ母親や、タオルを頭に載せ血が滴っている人が列を作っており、私は妻を下ろし、職場に向かい、役員の人達を集め対策会議を持ちました。
この時、尼崎で6万戸の全半壊の住宅が被災し、その多くが借家・借地であったのです。この大震災の被災者に対し政府、村山総理は、住専処理には1兆円を超える補償をしながら震災の被災者に個人補償はしないで、むしろ半壊家家屋の解体費を100万円出すことになり、そのため半壊で直せば住める住宅を解体するため大阪から「地上げ屋」が大挙して押し寄せて半壊住宅に残された住民を追い出しが始まったのです。「ヤクザまがいの地上げ屋」と闘えるのはクレジットサラ金・ヤミ金と闘っている田中が適役ということになり、私にこの役が回ってきたのです。
私は、この年の3月で定年を迎えるところでしたが2人の弁護士から「お前に1年分の給料を出すから被災者の借地借家相談」をしなさいと言われ、民商との話し合いで、半日づつすることになり、市内で20ヶ所を上回る集会所で「無料借地借家相談会」を開き、2000名を超える相談にのりました、この年の6月に尼崎借地借家人組合を結成することになりました。
震災は多くの命と建物を壊しましたが、私の第2の人生を決めてくれました。このときまさか全借連の会長になるとは夢にも思わない出来事でありました。健康の続くかぎり住まいを守る運動を続けるつもりです。
事件リポート
県営住宅強制退去日に母子心中図る
救える道はなかったか 千葉・銚子
事件リポート 県営住宅強制退去日に母子心中図る 救える道はなかったか 千葉・銚子
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-17/2015021715_01_1.html
千葉県銚子市の県営住宅に住む母子世帯の母親=当時(43)=が昨年9月、無理心中を図って長女=同(13)=を殺害しました。家賃滞納を理由に県が強制退去を執行する日の出来事でした。二度と悲劇を生まないようにとの調査のなかで、県や市の対応に問題があることが浮き彫りになってきました。(岩井亜紀)
調査にあたったのは、自由法曹団、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)、中央社会保障推進協議会などによって結成された現地調査団(団長・井上英夫金沢大学名誉教授)です。
機械的な手続き
「入居許可の取り消しを受けながらも、母親は家賃滞納分を支払う意思があった。県はこのことを適切に把握せず、機械的に事務手続きを行っていたことが大きな問題だ」―。井上団長は、こう指摘します。
調査団に協力した日本共産党の丸山慎一県議の県への聞き取りで、母親が入居許可の取り消し処分(2013年3月31日)後の同年4月12日、2カ月分の家賃を支払っていることが明らかになりました。
それだけではありません。今回の調査で、同年2月28日には、1カ月分の家賃が口座引き落としされていたことが明らかに。県が母親に明け渡し請求を送付した同年3月5日の直前のことでした。
母親は隣町の給食センターでパートとして働き、月収は約7万円。収入はこの他、児童扶養手当の約5万円などで、年収は100万円程度でした。
県営住宅の家賃減免の対象だったにもかかわらず、母親は減免措置があることを知らず、受けていませんでした。減免措置の適用で、月1万2800円の家賃が2560円にまで引き下げられるはずでした。
県営住宅に入居する1万7878世帯のうち減免対象が1万1616世帯(13年度・収入申告により算出した月額が6万7千円以下の世帯数)である一方、減免を受けているのはわずか1961世帯(14年3月末現在)です。
調査団に参加した「国民の住まいを守る全国連絡会」の坂庭国晴代表幹事は「家賃の徴収だけは熱心に行い、家賃減免の周知など社会保障への対応がなされていない」と批判。調査団は県に対し、家賃減免の周知徹底を求めました。
資料手渡すのみ
銚子市の対応は―。
国民健康保険料も滞納し、保険証を取り上げられていた母親は13年4月、短期証再発行の相談で、市の保険年金課を訪れます。同課職員は母親に生活保護をすすめ、隣接する社会福祉課を紹介しました。
面接した職員は、国保料の滞納を把握。生活困窮していたことが明らかなのにもかかわらず、職員は生活保護のしおりを母親に手渡し、説明しただけでした。
情報公開された面接記録票の「ライフラインの停止・滞納状況」欄は黒く塗りつぶされていることから、水光熱費のいずれかを滞納していたことがうかがえます。
井上団長は「福祉事務所は本来、生活困窮者に対し申請の有無にかかわらず職権で保護を開始すべき責任を負っている」と強調。「申請がなかったから」との理由で保護を開始しないことは、「生存権を尊重していないと言わざるを得ない」と批判します。
全生連の安形義弘会長は「この事件は銚子市だけの問題ではない。自治体が憲法25条に基づき住民の暮らしに責任を負わなければ、同様の悲劇は防げない」と強調します。