生活保護・住宅扶助の減額検討
厚労省「一般世帯より割高」
生活保護、住宅扶助の減額検討 厚労省「一般世帯より割高」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1600L_W4A610C1PP8000/
厚生労働省は生活保護のうち民間アパートなどの家賃を補助する「住宅扶助」の支給水準の
見直しに入った。
2015年度からの補助上限の引き下げを検討する。上限額は保護を受けていない低所得世帯の家賃に
比べて割高との指摘もあり、改定方法の改善もめざす。
社会保障審議会(厚労相の諮問機関)が現行水準の検証に着手した。検証を今夏中に終えた後、改定
方法の見直しも議論し、11月をメドに方向性を示す方針だ。
家賃補助の上限額を示す住宅扶助の基準額は、過去5年間で都道府県レベルでは栃木と富山の一部
を除いて据え置かれている。例えば東京都23区でも過去10年間、2〓6人世帯の上限額は月6万9800円
のままだ。
この間、消費者物価指数のうち家賃を示す指数は04年度(月平均)の101.2から、今年5月には98.4まで
2.8ポイント低下している。
全国レベルでも家賃は10年前から下落傾向にある。このため保護を受けない低所得世帯の家賃に比べて
水準が高い場合があると、会計検査院や財務省は指摘している。
生活保護のうち、食費や光熱費などをまかなう「生活扶助」は物価下落をふまえ、13年8月から段階的に
計670億円程度の減額を進めている。社保審は住宅扶助の支給水準が一般の低所得世帯と比べて妥当か
どうかを検証。高水準と判断されれば、生活扶助と同様に数年かけて適正水準への減額などを検討する。
住宅扶助の支給水準に大きな変化がないのは、毎年度の改定方法に問題があるとの指摘も多い。
現行の改定方法は物価上昇局面では家賃物価と連動して基準額が上がりやすいが、逆に下降局面では
据え置きになりやすい仕組みとなっている。
このため改定方法の見直しも議論の対象とする。社保審は一般国民との均衡を図る観点から改善の
是非を議論する。財務省も家賃の物価指数との連動性を高めた方式に変更するよう求めている。