あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

精神科のカウンセリングpart3

2018-06-17 18:07:22 | 物語(小説)
白いドアを開け、我れはエドワード・スノーデン似の精神科医の先生の前に、その床の上に、倒れこんで言った。
「くっ、苦しい...」
我れの目の前に、先生の足があった。
「先生の足...くっ、苦しい...」と我れはもう一度言った。
先生は静かに、黙って我れを見下ろしている。
「神よ...愛せないのです」
「我れはだれをも、愛せない」
「死よ...!愛している」
「我れはあなたを愛していない」
「愛せないのです。だれをも。だれをも、...!」
我れは先生の足許で、うち震え、両の目は熱く、口は弛み、その両方の排泄孔から、体液を垂れ流した。
けつからは、脱糞、放尿、我れは、人間を、喪ったのであろうか。
我れの涎と涙の交じりあったものは、冷たい床の上に、我れの一昨日の夜に、はずめて作った、精進キムチの、その臭さ。臭み。それが、その臭いが、我れの鼻を浸く。
我れは虚無のなか、救いを求めずにはおれなかった。
臭い、冷たい、苦しい、虚無、惨め、渇望、切望、絶望、残死、渇愛、我れは目を見開き、口からは絶えず涎が垂れ流れ、ただただ虚しく、何からも救われなかった。
だれも居なかった。
この空間に、だれも、我れとエドワード・スノーデン似の、先生以外、だるも居なかった。
先生は、我れを、椅子から下りてその頭をもたげた。
そして、白いハンカチで、我れの涎を拭い、それを嗅いで「くんくんくん、大丈夫です。よく発酵しています」と言って、我れを顔を覗いて微笑した。
我れはやっと見開いた赤い目を瞬きをして、「だれも、だれも愛せない」と言った。
「糞尿のこと。糞尿のこと...」と我れは呟くも、先生は我れを黙って見詰めていた。
我れは、人間を喪っているのではないか。
我れは、生命を喪っているのではないか。
我れは、存在を喪っているのではないか。
「だれも愛せない。だれも愛せない。だれも、我れを愛せなければ、だれも、我れも愛せない」
「だれも、我れは愛せない。だれも、我れを愛せない」
「わたしは貴女を愛しています」
先生は、哀しい目をして、我れを見詰めながら「わたしだけが貴女を愛しています」と言った。
「わたしだけが、貴方を、愛しています」
我れは人間を喪い、生命を喪い、存在を喪った為、鸚鵡返しを先生に返す。
「貴女はわたしだけを愛しています」
「貴方は、わたしだけを、愛しています」
「貴女のすべては、わたしの愛でできていることを想いだしてください」
「アナタノスベテハ、ワタシノアイデ、デキテイルコトヲ、オモイダシテクダサイ」
「貴女がわたしを本当に愛しているため、わたしが存在するようになったのです」
「アナタガワタシヲ、ホントウニアイシテイル、タメ、ワタシガソンザイスルヨウニ、ナッタノデス」
「貴女はわたしを愛しています」
「アナタハワタシヲアイシテイマス」
「貴女はわたしだけを、愛しています」
「アナタハワタシダケヲ、アイシテイマス」
「半月が、半月を食べ、満月となる」
「ハンケツガ、ハンケツヲタベ、マンケツトナル」
「太陽が、闇の水面にぽっかり浮いて、おはようございます」
「痛いよう。が、病み野吸い面にぽっかりウイングして、」
「貴女は目覚めます」
「オハヨウゴザイマス」
「貴女は」
「アナタハ」
「わたしを」
「メザメマス」
「おはようございます」
「アナタハ」
「ワタシヲ」


















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