久しく聴いていなかった、古いCDを出してみた。
ピアノの小品集だが、 この一曲目に、『乙女の祈り』が入っている。
『乙女の祈り』。 ピアノ曲といえば、誰でも聴いた事があるであろう名曲。
しかし、この作品に関する資料はあまりない。
作曲は、バダジェフスカ。
1834年・ワルシャワ生まれ。 ショパンと同郷だ。
しかし、この年24歳のショパンは既に、 故郷を離れパリに移り住んでいる。
バダジェフスカは、ごく普通の少女で、 有名な音楽家でも演奏家でもない、
まったくのアマチュア音楽愛好家だった。
18歳の時、 当時流行していたサロン・コンサートなどで演奏するため、
作曲して弾いたのが評判になったようだ。
4年後には、ワルシャワで楽譜が出版され、
さらにその3年後の1859年、 パリの音楽雑誌の付録として、 この楽譜が紹介された。
そこから、この曲は世界中に知られる事となる。
しかし、 バダジェフスカは、とても病弱だった。
『乙女の祈り』が、世界に広まった頃、 彼女は27歳という若さで病没した。
バダジェフスカは、 他にも何曲かサロン風の曲を作ったが、
有名になったのは、『乙女の祈り』だけだ。
ただ、この続編として、 『叶えられた乙女』という曲も作曲している。
しかしこれは、 周囲の好奇に乗せられて作った色合いが強く、
ほとんど日の目を見ずに終わっている。
そして、 27歳で死去したというのも、実は定かではない。
24歳で亡くなったという説もある。
そちらが正しいとすれば、 1858年9月29日が命日だ。
もうすぐ、没後150年の日を迎える。
詳しい事がわからない名曲。 だが、若くして亡くなったからこそ、
この曲は輝いており、 いつまでも『乙女』なのかもしれない。
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