とうとう
三週連続で最悪な体験を記事にする、あくっまです。
さすがに落ち込んでいたのと、兄がネットに接続できるPCを占領していたのでここ数日更新できなかったが……もう書くしかない。
書いて読んだ皆さんも気をつけていただきたい。
女と酒には、注意しろ。
7月1日、このブログでは御馴染み「一日会」が社内で行われた。
今回の「一日会」は特別に大阪支店から明石の蛸が差し入れられ、なかなかの盛況ぶり。自分も酒はコップ半分も飲まず、ひたすら食べまくった。
二週間で二キロ減った体重も元に戻らん勢いだ。これがまた減少化傾向になる出来事が夜に起きるのが
七時ごろ、新宿で会社の同僚とお買い物
ボーナスが出たばかり、しかもバーゲンの初日なのではりきってタンクトップを買う。ビーズの刺繍が入って2,940円と、可愛いモノ大好きな自分には嬉しい限り。
そして閉店間際の丸井では、サマンサの籠バッグが…半額の値札も手伝い、奮発して購入
これがちょうどいい大きさで可愛い
値段も12,040円と欲しかったバッグより安いし。大満足で10時ごろ、同僚と茶をしばいていた。
その時同僚のケータイが鳴る
どうやら仲の良い課長が、スロットで大当たりを出したらしい。
「それならさ、カラオケ行きましょうって誘おうよ!」
「どうせならここに課長呼んでさー、お茶代もおごってもらおうよ」
怒涛の展開に付いていけなかったが、その同僚たち(この二人はクラブに自分を連れて行ってくれた人たち)は課長を呼び出すとその場でレジに行かせ、カラオケに連れて行く。課長もさっさと払ってくれる。
仲が良いとこんな風に上司はしてくれるのか……とよく知らない部署なのでそのまま流され、個室に入った。
「とりあえず飲みましょう!」
ということで、お腹一杯だったが軽いカクテルを頼む。同僚達はつまみをいくつか頼み、課長には焼酎をボトルで注文。そのうち唄い始める。
一曲歌うごとに「乾杯~!」とグラスを合わせ、一度は一気飲みを課長にさせた
そのうち課長のグラスに作る焼酎は、ロックからストレートへと変わる。
もちろん唄う間、踊ったり跳ねたりマスカラ鳴らしたりで全身運動もした。
……そんなことを二時間半もした一時頃。
課長はぐてんぐてんになった。
そこで同僚は課長に言った。
「課長、もう夜遅いから帰りましょう」
「そうだね。じゃあ帰ろうか。皆何線で帰るの?」
「課長、一時だから電車止まっていますよ」
「だから私達にタクシー代、一万円ずつ下さい」
この時課長は相当酔っていた。そして彼女達は課長が酔ったら記憶を無くすことを知っていた。
課長はなんの躊躇いも無く自分達三人に一万円ずつ払うと、二万円弱のカラオケ代も払い一緒にタクシー乗り場へ向かった。
自分はべろんべろんに酔っ払った課長の手を引きながら、一体何が起こったのか考えてしまった。
カラオケボックスから出る前、課長がトイレに入っているとき彼女達は自分に言った。
「いい?あくっまは人がいいから『要りません』って言うかもしれないけど、これは課長が私達と居て楽しかったからくれたサービス代だよ!」
「そういう時には笑って『ありがとうございます』って言うの。だってこれはお礼なんだから」
タクシー乗り場で課長は柱にもたれながら眠りこけた。なかなか来ないタクシーを待ちながら、自分は同僚の一人が深夜バスで家に帰ったと教えられる。タクシーではない、残った金はお駄賃だ。
課長と家が近いから一緒にタクシーで帰ろうかと提案すると、彼女は慌てて自分を止めた。
「あんな酔っ払いと帰って、後部座席で何かされたらどうするつもりなの?」
確かに。
酔った課長は自分がトイレで部屋を離れていたとき、彼女達に抱きついていたらしい。
それは怖い。
だが、このグテングテンに酔った課長は、悪意のあるタクシー運転手に金を巻き上げられるかもしれない。その時彼女は妙案を出した。
「そうか、助手席に課長を乗せて途中であくっまが降りればいいんだ!」
なるほど、と自分も頷いた。それなら自分も課長も安全だ。
「良かったね、一万円丸儲けじゃん!あくっま絶対貰ったお金払っちゃダメだからね!!」
結局タクシー乗り場では埒があかないと思った彼女がタクシーを一台拾い、一緒に乗って帰った。彼女は自分のことを心配してくれ、途中で何度か電話をくれた。課長の家のすぐ傍にある某駅前で先に降りて帰った自分は、家まで2キロの道のりが怖かったので、彼女と電話しながら帰った。
車も通らない道のりではその電話がありがたかった。今思うと何故駅前でタクシーを探さなかったのかと思う(実際タクシーは無かったのだが)
基本的にはとてもいい人達なのだ。
その前の週、男性の部屋で泊まったという事実にショックを受けた自分を、一笑して慰めてくれた。
「何も無かったんだから、これから気をつけようと思えばいいじゃん!」
とても良い人達だ。ショッピングする店の幅も増え、新しい知識も貰えた。仕事の悩みも聞いてくれる。
だが、あのタクシー乗り場での出来事は忘れられない。
カラオケをした後という事もあり、自分達は喉が乾いていた。課長の酔いを醒ますのも必要と思い、自分は何度か課長に「水を買ってきましょうか?」と声を掛けたが、泥酔状態の課長は返事も出来ず眠りこけていた。いい加減心配になってきた頃、彼女も「喉渇いた~水欲しい
」と言ったので、これは自分が買えという合図なのかと思い「買ってきますよ」と言った。
「誰が払うの?」
「え、私ですよ」
「いいよ、課長に払ってもらうから」
彼女は座って寝ている課長の両肩を掴み、揺さぶった。
「ねえ、課長~。私喉渇きました。課長も喉渇いたでしょ?だから私に千円くださ~い」
この瞬間、タクシーを待っていた人たちの視線が自分達に注がれるのが分かった。
その目は自分達の事を
タカリだと言っていた。
まさにその晩やった事はホステスだったのだ。
ホステスが悪いと言っているわけではない。それで生計を立てている人もいる。ホステスだって立派なサービス業である。
しかし自分は中小企業のOLであり、ホステスではない。でもその晩にやった行為は、ホステスだった。
この日初めて悟ったのは、「人間性と価値観というものは全く違う」という事だった。
人間的に素晴らしい気遣いの出来る人間がいる。人が落ち込むと明るく笑わせ、自分が辛くても気丈に振舞う事が出来る人間は、とても人間性のある人だ。
しかし価値観というものは人間が生活してきた環境に左右される。
彼女と自分の価値観は、合わなかった。
自分はプライドが高いと人によく言われる。しかし、お小遣いが欲しいから男性に媚を売る真似は、もう自分には出来ない。
先週の男性宅に行ったのだってそうだ、もうやりたくない。
先々週のクラブで体を撫でられ、キスされそうになったのだってそうだ。
もう厭だ。
人間の本質としては素晴らしい物を兼ね揃えていても、自分の価値観を変えてまでこれ以上深く付き合うことは出来ない。
結局は価値観の押し付け合いになってしまうからだ。正しい価値観などない(常識というガイドラインのようなものはあるが)
だから同僚とは、終電までしかお付き合いできないんだなと考えるようになった。
それ以上の、自分の価値観が揺さぶられる所まで付き合うと、もうお互い厭になるのがわかってしまったからだ。
週明けの月曜日、彼女達とは昼休みを共にしたり、仕事で話したり仲良く笑った。
課長にも笑って挨拶している。
サービス代の一万円は、返してしまったら課長も気まずいだろうという彼女達の言葉に従い、使ってしまったファッション代の足しになった。
一万円で課長のホステスになり、プライドに従って返す勇気も無い、そしてここで愚痴を垂れ込む自分は情けない人間だと思う。
もう、朝帰りはこりごりだ。
「変なプライドは無くせばいい」とよく言われるが、無くした所で何も残らなかったのは実感した。