yomiuri online から
富士山 吉田市からの眺め
毎年のことだが、今年もまた富士登山の混雑ぶりがニュースなどで話題となった。
例年、20万人を超える人々が・・・などと出ている。
夕闇迫る中のこのヘッドランプの光の筋は、いつも僕の中に人間の営みに対する感情の一端を
静かに引き起こさせてくれる。
実際の登山でも遠目に見ると静かな人のエネルギーの流れに見える。
10年ほど前に僕の場合は須走口から登った。その前が富士宮側から登り、車道を延々と歩かされる状態で懲りたので、
登り口を変え時間帯も夜を通して登ることにした。山小屋での混雑も回避したかったからだ。
山小屋は登ってみるとこちら側は人気の吉田口側とは異なり意外に空いている印象だった。
人の列の少ない、静かな夜道を登った記憶がある。
そして途中で吉田口ルートと合流するあたりになると様相は一変した。行列!
やはりメインルートだけあって、人多く、話し声も賑やかといえば賑やかだが騒々しく、
登山品の何やらガチャガチャという音とぜーぜー言う息の音などが入り混じった中を、
また元気を回復させ、登って行くのだった。
そういった静けさと賑わいの変化も楽しいものだった。
懐かしい思い出だ。
富士登山は延々と登る感じだ。以前知り合いのおばさん(失礼! とは言っても僕と似たような歳だった)が、富士山に登った興奮
まだ冷めやらずという感じで話してくれたことがあって、僕はその時はまだ行く気は無くぼんやりと口を開けて聞いていたのだが、
「富士山ってやっと山の上に登ったと思ったら、他と違って、またもう一つ上に高い山がそこからある感じで、
なっかなか着かないんだから、もう!」と身振り手振りを入れて言っていた。
その後、何かの縁で登ってみることになったのだが、そうだった。言っていた通りの感じ。
延々と登り、延々と砂利の斜面を下り、2回ほど登ったけれど、僕は、もう大変なのであまり行きたくはない。
今年の夏は、早朝の南アルプスから、富士山が綺麗に見ることができた。眺めていて、今年もまたあの斜面を行列をなして、炎天下また夜、
一日中絶えることなく人が登っているのだろうなと思った。
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