歩射祭の前日胴結舞の夜は、夕方6時を過ぎると「ワッショイ・ワッショイ」の掛け声が、志賀海神社の参道の家並みを駆け抜ける。
子供達を含めた射手の若者達はそのまま海に向かい、冷たい海に体を沈めて禊ぎを行う。
それから参道の中ほどにある仮宮の前で、樽に入った真水を被ってこの夜の禊ぎは終わる。
樽の前に一列に並んだふんどし姿の子供たちに向かって、容赦なく「すくい桶」で水が浴びせられる。
沿道では厚着をした地元の人から、ガンバレーの声がかかる。
樽の水も減ってくると前列に座った子供たちの頭に、冷たい水が一気にぶちまかれる。
取り巻く観客からは、同情とも歓声ともつかないどよめきが起こり、この日の禊ぎは終わる。
彼らはこれから神社にこもり、歩射祭の朝を迎える。