バイクすぐにどけますからといってライダー5人が見晴らしの利く小高い山に向かった。
「いいよ、絵になるから撮らせてもらうよ」といって、扇田を見下ろせる農道を少し歩き三脚を据えた。
初夏の阿蘇谷の風景を見終え
湯布院へ向かい水を張った田んぼに浮かぶ、逆さ由布でも撮るかと考えていたが
阿蘇谷もまだ水が張ってない田んぼがあり、ここより更に70kmも走ってがっかりしても仕方がないので
湯布院の初夏の風景はボツにした。
単に100km近くもハンドルを握るのが嫌だったのかもしれない。
そこで、産山村の扇田を覗いてみることにした。
水を張った扇の形をした山奥の田んぼは、今年も夏の季節を伝えてくれる。
そばの牧場では、鉄条網の近くに寄ると人馴れした牛が近づいてくる。
頭をゴシゴシとしてやると、気持ちよさそうな目をする。
頭を撫でながら「すき焼きを食べることはないよ、だって牛は食べないから」そう言ってやった。
もともと、肉といえば豚が鳥しか食べない。
年に数回食べるステーキは、赤みの多いオーストラリア牛だ。
ステーキ食べたとしても、頭を撫でられ気持ちよさそうな眼差しを向けた
あの牛を思い出すこともたぶんないだろう。