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会津の旅人宿 地域との交流・旅人との交流が盛んな【会津野】宿主ブログ

地域の話題、旅人のホットな話題、季節のおいしい食べ物の話題など、会津へ旅する人々への話題中心の宿主ブログです。

【会津野】デジタルカルテル

2017年04月03日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今日は、カルテルのことを考えてみます。

車を運転していると、ガソリンの値段はいつも気になるものです。

市況が上昇すると、一斉に各ガソリンスタンドの価格が値上がりし、まるで申し合わせたように同じ価格になることが多々あります。

もしここに、競争制限的行為を行う合意があればカルテルとなります。たいていの場合は、他の店の価格を調べたうえで、ガソリンスタンドが自己判断し値上げをします。この場合は、カルテルになりません。

つまり、複数の業者間での合意があるかないかが問題となります。

さて、表題に掲げたデジタルカルテル。

いま、インターネットのマッチングモデルによるシェアリングエコノミーの分野で問題となっています。

それでは民泊の例をみてみましょう。

民泊アプリのairbnbでは、宿泊をしたい人と受け入れたい人のマッチングを行います。ここでは、民泊の受け入れ側がいわゆる業者の立場になります。

受け入れ側は、立地や設備などを考慮して1泊の値段をつけます。airbnbには、この値段を需給に応じて変動させるスマートプライシングという機能があります。この機能を使う場合、受け入れ側は、最低価格と最高価格を設定し、airbnbはアクセスや予約の状況を考慮しながら、設定の範囲内でどんどん値段を変更していきます。

airbnbは、販売額に相当する一定の率で報酬を受け取るビジネスモデルのため、販売額が大きい方が手数料収入が増えます。

受け入れ側も、同じ部屋が高い値段で売れた方が嬉しいことなので、この機能を使います。

ここに、競争制限的行為の合意があるかないかは微妙ですが、"値段の明確な合意"はありません。

割を喰うのはだれかと言えば、需給がひっ迫したときに泊まる宿泊者ということになります。

こういうことをデジタルカルテルと言います。

IoT(モノのインターネット)と呼ばれる家電などと、インターネットがつながる分野では、商品の発注が人工知能により行われようとしています。

たとえば、急速に気温が上がることを検知して、アイスクリームの発注を自動的に行う冷凍庫が開発されたら、その発注を受けるアイスクリーム屋さんは、急に忙しくなるので、そのアクセス増加により値段を変更するようなことが起きます。もし発注量が普段の100倍に達したら、値段も100倍にして自動的に受注すると言うことが起きるかも知れません。その場合、その冷凍庫を持つ人は、100倍の代金を払わなくてはなりません。

これもデジタルカルテルでしょう。

現行の法律では、競争制限的行為の合意があるかないかが、カルテルかそうでないかを分ける点です。なので、デジタルカルテルには対応できません。

経済学的には、需給により価格が変動するのは、至極当然のこと。

宿泊予約を考えると、あまりにも高い価格が提示されたときは、もっと安い日に宿泊するという働きが起きるでしょうから、いずれ平準化されるような気もします。しかし、例に出したアイスクリームなどは、平準化が難しい分野です。同じ商品が需給により大幅な価格変動が起きるでしょう。

リアルな分野では、アイスクリーム屋さんの店頭に、ガソリンスタンドのような電光掲示板で「ただいまのアイスクリームの値段」という表示が現れる世の中になるかも知れませんね。

社会においては、どんな価格設定が幸せなことなのか。考えさせられます。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】金銭欲による行動への抗い

2017年04月02日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

「弾正ヶ原」(林清継著)、やっと読み終えました。

この作品は、在福であった歴史家高橋哲夫氏(元郡山女子大学教授)による詳細な史実を元に、小説として書かれたものです。

明治15年当時の三島通庸県令(のちの県知事職)による会津三方道路建設に際し、県令の並み外れた出世欲と金銭欲により、会津の人々が翻弄される様子が表現されています。

この物語のポイントは2つです。

ひとつは、民衆によらないところで規則(法律など)を決め、それに従わない人々を排除・弾圧する恐怖政治を敷くこと。会津の人々は、武力を用いずに抗していく姿があります。

もうひとつは、県令側から密偵を出し民衆に忍び込ませ、武力による蜂起を煽動すること。こちらは、民衆側の仲間内に疑心暗鬼の状況を作り出し、民心の一致を壊すことです。

前者は、自由民権運動の根幹であり、後者は支配者による弾圧の方法となっています。

現代では、不敬を理由とする証人喚問を行い偽証罪で告発しようとしたり、共謀罪の議論が行われたりしています。

まったくもって、明治初期と同じようなことが行われる下地が作られていると感じます。

歴史をひもとけば、決して武力に頼らなかった会津の人々の思想どおりに、民衆が自由と政治決定権(選挙権)を獲得する方向へと進みました。しかし、そこまでの道のりはとても長いものでありましたが。

図書館の蔵書システムを検索したら、この件に関する郷土研究家による多数の書籍がありました。

今年は、さまざまな研究を読み比べしながら、もっと知識を深めていこうと思います。

さて、アメリカの起業家イーロンマスク(Elon Musk)が、人工知能と人間の脳を接続する会社を起こすことを発表しました。

他方、同じアメリカで、配車アプリ(Uber)による利益最大化ロジックにより、需給がひっ迫する時間帯のタクシー利用料が高騰し、消費者によるデジタルカルテル訴訟が起きています。

もうすでに、人工知能を使った金銭欲の問題が現れ始めました。

これに抗うための基本的な問題とはいったい何だろうか。

この点をおさえておく必要がありそうです。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】復興の様子を伝える試みをはじめよう

2017年04月01日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

「弾正ヶ原」(林清継著)、一字一句をしっかりと、ゆっくりと読んでいます。

ここのところ、息子の新生活に向けた準備で忙しい日々でした。目が充血してしまい、眼科受診のついでに、近くの清水屋旅館跡を訪れてきました。

現在は、大東銀行会津支店となっている場所です。(会津若松市大町一丁目1番38号)

吉田松陰。土方歳三、新島八重などの歴史上著名な人々が滞在された案内があります。

【会津野】明治維新から150年 反省すべきことは?では、清水屋事件に触れました。明治15年に福島県議会議員宇田成一が官憲に襲われた事件です。

1868年(明治元年)の戊辰戦争後の事件は、あまり話題になりませんが、この事件は戊辰戦争後の会津の自治を決定づけるきっかけになったものです。

明治、大正の時代は、目に見えるシンボルとして清水屋旅館が存続していたので、人々が事件のことを共有できましたが、昭和元年に取り壊しされ、急速に明治初期のことが失われていきました。

残念ながら、このような記述は、現在の案内看板にはありません。

現代の会津を訪れる人々に向け、「戊辰戦争後の復興」と「東日本大震災後の復興」の2つのテーマについては、広く内容をお知らせする観光資源整備がまだ行われていません。

この2つの分野について、いろいろと調査しながら、宿の中でお伝えできるよう、努力していこうと思っております。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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