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【会津野】契約とないったいなんぞや

2017年04月16日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

「社会契約論」(重田園江著)を読んでおります。

なんだか難しい世界に足を突っ込んでしまったと思うものの、ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズの各思想家たちの著作から、社会契約に関することを詳しく引用し、述べている内容の書籍です。

まず、ゆっくりとホッブスのところを読んでみました。

著者がホッブスの社会契約論をまとめているところを少し引用してみます。

★ ★ ★

社会契約論という近代を創った思想の出発点にあるのは、崇高で冒すことのできない人間の尊厳、その意味で不可侵の人権ではなかった。それは、貴賊も社会的地位も身分も財産も老若も男女も問わず、ものすごくくだらないことにこだわり、欲望にはかぎりなく、そしてどうしようもないことで言い争い、同じパターンの醜いけんかをいつまでもくり返す、そういう人間認識だったのではないか。

(中略)

しょうもなくくだらない人間から秩序を作るために、ホッブスは人間と人間との約束という、当事者にある種の対等性が求められる関係に注目する。人間たちが政治社会を構成するためには、相手がたとえ誰であっても、ことばやしるしを伴って交わされた約束に例外なく縛られるというルール、約束によって無理やりにでも相手を引き込んでしまう、関係そのものが生み出す力が必要だった。醜くしょうもない人間たちは、ばかばかしいことでいがみあい争うけれど、彼ら自身が交わす約束に内在する力から、約束へと巻きこまれる。契約が持つ力は、それぞれの人が交わす無数の約束に内在する力として、アソシエーションを維持するために作用し続けるのだ。

(中略)

約束が交わされたとたん、関係そのものから拘束力が生まれる。だからそれは、約束自体に内在する力なのだ。しょうもない人間たちは、それでも相互に約束を交わすことができ、そこの内在する力は、契約の力、約束の力となる。それが政治社会形成の原動力となり、それを維持する基礎的な結合力、引力となる。

人間へのこれほどの信頼、あるいは人と人との関係へのこれほど絶大な信頼の思想が、いったいほかにあっただろうか。ホッブスの社会契約論が、近代における人間の最も強力な擁護者だというのは、こういう意味なのだ。

★ ★ ★

なるほど。契約と、契約から生じる拘束に内在する力が、社会を支えているということですね。

実社会では、「暗黙の了解」や「社会通念」などという分かりにくい契約に似たものに良く出くわします。

どんなに一匹オオカミな生き方をしても、近代社会では契約からは逃れられないもの。

ただこういう状況の中で、「2年縛り」のような不利となるものを盛り込み、商品の対価を安く見せかける契約も存在しています。

商品売買の契約は、社会契約とは違うと言えばそれまでだけど、しょうもない人間がしょうもない人間をだます争いを、永遠と繰り返しています。

社会契約という人間の擁護者を悪用する醜い商人の世界からは、さよならしたいものだ。

ヒューム、ルソー、ロールズの章も楽しみだ。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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