弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

妄想オッパイグランプリ

2015-02-11 22:34:43 | 知財一般

今日は建国記念の日(紀元節)。

神話の世界の話ですが、我が国が建国された日を祝う日です。

建国記念日ではなく、「建国記念の日」というように、間に「の」を入れるのが正式なようです。

 

さて、そんな建国をお祝いする日なのに、いきなり表題がアレですが…

これ、「週刊実話」という雑誌に掲載された記事のタイトルです。

8人の女優さん(綾瀬はるかさん、石原さとみさん、深田恭子さんなど)の顔写真を使い、オッパイのイラストを合成したものを載せてました。

これは酷いということで、週刊実話の出版社を訴えたわけです。

 

その判決が先日出ました(東京地裁平成27年1月29日判決)。

ニュースにもなってちょっと話題になってましたね。

そういう意味では、ブログで取り上げるのが遅い…

 

この訴訟、主な争点は、

 ・パブリシティ権侵害と、

 ・人格権(氏名権、肖像権、名誉権)・人格的利益(名誉感情)の侵害

の2つ。

 

判決は、

 ・パブリシティ権侵害は否定

 ・他方で、人格権・人格的利益の侵害は肯定

ということで、後者の権利侵害により、原告各人に75万円(+弁護士費用5万円)の損害賠償請求を認めました。

いかにもヌード写真であるかのように表現され、コメントにも露骨な性的表現が使用されていたので、これは許されないという判断。

 

で、なぜこのブログでこの判決を取り上げたかと言うと、パブリシティ権が問題となっていたから。

 

パブリシティ権というのは、顧客吸引力を排他的に利用する権利のこと。

要は、有名人の氏名や肖像には宣伝効果や商業的価値があるので、その氏名や肖像を勝手に使うなという権利です。

どの法律にも規定されていませんが、判例上認められ、知的財産権の一つとされています。

 

以前からいろいろ議論されていましたが、最近、最高裁がその権利性を認めてます。

ピンクレディー事件という平成24年2月2日の判決です。

ちなみに、最高裁が認めたのはあくまで人に関するパブリシティ権。

人格権に由来する権利として。

 

なので、人ではなく、物やキャラクターに関するパブリシティ権は認めていません。

以前、ギャロップレーサー事件(平成16年2月13日判決)というのがありました。

競走馬(オグリキャップとか)の名前等のパブリシティ権が問題になったのですが、否定されてます。

 

さて、このように、人の氏名や肖像にパブリシティ権を認めるのはいいとして、

有名人というのは、社会から注目を浴びる人です。

報道や論評等の表現行為の対象となります。

なので、表現の自由というものとバランスを取る必要がある。

そうでないと、自分に都合の悪い報道等の表現行為にだけパブリシティ権を主張する、

なんてことになりかねませんので。

 

そんなわけで、最高裁は、パブリシティ権が認められる基準をきちんと立てています。

上記の件は、この基準に事案を当てはめ、パブリシティ権の侵害には当たらないと判断したというわけです。

 

理由は、

・記事は、女優さんたちの肖像(顔写真)そのものを鑑賞させるのではなく、ヌードを妄想させることを目的としていること

・記事は、雑誌の巻末に近いところに、ほんの一部として掲載され、表紙にも取り上げられず、一人一人の扱いも小さいこと

といった点から、この記事を見るために雑誌(週刊実話)を購入するとは考えづらい、というもの。

 

このように、パブリシティ権侵害では、名前や肖像がどのように使われているかが判断要素となります。

理由については、裁判官の評価の問題なので、いや実際は違うでしょという意見もあるかと。

とはいえ、氏名や肖像(顔写真)の顧客吸引力の保護というパブリシティ権に限ってみれば、事案を見る限り、こういう判断になるんだろうなあと思います。

人格権・人格的利益の侵害は認められているので、結論としても妥当じゃないですかね。

 

おっと、今日はちょっと長くなってしまいました。

 

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金銭トラブルの相談

2015-02-06 23:30:00 | 法律一般

先日、突然、弁護士ドットコムから電話が。

また例のごとく営業の電話かと思っていたら、どうやら、弁護士ドットコムが配信するニュース記事の執筆を依頼したいとのこと。

そういうことならと、お引き受けしました。

記事といっても大した量ではないし、もちろん報酬もないですけどね。

近いうちに弁護士ドットコムから配信されるので、その際は、またブログで紹介するので読んでやってください。

どんな記事かはお楽しみ(^^)

 

さて、このところ、金銭関係のトラブルについて相談を受けることが増えました。

ご紹介をいただいた案件ばかりですが、こうやって紹介していただけるのは大変ありがたいことです。

 

一口に金銭トラブルといって事情は様々。

相談者も、個人の方だったり、事業をやられている方だったりいろいろです。

 

で、個人間なのか、会社間なのかに関係なく、この手のトラブルを解決するうえでよく問題となるのは、次のような点です。

  1.  証拠の有無
  2.  消滅時効
  3.  回収の可能性

トラブルになっている以上、訴訟するしかないという場合も多いですが、現実に弁護士費用を払ってでも訴訟するかどうかは、これらの点を考える必要があります。

 

第1点、証拠の話ですが、訴訟で主張が認められるためには、客観的な証拠があるかは結構大きな要素となります。

客観的な証拠とは、契約書だとか、領収書だとか、当事者間でのやり取りを示すメールや書面とかそういう言い分の裏付けとなるもの。

単に、こういうことがあったと言ってるだけでは、相手からそんなの知らん、と言われてしまえば、言った言わないの水掛け論になってしまい、証明が難しくなってしまいます。

その意味では、残せるものはきちんと残しておくことが重要です。

最初からトラブルになるとは思っていないことも多いので、なかなか難しいですけど。

 

第2点、消滅時効の話です。

時効の話は、ネット上でもいろいろ情報があふれてますが、所定期間が経過してしまうと権利がなくなってしまうので、本当に重要です。

現状では、一般的には個人間での時効期間は10年、商取引にかかわる場合は5年となってます。

ただ、職業によって、短い期間(飲み屋のツケは1年とか、工事の請負代金は3年とか)が定められている場合もあるので、注意が必要です。

 ※今、民法改正の審議が進んでいて、いずれ、時効期間も改正されることになります。

 

第3点、回収可能性の話。

仮に、訴訟して勝ったとしても、相手が素直に支払いに応じてくれればいいですが、そうじゃない場合も多い。

そうなると、勝訴判決も、結局は絵に描いた餅。

改めて裁判所を通じて、強制的に相手の財産を差し押さえる手続が必要になります(ここでも別途弁護士費用が必要)。

ただ、相手の身ぐるみはがずわけにはいかないので、不動産とかまとまった預金とか、相手にそれなりの財産がなければその手続も無意味になる。

というわけで、財産のない人や会社からお金を回収するのは難しいんです。

 

金銭トラブルで泣かないように、特に、個人の場合だと、安易に人を信用してお金を渡したりしないことが大切です。

 

商売上、売掛金などが生じるのは避けられない場合ももちろんあります。

そういう場合は、普段から回収困難になるリスクを念頭に活動することが肝要ですね。

リスク管理と簡単そうに口では言っても、実際、そこまで気がまわらないのが現実かもしれませんが。

 

 

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長浜へ行ってきました

2015-02-03 23:20:46 | 日記

表題からして今日は他愛もない話です。

 

先週末の土曜日、中弁連の委員会が滋賀の長浜でありました。

なぜ長浜かって?

中弁連は、東海三県(愛知・岐阜・三重)と北陸三県(福井・石川・富山)の各弁護士会で構成されています。

委員も各弁護士会に所属しているので、今回は中間地点でやりましょうってことで長浜となったわけです。

 

委員会は午後からだったので、せっかくなので早めに行って市内散策。

名古屋は晴れていたのに、長浜に着いたら猛吹雪(>_<) 寒かった…

 

長浜といえば、「黒壁スクエア」が有名ですが、そこよりもまず最初に行ったのはココ。

 

左側にヤン坊マー坊がいますね。

ヤンマーミュージアム。こういうところ結構好きです。

ショベルカーの操縦体験とか、クルーザの操縦体験もできて、いい歳して結構楽しんできました。

 

その後は、鉄道スクエアへ。

蒸気機関車のD51(デゴイチ)が展示してありました。マニアとまではいかないけど、こういうのも結構好き(^^)

 

 

「號tetu (コテツ)」でラーメン食べて、今後はお城へ。

お城のある街に行ったら、お城は外せません。

 

最後、委員会が終わった後は、黒壁スクエアにある毛利志満で美味しいお肉を堪能して帰りました。

 

中弁連の委員会とどっちがメインなのか…(笑)

でも、委員会では、今年の中弁連夏期研修のテーマ案として、僕が担当することになった案件が最終採用されました。

なので、ちゃんと仕事はしてるということで。

 

最後に、

前回の記事の終わりに、ちょっと言及しましたが、人質になっていたお二人の件、とても残念な結果になってしまいました。

ただただ悲しい。

 

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