spin out

チラシの裏

「盤面の敵」と「人間以上」

2010年03月22日 | Eクイーン
クイーンファンのあいだでは、
フレデリック・ダネイの梗概をもとに
シオドア・スタージョンが「盤面の敵」を書いた、ということになっています。

スタージョンといえば「人間以上」ほか数々の短編を書いたSF作家です。
なぜクイーン(ダネイ)は、ミステリ作家ではなく、SF作家のスタージョンを選んだのか。

これが、エイブラム・デヴィッドスンならば、同じユダヤ教徒というつながりも考えられます
だからデヴィッドスンは宗教色の濃い「第八の日」を担当できたのかも。(たぶん、ですけど)

しかし、スタージョンとクイーンのつながりは思いつきません。
EQMMに作品が載ったからでしょうか。

そんなことはともかく、
「盤面の敵」の重要なキャラクターであるウォルトの造形が、
いかにもスタージョンらしいですね。
誰も気にかけない孤独な人間のウォルトの存在感が大きすぎて(矛盾してますが)、
被害者たちの影が薄くなってしまった感もあります。




スタージョンの「人間以上」の冒頭部と「盤面の敵」の冒頭部は、
どこか同じ味わいのような気がします。

ウォルトがいつどこで●●●●になったのか、「盤面の敵」では書かれていませんが、
その部分こそスタージョンが本名で書くパートだったのではないか、とも思います。

ちなみにエラリイが引用している「イヴの三つの顔」(P291ポケミス版)ですが、
映画になっています。
というより、
ダネイはこの映画を観て「盤面の敵」を思いついたのでは?邦訳も出ていました。

『イブの三つの顔(1957)』
監督・製作・脚本:ナナリー・ジョンソン 出演:ジョアン・ウッドワード他
『イヴの三つの顔 一つの肉体に宿る三人の女性 セグペン/クレックレイ 
川口正吉訳、白揚社、昭33年』
古本屋で検索するとヒットします。

※なんと川口正吉が翻訳していたんですね。クイーンとの組み合わせは無いようですが、カーの「ロンドン橋が落ちる」の翻訳をやってました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クイーン談話室 「盤面の敵」 | トップ | アンクル・アブナーの叡智 »

コメントを投稿

Eクイーン」カテゴリの最新記事