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江戸怪談集

2013年06月10日 | others
なにかとお堅いイメージの岩波ですが、
探してみると意外に面白い本があったりします。
「江戸怪談集 上中下」は江戸期の怪談集を挿絵も一緒に集めたもので、
文章は古文ですがあまり気にせず読めます。
こういった怪談の基本である因果応報、仏教プロパガンダが中心ですが、
中には「いったい何」というような奇談もあり飽きさせません。

「人の面に目鼻なくして、口頂の上にありて、ものをくふ事」は、
ある坊さんが旅の途中で泊まった豪邸の主(?)の姿がこれ。



頭のてっぺんに口があって、女が飯を食わせると「蟹の口のようにわざわざと動く」とか。
なんなんだ、これは…。

「竜田姫のこと」は、
侍女に化けた化け猫が、自分の首を外して化粧をするところを見られて成敗される
(たしかに自分の顔は外した方が見やすいが。ブロッケン伯爵?)。



「夢争ひの事」は、
正妻を亡くした男が2人の側女をめとったが、
昼寝をしている2人の女の髪が蛇になって争うところを見た男が
「げに女の妄執は恐ろし」と暇を出す。
いやいやこれは他人事ではないので、気をつけねば。

などと、短い話(いまでいうショートショートぐらい)が
ずらっと並んでいるので、どこからでも読み始められます。
編者の高田衛は、「完本八犬伝の世界」「江戸の悪霊祓い師」
(ともにちくま学芸文庫)を書いています。
どちらも面白かった!


※こちらは現代文に書き下し

■江戸怪談集 上中下 岩波文庫 高田衛 編校注
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