My Life

春夏秋冬~日々の徒然や思うことを綴った倉庫です。

本当はいい子なんだよ

2013-03-22 10:07:10 | The Words
 
      本当はいい子なんだよ


校長先生は、トットちゃんを見かけると、いつも、いった。

「君は、本当は、いい子なんだよ!」

そのたびにトットちゃんは、ニッコリして、とびはねながら答えた。

「そうです、私は、いい子です!」

そして自分でもいい子だと思っていた。

たしかにトットちゃんはいい子のところもたくさんあった。

(中略)

でも同時に、珍しいものや、興味のある事をみつけたときには、その自分の好奇心を満

たすために、先生たちが、びっくりするような事件を、いくつも起こしていた。

 (中略)

でも校長先生は、そういう事件が起きた時に、絶対に、パパやママを呼び出すことは

なかった。他の生徒でも同じことだった。いつも、それは、校長先生と、生徒の間

で解決した。初めて学校に来た日に、トットちゃんの話を、四時間も聞いてくれたよう

に、校長先生は、事件を起こした、どの生徒の話も、聞いてくれた。その上、

「いいわけ」だって、聞いてくれた。そして、本当に、「その子のした事が悪い」

とき、そして「その子が自分で悪い」と納得したとき、「あやまりなさい」

といった。でも、おそらく、トットちゃんに関しては、苦情や心配の声が、生徒の父兄

や、他の先生たちから校長先生の耳にとどいているに違いなかった。だから校長先生は

トットちゃんに、機会あるごとに、

「君は、本当は、いい子なんだよ」

といった。その言葉を、もし、よく気をつけて大人がきけば、この「本当は」

に、とても大きな意味があるのに、気がついたはずだった。

「いい子じゃないけど、君の「本当」の性格は悪くなくて、いいところがあって、校長
先生にはそれがよくわかっているんだよ」

校長の小林先生は、こう、トットちゃんに伝えたかったに違いなかった。残念だけど

トットちゃんが、この意味が分かったのは、何十年も、たってからのことだった。

でも、本当の意味はわからなくても、トットちゃんの心の中に、「私は、いい子なんだ

という自信をつけてくれたのは事実だった。

(中略)

そしてトットちゃんの一生を決定したのかも知れないくらい、大切な、この言葉を

トットちゃんがトモエにいる間じゅう、小林先生は、言い続けてくれたのだった。

「トットちゃん、君は、本当は、いい子なんだよ」って



「窓際のトットちゃんより・・・黒柳徹子著」
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これは第二次世界大戦が終わるちょっと前まで、実際に東京に合った小学校と、そこに
通っていた女の子・・トットちゃん(黒柳徹子さん)の実話です。

黒柳さん、(トットちゃん)は、小学校で入学早々、退学になってしまいます。
それで親御さんが見つけた「トモエ学園」に通うことになり、その日々が綴られています。

私の祖父(母方)も小学校の校長先生でした。

「教師は何事があっても現場から離れてはいけない。つねに現場にいるべし」
・・これが口癖だったと聞きました。

祖父は、第二次世界大戦が終わってすぐ、職を辞し、百姓になりました。
教師として、思うところがきっとあったのだと思いますが、誰にもその理由を
語らなかったそうです。

幼稚園の頃、病弱だったので病院に行ってから、幼稚園に顔を出す日々。
でも、なぜか付添は母ではなく、祖父でした。

祖父はとやかく言わない、多くは語らない人でした。
でも、神経質な母に比べ、無言でも微笑んで寄り添ってただ見守ってくれている
「祖父がいる安心感」は確かに伝わっていました。
それで怖い痛い病院でも我慢しよう、と思えたのだと、今になって感じています。
そのときだけは、「おりこうさん」に変身できたのだから。

子供には「見守られている安心感」特に小さい頃は大事なのではないかな、と感じます

小林先生は、いつも「校長室」ではなく手があいたら、「現場」にいたのだろうとおもいます。そして生徒を「見守って」いたのだろうと。

刊行当時、まだまだ子供だったけど、この本は大好きでした。

教育現場で色々言われている今、あらためて読み返してみたい本です。






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