2016年11月17日(木) オフの日

2016-11-17 23:07:55 | 日記
今日はオフ。

朝日新聞の記事は最近どんどん劣化していると感じることしきりだが、
文化・文芸・オピニオン欄等の記事はまだ読む価値があると思える。
本日の「オピニオン・フォーラム」欄に、
フランスの人類学者・歴史学者であるエマニュエル・トッド氏へのインタビュー記事が掲載されており、
なかなかまともな言説であると感じたので、抜粋したいと思う。

朝日新聞はこのようなまともな記事を掲載することもあるのに、
なぜ政治・経済欄の記事はかくも読む価値のない権力ヨイショの腐り切った記事ばかりなのか?
何度も言っていることだけれど、
大本営発表をそのまま掲載するだけなら、
もう政治・経済欄なんて丸っきりやめて解体した方がいいと思う。


「トランプ氏は真実を語った」 エマニュエル・トッド氏



 奇妙なのは(トランプが勝って)みんなが驚いていること。本当の疑問は「上流階級やメディア、大学人には、なぜ現実が見えていなかったのか」です。
 選挙戦では、候補個人について多くのうその応酬がありました。しかし、社会について語る場面では、真実を口にしていたのはトランプ氏の方でした。
 彼は「米国はうまくいっていない」と言いました。ほんとうのことです。「米国はもはや世界から尊敬されていない」とも言いました。彼は同盟国がもうついてこなくなっている事実を見ています。そこでも真実を語ったのです。
 クリントン氏は、仏週刊紙シャルリー・エブドでのテロ後に「私はシャルリー」と言っていた人たちを思い出させます。自分の社会はすばらしくて、並外れた価値観を持っていると言っていた人たちです。それは現実から完全に遊離した信仰告白にすぎないのです
 トランプ氏選出で米国と世界は現実に立ち戻ったのです。幻想に浸っているより、現実に戻った方が諸問題の対処は容易です。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇

そして、これも朝日新聞の書評欄より。
こういう書評を載せるくらいなら、
朝日新聞はもう少し襟を正してまともな政治・経済記事を載せるように心掛けたらどうなんだ。
今、あんたらのやっていることは、戦前・戦中とほとんど変わり映えしないことなのではないだろうか?


『大本営発表―改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争』 [著] 辻田真佐憲

[文] 武田砂鉄(ライター)  [掲載] 2016年11月13日




■従順なマスコミでいいのか

 昨年来、頻繁に見聞きするようになった「政治的中立」という言葉。政治を動かす側が報じる側に対してこの言葉を強いる姿勢には違和感しかないが、「マスコミはもっと従順であれ」と凄(すご)む人たちは増える一方。そんな勢い任せの声に、当のマスコミが耳を傾けてしまう。その姿はなかなか不気味に映る。
 太平洋戦争時の、日本軍の最高司令部「大本営」の発表による戦果の誇張や損害の隠蔽(いんぺい)を洗い出した本著。1939年には記者を軍属として徴用、宣伝報道に従事させる「報道班員」制度が始まり、翌年には大本営報道部が情報局を設置、いかなる新聞も雑誌も廃刊に追い込める「用紙の配分権」を握った。
 軍部と報道が一体化する中で、例えば戦艦の戦果は10倍以上に水増しされ、時には存在すらしない戦艦名まで盛り込むなど、いい加減な情報を伝播(でんぱ)させた。劣勢を察知しつつも国民の戦意を萎(な)えさせてはならぬと「特殊な話法」が生み出される。「退く」ではなく、転じて進む「転進」、「全滅」ではなく、玉のように美しく砕ける「玉砕」を使った。
 この手の「敗退を糊塗(こと)する言葉」の発明は終戦間際まで続き、原子爆弾が広島に投下されると、「新型爆弾」と置き換えられた。3日後の長崎では大本営は一切沈黙し、現地司令部の発表のみ。そこには「詳細目下調査中なるも被害は比較的僅少(きんしょう)なる見込(みこみ)」とあった。
 著者は「いかに大本営がデタラメな発表を行っても、報道機関がその不自然さを的確に指摘していれば、国民はここまで騙(だま)されなかっただろう」と書く。長い時間をかけて巧妙に懐柔され、最終的には見出しや段組みにまで介入された新聞。戦時という異例事態だからではなく、軍部が意図的に導いたものだ。
 昨今の報道が「大本営発表」と揶揄(やゆ)されてしまう理由も本書から見えてくる。政権中枢と夜な夜な会食を繰り返している大手マスコミ幹部の皆様にご一読いただきたい一冊である。
    ◇
 幻冬舎新書・929円=5刷1万9千部 16年7月刊行。
 担当編集者は「戦争を体験した年配の方から、ネット上で『大本営発表』という言葉に触れる若者まで、幅広く読まれている」。