2019年4月24日(水) オフの日

2019-04-24 20:13:11 | インフレとデフレ
今日もオフで連休。

連休で緊張が緩んだせいか、疲れがどっと出てきて、
逆流性食道炎の症状も数回出て、
なんとも冴えないオフになってしまった。

かろうじて「シェイプ・オブ・ウォーター」という映画は観たけどね。


☆ ☆ ☆

インフレとデフレを考える、その3。
今回は「インフレで得をするのは誰か」について。

前回、歴史を振り返ればインフレ・デフレと景気の良し悪しは関係ないということを書いたけど、
では何故大手マスコミやエコノミスト連中は執拗にインフレに誘導したがるのだろう。
それはインフレになると得をする勢力がいるからだということ。

そのことについて明確に指摘しているのが異色のエコノミスト・増田悦佐氏。

        

彼の言うことには目から鱗が落ちると言うか、すっきりと腑に落ちるので、
以下、彼の著書『不確実な未来を生き抜くための「経済史」』より引用。

 デフレを悪ととらえる向きがあるのは、デフレになると困る人たちがいるからです。一般的に、インフレからデフレになると借金の元本は目減りするどころか徐々に拡大するので、借金をしている人には不利になります。デフレで本当に困るのは、事業や政策を進めるためにたくさんのお金を借りている国や地方自治体、企業などです。こうした機関や企業では常態的に借金をしていますが、その状態でデフレになるのは嫌なわけです。そのため、デフレよりもインフレに対して好意的になるのです。

なるほど、今世界で一番大きな借金を抱えているのは日本国の政府だから、
デフレでは困る、何が何でもインフレにして借金の元本を目減りさせたいわけだね。

 経済学者の世界でも、インフレに好意的な人が多くて、デフレに好意的な人は少ないという傾向があります。経済学者には2つの主要な生産物があって、ひとつは自分が書いた論文、もうひとつが、自分が大学・大学院で教えた学生です。この2つを受け入れてくれる“お得意先”は、デフレよりもインフレに好意的な国や地方自治体、一流企業、大手金融機関なのですから、経済学者が「デフレよりもインフレのほうがいい」と唱えるのも無理ありません。
 デフレを好む零細企業や個人世帯を相手に、商売している経済学者であれば、「インフレよりもデフレのほうがいい」と言ってもいいかもしれません。しかし、経済学者がデフレを好む人たちを相手に商売するのは至難の技です。世の中のありとあらゆる産業でやっているように顧客志向のマーケティングをすれば、「インフレのほうがいいよ」と言ったほうが、はるかに商売がしやすいのです。これが、経済学者の大部分がデフレよりもインフレを支持する最大の理由だと私は思います。


それにしても浜矩子氏、野口悠紀雄氏、金子勝氏のような
アベノミクスに一貫して批判的なエコノミストも「インフレよりもデフレのほうがいい」とまでは言っていない気がする。
日本においては「デフレ=悪」という固定観念は相当強烈で、
そんなことを言ったら総バッシングを受けちゃうんだろうな。
でもそれじゃあ我々庶民はいつまでたっても騙されっぱなしだよ。

続いて同じく増田悦佐氏の著書『デフレ救国論』より引用。

 インフレで得をするグループとはいつでも、いくらでも、何度でもおカネを借りることのできる特権的な連中です。たとえば、国であり、一流企業であり、金融機関であり、大金持ちでありといった社会的影響力の大きい人たちなのです。彼らが自分たちに有利な世の中をつくるために「デフレ脱却」「デフレ退治」を懸命に宣伝、喧伝するわけです。
 それをあたかも庶民も同じようにインフレで得をし、デフレで損をするかのようにすり替えて語っている。当然ながら彼らは、インフレで自分たちだけが得な世の中になるから、みんな一緒にやりましょうと言ってもだれもついてこないから「デフレ脱却」「デフレ退治」はあなたがた貧乏な庶民の方々にとって素晴らしいことなのですよと宣伝するのです。
 そこでごまかされないだけの基本的な歴史観、経済の仕組みなどについての知識を、あまりおカネに縁のない大衆がきちんと自分で身につけていかないと、簡単に騙されてしまうでしょう。
 とはいえ、ここ10年、20年の間にデフレという言葉に対するマイナスイメージが庶民の心に染みついてしまっています。これは、「あなたがたの生活がよくならないのはデフレのせいだ」とする大メディアによる“刷り込み”の威力でしょう。


この本が出たのは2013年でアベノミクスが始まったばかりの頃。
その当時は世の中ほとんどアベノミクス礼賛一色だった記憶があるけれど、
そんな中でこういうことを言っていた増田悦佐という人はすごいと思う。
あれから6年、結局経済は悪くなる一方で、政府は経済統計を改竄してそれを隠している。

政府もマスコミも未だに「デフレ脱却」とお題目のように、いや明らかに馬鹿の一つ覚えで唱えているけれど、
本当に必要なのは「実質所得が上昇する」という庶民の期待だろう。
名目所得が上昇する期待が持てない以上、現時点ではデフレの方がいいと思う。
まあどちらにしても日銀がメチャクチャなことをやっている以上、
遅かれ早かれ日本経済は破綻することになると思うけど・・・。




2019年4月14日(日) 243日目 

2019-04-14 21:38:57 | インフレとデフレ
今日は遅番(11:30~20:00)。

今日はしんどいユニット担当。
雰囲気は落ち着いていたのでまだよかった。

とにかく就寝介助の人数が多くて大変。
就寝介助の前に排泄介助もしなければならない。
激しく体力を消耗する。


☆ ☆ ☆

インフレとデフレを考える、その2。
今回は「インフレ・デフレと景気の良し悪しは本当に関係があるのか」について。

結論から言ってしまうと、
インフレ・デフレと景気の良し悪しは関係がないみたいだ。

まずは
ミネアポリス連邦準備銀行のアンドリュー・アトキンソンとパトリック・J・キホーという
2人のエコノミストが2004年1月に発表した
「デフレと不況は実証的に関連するのか?」という論文があるらしく、
(引用元:中原圭介「デフレになると、本当に不況が来るのか」(東洋経済オンライン)
1820年~2000年(世界大恐慌期を除く)のおよそ180年間における
主要17カ国の5年ごとの平均実質経済成長率とインフレ率を調査し、
それをプロットしたのが下の図。

   

全部で595個のデータがプロットされているが、
・インフレで好況・・・501個(右上の象限)
・インフレで不況・・・21個(右下の象限)
・デフレで好況・・・65個(左上の象限)
・デフレで不況・・・8個(左下の象限)

これらのデータから明らかなことは、計算すれば簡単に分かることだが、
デフレ期の9割で経済は成長しており、不況期の7割はデフレではなくインフレであった
という驚愕の事実である!
常識を覆す、非常に価値ある調査結果だと思う。
「デフレスパイラル」などというのは現実離れした机上の空論であることが分かるだろう。


次に
「インフレ経済学」に毒されていないもう1人のエコノミストである
増田悦佐氏の著書『不確実な未来を生き抜くための「経済史」』より。
(増田氏はアメリカのジョンズ・ホプキンス大学で歴史学の博士号を取得している)

増田氏によるとアメリカ建国(1776年)から今日に至るまでの間、
もっとも経済の成長率が高かったのは「工業化初期」と名付けられた1850~99年、
つまり19世紀後半の年率約4.5%だったとのこと。
そしてこの時期は、南北戦争(1861~65年)中とその直後のインフレ期をのぞいて、
ほぼ一貫してデフレの時期だったという。
アメリカ経済の成長性が高かったのは、疑問の余地なくデフレ期だった
というのが増田氏の主張だ。
19世紀後半はデフレで大不況というイメージがあったが、
豈図らんや、経済成長率は非常に高かったのだ。


どうも歴史を振り返れば「デフレ=不況」というのは誤りである、ということになりそうだが、
我々一般人は教育を通じて、あるいはマスコミによって、
執拗に「デフレ=不況」という誤った定式を頭に刷り込まれていると言える。

中原氏によると、アトキンソンとキホーによる歴史的事実を解き明かした上記の論文はその後、
ポール・クルーグマンやベン・バーナンキをはじめとするアメリカ経済学の主流派によって黙殺されてしまい、
表に出ることはほとんどなかったとのこと。
実際、日本人の99%以上はこの論文の存在を知らないだろう。
なんてこったい!

どうも世の中にはインフレに誘導したがる強力な勢力というのがいるみたいなんだね。
そこで次回は「インフレで得をするのは誰か」について考えてみたい。




2019年4月9日(火) オフの日

2019-04-09 20:08:04 | インフレとデフレ
今日はオフ。

体調はいまいち。
やはり逆流性食道炎が治まっていない。

おまけに今日は寒くて風が強くて参った。
なんとなく気持ちが萎える。


☆ ☆ ☆

インフレとデフレを考える、その1。
今回は「インフレ経済学」への懐疑。

アベノミクスが始まったころに盛んに言われていたこと。
「デフレになると人は“物の値段はもっと下がるだろうからもう少し買うのを待とう”となり、
誰も物を買わなくなる。すると物価はますます下がり、生産高も下がり、縮小均衡が進む(デフレスパイラル)」
「物の値段が上がれば人は“もっと高くなるから早めに買っておこう”となり(インフレ期待)、
物の値段はますます上がり、生産高も上がり、経済の拡大が進む」
いわゆる「インフレ経済学」というやつだが、どうも庶民の実感とかけ離れている気がしていた。
頭の中だけで考えた非現実的な理論という感じがしていた。

この理論には、明らかに何か重要な前提が抜け落ちていると感じるはずだ。
それは個々人の所得が増えるという条件。
名目賃金が物価上昇率以上にあがらなければ実質賃金はマイナスとなり、
生活は苦しくなって消費を増やすどころではなくなってしまう。

こんなことは小学生にでも分かることだと思う。
毎月1000円のお小遣いをもらっている子供の好物のお菓子が100円だったとして、
そのお菓子が200円に値上がりしたのにお小遣い1000円は変わらなければ、
これは損しているなと気付くはず。

しかしこんな単純な議論がアベノミクス開始時にはなぜか抜け落ちていた。
当時NHKに飯田香織という経済キャスターがいて、「Bizスポ」という番組をやっており、
        
彼女がブログを公開していて、コメントも受け付けていたので、
「インフレ率2%にすると騒いでいるけれど、名目賃金が2%以上あがらなければ、
実質賃金はマイナスになってしまうよ」とそのブログに投稿したら、
翌日の放送で「日立製作所は賃金を2%以上あげることにした」などと報道してきたので、
「馬鹿言っちゃいけない。日本全国100万社以上ある会社の中で上位30社に入るような超優良企業の事例だけ出して
インフレ率2%誘導策を正当化するような姑息な報道の仕方を公共放送であるNHKがしてもらっては困る」
と文句を付けた記憶がある。

当時は「実質賃金」という言葉はほとんどマスコミに出て来なかった。
その代わりにしきりに使われていたのが「インフレ期待」という言葉。
しかし自分が思ったのは、「インフレ期待」よりもはるかに重要なのは「実質賃金上昇期待」だろう、
それが発生しない限り、経済の好循環なんか起こるはずがない、
名目賃金があがらないのにインフレ期待だけが膨らめば消費マインドは委縮してしまう、
名目賃金が変わらなければデフレの方が実質賃金はあがるのだから、
その方がよほどいい、というものだった。

今後人口が減少していく日本ではどう考えても名目賃金が上昇するという期待は持ちにくい。
だったらデフレの方がいいんじゃないの、というのが自分の意見。
「デフレスパイラル」などというのは現実離れした机上の空論だと思う。

そこで次回(明日ではないと思う)は、
インフレ・デフレと景気の良し悪しは本当に関係があるのかということについて考えてみたい。




2019年4月6日(土) オフの日

2019-04-06 21:33:27 | インフレとデフレ
今日はオフ。

土曜日のオフということで、
13時からTBSラジオの「久米宏ラジオなんですけど」を聴いた。
今週のテーマは「この春の『値上げラッシュ』にひとこと!」

投稿されたものは現政権の経済政策を批判する内容が多く、
それはそれで溜飲が下がって面白かったのだけれど、
(久米さんの番組は権力に媚びへつらうことがないので安心して聴ける)
このテーマに関してはなんとなく心に引っ掛かるものがある。

以前から感じていたことだけれど、
そもそも政府日銀はアベノミクスを開始した当初から
「デフレ脱却」「2%のインフレへ」を旗印にしてきたはず。
そしてそれは正しいことのようにマスコミも報道してきたはず。
そしてインフレ率がいつまでも2%に達しないことに対して日銀を批判してもきた。

でも、値上げラッシュなんでしょ?
つまりは物価は上がってるんじゃない?
インフレ率2%なんてとっくに達成されてるんじゃないの?
つまりはアベノミクスの「目的」は達成されたんじゃないの?

それでいて「値上げラッシュはけしからん」と騒ぐマスコミは
なんだか整合性がないよなー、と思わないだろうか?
「どっちだよ!」と私は思ってしまう。

これらのことには何か裏があるんだろうね。
なんとしても金融緩和を続けるために政府はインフレ率を低く偽装している可能性も考えられる。
そもそも「インフレ=好景気」「デフレ=不景気」という定義自体を疑う必要があるのではないか。
つまりはアベノミクスの当初の目標「デフレ脱却」「2%のインフレへ」自体がピント外れの大間違いであったと。
だとすれば、この6年間はいったい何だったんだ!

そこで「インフレとデフレ」について今後時折このブログで考えていきたいと思う。
まずは「インフレ経済学」というイカサマ理論に汚染されていない2人のエコノミストの本を紹介。
この2人に共通しているのは歴史をかなり深く勉強していることだ。


増田悦佐
『デフレ救国論~本当は怖ろしいアベノミクスの正体』
(徳間ポケット・2013)




デフレはそんなに悪いのか?
デフレを克服すれば日本経済は安定なのか。
名だたるエコノミスト、政治家らがよってたかって「デフレ克服」をうたうのはなぜなのか。
そして、インフレにして得をするのは誰か?
著者はこれまで、日本経済はもともと世界を圧倒する強さを持つという持論を展開し続けてきたが、
現政権のインフレ・円安政策にはきわめて強い危機感をおぼえるという。
げんに、エネルギー価格、輸入食品等の価格が上昇しはじめ、庶民の生活を脅かしはじめている。
このままでは、せっかく強固な日本経済が危ないのだ!
日本を読み解く上で重要な問題をあぶり出し、
日本経済、世界経済をとりまいている幻想、嘘、思惑を浮き彫りにしていく。
人気エコノミストの意欲作!




中原圭介
『インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る』
(PHP新書・2014)




世界各国は大胆な金融緩和を行なっているのに、なぜわが国は「世界標準」から逸脱するのか。
「異次元緩和」の前に聞かれた常套句だ。
しかしアメリカでインフレによって株高を謳歌するエリートと、
物価高で疲弊する国民の格差が凄まじく拡大している事実は知られていない。
「貯蓄大国」日本に誤った処方箋を持ち込んだ結果、いかなる副作用が起こっているのか。
そもそも歴史に学べば「デフレ=悪」の構図は成り立たない。
そして日本がインフレ政策を進める一方で、世界は「良いデフレ」に向かっている。
そこで応援すべき「理想の会社」像を示しつつ、カリスマエコノミストが描き出す10年後の未来。