テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

ネタバレ備忘録 ~ 「ひまわり」

2016-09-02 | 戦争もの
 ストーリー的には結構端折ってる部分があって、でもそれが観客の想像力を刺激する要因にもなってるデ・シーカ監督69歳の作品「ひまわり」。
 そんな部分も含めて書き残してる所を徒然に記しておこうと思います。

 主要な登場人物はほぼ三人。ジョバンナとアントニオと、もう一人リュドミラ・サベリーエワ扮するロシア人の奥さんですね。
 この健気にも凍死寸前のイタリア兵を助けた少女の名前、劇中では語られなかったように思いますが、データによるとマーシャとなっていました。で、二人の間に生まれた女の子がカチューシャ。ロシアにはシャの付く人多いですよね。因みにサベリーエワがヒロインを演じたトルストイの「戦争と平和」の彼女の役名はナターシャでした。

 このマーシャがアントニオを助けた理由も語られていないですね。
 雪原で大勢行き倒れていた中でたまたま彼が息をしているのを見つけて救おうとしたと考えるのが妥当ですが、その後のアントニオとの関係の進展具合もほぼ観客の想像に任せられています。
 そして、その間のアントニオの心中も描かれてはいません。この辺はサッカー場から駅へとジョバンナが追いかけて行った元イタリア兵の男の反応が答えと考えればいいんでしょう。極限のストレスの後遺症、つかの間の幸福を唯一の拠り所とせざるを得なかった異国の生活。なんとなく分かる気がします。

 ジョバンナがソ連に行く前に「もう、スターリンも死んだことだし・・・」なんてセリフがありました。
 スターリンが死んだのは1953年ですから、アントニオが出征して10年後くらいだったんですね。アントも40代半ばだったということです。

 物足りないなと感じた部分は、ミラノに帰って行ったアントニオが母親について発言していない事。これはジョバンナも同じことですが、あの母親はどうなったんでしょうね。ストーリー的には大したことではないですがちょっと気になりました。

 あと、とっても気になったのが、アントニオがミラノに舞い戻って来て再会した時に、すでに彼女にも幼子が居た事。
 ジョバンナがショックから羽目を外して他の男とデートをしたりするシーンは確かにありましたが、子供を作るまでの時間が経っていたとは思えなかったですもの。時間経過の表現が曖昧だったのかなぁ。

 最後に“ひまわり”について。
 タイトルバックの向日葵畑の映像は途中にも出てきますが、あの向日葵の下には大勢のイタリア兵やロシア兵の捕虜、その地の老人や子供たちの遺体が眠っているんだそうです。
 そして“ひまわり”はソヴィエトの国花の一つなんだそうです。




 

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