テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

ロリータ

2024-05-27 | コメディ
(1961/スタンリー・キューブリック監督/ジェームズ・メイソン、スー・リオン、シェリー・ウィンタース、ピーター・セラーズ/153分)


 スタンリー・キューブリックの「ロリータ【原題 LOLITA】」を観る。
 数年前に確かブック・オフの1コイン・コーナーで見つけたDVDで、キューブリック作品と知っていたので迷わず買ったが、実は内容については知らなかった。
 “ロリコン”=“ロリータ・コンプレックス”の語源となった小説の映画化でありますな。原作者はロシア系アメリカ人のウラジミール・ナボコフ。この映画の脚本もナボコフが書いています。事前の印象ではキューブリックにロリコンは似合わないと思っていたけれど、中盤以降の毒気の出し方にはキューブリックらしさを感じましたな。
 「スパルタカス」の翌年、「博士の異常な愛情」の3年前の作品であります。

*

 主人公はジェームス・メイスン扮するヨーロッパの文芸作家ハンバート・ハンバート。苗字と名前が同じという変な奴だが、フランスの詩集の英訳が評判となりアメリカの大学に講師として呼ばれた中年男であります。
 大学が始まるまでの間、避暑の出来る地方の町に下宿を探しているシーンからストーリーは始まります。

 ハンバートが訪ねたのがシェリー・ウィンタース扮するシャーロット・ヘイズの一軒家で、若いシェリーさん、まだまだ往年のようには太っていなくてセクシーであります。
 このシャーロットさん、妙に馴れ馴れしくて身体を摺り寄せてくるので変な空気になるがハンバートもまんざらではない様子。ハンバーㇳは一年前に離婚、シャーロットは七年前に未亡人になってお互いに独り身であることが分かり、ますます艶笑喜劇みたいな感じになっていきます。
 でもなんといってもハンバートが下宿先をココに決めたのは、突然現れたシャーロットの高校生の娘ドローレス、愛称ロリータの魅力的な水着姿の日光浴を見たから。完全なるロリコン男ハンバーㇳはロリータに恋をしてしまうのです。

 ストーリーの始まりは下宿探しのシーンからと書きましたが、実はその前に153分の結末部分が数分流れます。そこではハンバートがとある屋敷に入って行って、家主のピーター・セラーズに銃をぶっ放すシーンがありまして、その後「その4年前のこと・・・」と字幕が入って過去話としてロリータとのあれこれが語られるのです。
 原作では刑務所に繋がれたハンバーㇳが我が罪について告白をするシーンから始まるらしいので映画もそれに倣ったんでしょうな。

 セラーズ扮するテレビ作家クィルティが、ロリータをハンバーㇳよりも先に弄んだのかなと推測してしまいますが、お話の軸はハンバートの恋物語なので、ロリータとクィルティの関係は曖昧なままなんですよね。クィルティが神出鬼没でキャラクターも謎すぎるのでも少しクィルティのシーンを削ったら映画も締まったんじゃないでしょうかね。

 お薦め度は★二つ半。クィルティのシーンだけじゃなく、全体的にも長すぎますね。

 60年以上前の映画だけどスー・リオン扮するロリータは現代の娘と云われてもオジサンには違和感無し。
 wikiによると97年のエイドリアン・ラインのリメイクの方が原作に忠実らしいけど、ナボコフが脚本を書いたのはこっちなのにね。
 DVDのジャケットはカラーですが、本編はオズワルド・モリスの美しいモノクロ映像でした。






 2006年にシェリーさんの訃報を記事にしてますが、その中で既に観ている作品名にこの「ロリータ」が入っていました。18年前の記憶の方が正しいでしょうから、観ていたんでしょう。う~ン、・・消えてる・・。


・お薦め度【★★=悪くはないけどネ】 テアトル十瑠

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