テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

[映画館とお茶の間と]

2005-04-24 | [コラム]
 映画は映画館で、というのは映画ファンの共通認識と言っていいと思うが、かつてこの考えに?をつけた作品があった。勿論、それは私だけが感じたことだとは思うが。
 つまり、映画館で観たときに“つまらなかった”のに、お茶の間のテレビで観ると面白かった映画があったのだ。

 それは、「シェルブールの雨傘」。1963年製作のフランス製ミュージカル。私が観たのは1973年のリバイバル上映だった。
 ミシェル・ルグランの主題曲が大ヒットして、曲名は知らなくても聞いたことのあるという人は沢山いるのではなかろうか。監督はジャック・ドミー。主演はカトリーヌ・ドヌーブ。フランス美人の代名詞にもなっていた感がある美女ですな。ケロンパ(うつみみどり)の旦那キンキンが、美女の形容の引き合いによくドヌーブの名前を出していました。

 戦争で引き裂かれる若い男女の話だが、戦争のシーは(確か)無く、フランスの港町シェルブールでの小市民の感情を中心に作られた映画だったと思う。それまでのアメリカ製ミュージカルのように、唄の所と普通のセリフの所という区分が無く、全編唄になっているのが特徴で、これには賛否両論あるようだ。

 映画館で観たこの時は、あまり面白いと思わなかったのだが、その後(多分何年かして)テレビで流れて、その時は面白かった。確かNHKで、字幕スーパーだった。以前に、感動しなかった記憶があったので、「はて?」と思いましたな。

 その時に思ったのはこうだ。
 ごくささやかな人情の機微を描こうとした作品の場合、大スクリーンで見せるより、小さな画面で見せる方が効果的ではないかという事。テーマによっては、テレビの小さな画面で映す方が、観客の心の中に入りやすいものがあるのではないか。そんなことを考えましたな。

 ということは逆もあるのかな、なんて事も考えましたな、その後。つまり、テレビでつまらなかった作品も、映画館の大スクリーンで観ると面白いということがあるのではないか・・・。

 なかなか、こういう比較は、どちらを先に観るかで印象も違うだろうから難しいと思うが、後者の例で少しだけ感じたことのあるのは、「寅さん」ですな。あれは、テレビで観るより映画館で観た方が確かに面白いように思う。一種の観光映画みたいな所があるからかな?

 “シェルブール”については、再度映画館でということは叶わないかもしれないが、またお茶の間で観ることは出来る。とりあえず、再度イイ映画であることを確認してみようか・・・。
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