テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

我が遍歴の・・・その3

2011-08-24 | [コラム]
 個人的な遍歴も、今回の3で終わりです。

 高校に入ってからは、以前から行っていた東宝劇場のある街も近くなった(路面電車で行ける)ので、週末などには学校帰りにも行くようになりました。今と違って昔は土曜日にも午前中は授業があっていたんですよね。

 この頃行くのは洋画専門館がメインになりました。
 たくさん観たので何を最初に観たかハッキリしませんが、比較的初期に観て印象に残っているのが「卒業」と「2001年宇宙の旅」の二本立て。これはロードショーではなくリバイバルです。この時に、キャサリン・ロスとダスティン・ホフマンのファンになって、以後彼らの出演作を追っていったのでした。

 この頃の映画館というのは、全席自由席で大抵二本立てでした。二本立てというのは一度に二つの映画が交互に放映される仕組みで、いわばレコードの(これも例えが古いなぁ)A面とB面のようなもの。売りはどちらかで、もう一方はおまけですね。だから、おまけの方は何があるのか知らずに観に行くこともあります。
 これも洋画を観だして間もない頃に、同時上映作品にエロチックなスウェーデン映画が流れてきてビックリしたことがありました。筋書きも出演者もサッパリ覚えていないのにタイトルだけは覚えているという「濡れた唇」。allcinemaで調べると、全くのエロ目的の作品だったみたいで、監督も出演者もその後特記すべき作品には出ていないようでした。いわゆる成人映画ではなかったので、ヌード・シーンも大したことはなかったと思われますが、なにしろそんなシーンもあったのやらどうやら・・・。

 全席自由席では入れ替えもありませんから、二本立てでも目的の映画を観ればもう片方はどうでもいいと帰る人もいれば、僕のように両方とも観て更にもう一回観る人もいます。人気の作品では券を買う時には既に満席の場合もあって、ガラス窓の奥のお姉さんに『立ち見になりますけどよろしいですか?』なんて聞かれたりします。
 まるまる映画一本、通路の堅いコンクリートの床に座って観たことも何度もありましたね。





 当時はNETテレビといっていた今のテレビ朝日系列で「日曜洋画劇場」も始まっていまして、そちらも毎週のように観ていました。解説は勿論、淀川長治さん。その内に「月曜ロードショー」とか「水曜ロードショー」とか「金曜ロードショー」とか、他の局でも(概ね夜の9時スタートで)映画枠が設けられ、とにかく毎日のようにお茶の間で映画が観れる、そんな時代でした。

 当時はアメリカン・ニューシネマと言われるアメリカ映画が隆盛で、映画雑誌「SCREEN」を毎月買って読んでは、興味の湧いた作品を毎週のように観に行ったものでした。
 当時、ファンになった俳優はダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォード。彼らの作品は結構観に行きました。
 女優ではキャサリン・ロス。「卒業」、「明日に向って撃て!」、「夕陽に向かって走れ」。

 名作のリバイバルも時折公開され、「風と共に去りぬ」、「アラビアのロレンス」、「略奪された七人の花嫁」を観たのも高校生時代でした。前2作は長尺作品だったので、昼食にサンドウィッチを頬張りながら、丸一日潰して映画館に籠もって観たものです。
 サイレント映画のブームというのもその頃にあって、チャップリンやバスター・キートンの映画が日本で見直され、一般劇場でのリバイバル公開もなされました。僕もこの時に初めて「モダン・タイムス」や「セブンチャンス」を観たような気がします。

 「SCREEN」誌で双葉さんや滋野辰彦さんのレビューを読み、専門家の映画の見方を勉強したのもこの頃ですが、監督として好きになったのは、既にTVでの放映の方が多かったウィリアム・ワイラーやアルフレッド・ヒッチコック。当時の若手監督ではスピルバーグや日本の斎藤耕一には大いに惹かれました。





 最近はサッパリ“映画館”には行ってません。
 指定席の椅子はゆったりと大きいし、飲み物を置く台も付いてるし、前のシートの背もたれには荷物をかけるフックまで付いている。おまけに前後の椅子の配置がずらしてあって、昔のように前の席の座高の高い人の頭が気になることもない。
 身体的環境は雲泥の差があるのですが、なにしろ昔から映画は一度に2回観る癖のあった僕にとっては、一度で退場しなければいけない今の映画館は物足りない。もしも今、そういう昔のシステムで経営している映画館があれば、多少のプレミアム料金を払っても観ても良い作品もあるかも知れないと思うんですがネ。
 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ツイッターで流行ってる映画... | トップ | <ロマン・ポランスキーの新... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kiyotayoki)
2011-08-25 14:17:31
僕も邦画は東宝派(?)でした。
そして、僕も高校になったら洋画中心に。
同じぐらいの世代だし、十瑠さんと似たような映画人生を送ってたんだなぁと、改めて思っちゃいました。
ただ、僕が通ってた中学は文部省推薦の映画意外は禁止だったので、中学時代の3年間は個人的に映画の暗黒時代だったんですが(泣)。
返信する
東宝派 (十瑠)
2011-08-25 21:31:44
大体、その頃の若者の観る映画って他に何があったんでしょうねぇ?
日活にも青春路線があったように思いますが、これはも少し年輩の方々の時代だったように思いますしね。石原裕次郎とか浅丘ルリ子とか。

文部省推薦以外は禁止ですか!?
それはそれは
北九州より熊本の方がやっぱり保守的なのかなぁ。
返信する

コメントを投稿

[コラム]」カテゴリの最新記事