(1959/ヴァレリオ・ズルリーニ監督・共同脚本/エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャクリーヌ・ササール、フェデリカ・ランキ/93分)
先々月のポートレイトクイズの女優さんが主演の、大昔から観たかった映画でありますが、ツタヤの準新作コーナーで見つけました。最近DVD化されたんでしょう。
監督は「鞄を持った女」のヴァレリオ・ズルリーニ。長編劇映画の監督としては2作目だそうで、1926年生まれですから当時33歳くらい。エレオノラさんとはほぼ同級生でありました。
1943年の夏、イタリア東部のアドリア海沿岸の避暑地が舞台。
第二次世界大戦の真っ只中ですが、映画の中盤で時のムッソリーニ政権が倒れ、この後南北に国が分断されてしまうのですから、「激しい季節」というのはその事なんでしょうかネ。エレオノラさんとトランティニャンとの激しい恋がメインストーリーと紹介されていたので、何となくそっちの意味合いかなぁと刷り込まれておりましたが、両方含んでいるのかも知れません。当時の雰囲気が認識出来てるともっと理解し易いんでしょうが、映画もその辺の空気感の共有が前提として描かれているみたいで、観ながら原作小説があるのだろうと勝手に思っていました。しかしクレジットにはなかったですね。
脚本は監督とスーゾ・チェッキ・ダミーコ、ジョルジオ・プロスペリとの共作らしいです。
さて、物語について。
戦争真っ只中にも関わらず、お金持ちの子弟達は自前のヨットで海で遊んだりテニスに興じたりダンスパーティーを開いたりとのほほんと暮しています。そんな中にムッソリーニ政権に近しいファシストの重鎮を父に持つカルロ(トランティニャン)がいました。映画の冒頭でカルロはローマ辺りから避暑地に列車で戻ってきた様子で、他の若者たちは歓迎していました。
オープニングクレジットのバックで、港で大勢の群衆が見守る中、小舟に乗せられて一人の若者が4、5人の警官だか軍人だかに救出されるシーンがあって、その後のシーンと結びつかなくてその意味合いが理解できてないんですが、あの若者はトランティニャンだったと思うので、事故だか何らかの事件だかで都会の病院に療養に行っていたのでしょう。自信は無いですが、そんな風にとりあえず考えています。
そんな若者たちが海で遊んでいる時に軍用機が低空飛行をして海水浴客を脅し、泣き出した女の子をカルロが介抱、その子供の母親がエレオノラ・ロッシ=ドラゴ扮するロベルタだったんですね。
ロベルタはつい最近海軍将校である夫を亡くしたばかり。避暑地の別荘に実の母親と共に暮していたのでした。
若者達の中にはカルロに思いを寄せる少女ロッサナ(ササール)もいましたが、ロベルタに逢ったとたんに彼は恋に落ちました。
ロベルタの夫の妹マッダレーナ(ランキ)が戦火を避けてロベルタの所にやってきますが、ロベルタは年が近いカルロ達を紹介し、自然ロベルタも若者達との交流に付き合う事になっていきます。こうして、前半は段々と近しくなっていくカルロとロベルタとの関係と、それに嫉妬するロッサナの様子が描かれます。
ロベルタの母親はカルロの素性を察して、ロベルタに彼との交際を止めさせようとしますが、最初は自重していたロベルタも或る夜のダンスパーティーでカルロと踊った時から、自身の抑えきれない想いを感じるのでした・・・。
ダンスシーンで流れるサックスの曲は昔聞いた覚えがありますが、実にセクシーな音楽でしたねぇ。
後半のストーリーは“ネタバレ注意”の中で書きますが、先行きの見えない未亡人と若い青年の恋は混乱の時代の波に飲み込まれていきます。
燃え上がる二人は、ついにはロベルタが深夜にカルロを自宅に招き入れるシーンまであるのですが、どういうわけかその夜のシーンがジャンプカットのように消えてしまっていて、ここがDVDに特典映像として収録されている二人のベッドシーンなのかも知れません。
ロベルタと母親との軋轢、マッダレーナの離反、カルロの父親のシーンなど、主役二人の周辺事項も盛り込んだストーリーは所謂求心力を薄めていった感がありくい足りないので、お勧め度は★二つ半です。
▼(ネタバレ注意)
ロベルタとカルロの恋は、ロベルタの母親にも反対され、マッダレーナも離れていき、ロベルタ自身が先行きが明るくない事を承知していました。しかし、彼女が母親に告白するように、ロベルタにとっては初めて自分を解放した恋だったのです。母親に言われるままに年の離れた夫と結婚した。そんな想いもあったのでした。
ムッソリーニが失脚し、カルロの父親の資産も差し押さえられ、逃れられていた徴兵にも応じなければいけなくなり、ロベルタとカルロは確たる計画もなく逃れるように列車に乗り込みますが、大きな駅に着いた頃、突然列車を爆撃機が襲います。
大勢の乗客が混乱する中、一度は別れ別れになったカルロとロベルタは、死者や怪我人が横たわり悲鳴を上げながら逃げ惑う人々の中で再会。線路に横たわる少女の遺体を見るにつけロベルタに我が子を案ずる気持ちが湧いてきたのを感じたカルロは、彼女を一人列車に乗せ家族の元へ帰るように言うのです。そして自分はここに残る、と・・・FINE。
特典映像を改めて観ると、ロベルタのセリフは夜明けの海辺の砂浜の上でカルロと抱き合った時のものとほぼ同じでした。つまり、ベッドシーンを砂浜のシーンに差し替えた模様です。
いずれにしても、若いズルリーニの過激な演出はプロデューサーにカットされて、思い通りには出来なかったのかも知れませんね。
▲(解除)
先々月のポートレイトクイズの女優さんが主演の、大昔から観たかった映画でありますが、ツタヤの準新作コーナーで見つけました。最近DVD化されたんでしょう。
監督は「鞄を持った女」のヴァレリオ・ズルリーニ。長編劇映画の監督としては2作目だそうで、1926年生まれですから当時33歳くらい。エレオノラさんとはほぼ同級生でありました。
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1943年の夏、イタリア東部のアドリア海沿岸の避暑地が舞台。
第二次世界大戦の真っ只中ですが、映画の中盤で時のムッソリーニ政権が倒れ、この後南北に国が分断されてしまうのですから、「激しい季節」というのはその事なんでしょうかネ。エレオノラさんとトランティニャンとの激しい恋がメインストーリーと紹介されていたので、何となくそっちの意味合いかなぁと刷り込まれておりましたが、両方含んでいるのかも知れません。当時の雰囲気が認識出来てるともっと理解し易いんでしょうが、映画もその辺の空気感の共有が前提として描かれているみたいで、観ながら原作小説があるのだろうと勝手に思っていました。しかしクレジットにはなかったですね。
脚本は監督とスーゾ・チェッキ・ダミーコ、ジョルジオ・プロスペリとの共作らしいです。
さて、物語について。
戦争真っ只中にも関わらず、お金持ちの子弟達は自前のヨットで海で遊んだりテニスに興じたりダンスパーティーを開いたりとのほほんと暮しています。そんな中にムッソリーニ政権に近しいファシストの重鎮を父に持つカルロ(トランティニャン)がいました。映画の冒頭でカルロはローマ辺りから避暑地に列車で戻ってきた様子で、他の若者たちは歓迎していました。
オープニングクレジットのバックで、港で大勢の群衆が見守る中、小舟に乗せられて一人の若者が4、5人の警官だか軍人だかに救出されるシーンがあって、その後のシーンと結びつかなくてその意味合いが理解できてないんですが、あの若者はトランティニャンだったと思うので、事故だか何らかの事件だかで都会の病院に療養に行っていたのでしょう。自信は無いですが、そんな風にとりあえず考えています。
そんな若者たちが海で遊んでいる時に軍用機が低空飛行をして海水浴客を脅し、泣き出した女の子をカルロが介抱、その子供の母親がエレオノラ・ロッシ=ドラゴ扮するロベルタだったんですね。
ロベルタはつい最近海軍将校である夫を亡くしたばかり。避暑地の別荘に実の母親と共に暮していたのでした。
若者達の中にはカルロに思いを寄せる少女ロッサナ(ササール)もいましたが、ロベルタに逢ったとたんに彼は恋に落ちました。
ロベルタの夫の妹マッダレーナ(ランキ)が戦火を避けてロベルタの所にやってきますが、ロベルタは年が近いカルロ達を紹介し、自然ロベルタも若者達との交流に付き合う事になっていきます。こうして、前半は段々と近しくなっていくカルロとロベルタとの関係と、それに嫉妬するロッサナの様子が描かれます。
ロベルタの母親はカルロの素性を察して、ロベルタに彼との交際を止めさせようとしますが、最初は自重していたロベルタも或る夜のダンスパーティーでカルロと踊った時から、自身の抑えきれない想いを感じるのでした・・・。
*
ダンスシーンで流れるサックスの曲は昔聞いた覚えがありますが、実にセクシーな音楽でしたねぇ。
後半のストーリーは“ネタバレ注意”の中で書きますが、先行きの見えない未亡人と若い青年の恋は混乱の時代の波に飲み込まれていきます。
燃え上がる二人は、ついにはロベルタが深夜にカルロを自宅に招き入れるシーンまであるのですが、どういうわけかその夜のシーンがジャンプカットのように消えてしまっていて、ここがDVDに特典映像として収録されている二人のベッドシーンなのかも知れません。
ロベルタと母親との軋轢、マッダレーナの離反、カルロの父親のシーンなど、主役二人の周辺事項も盛り込んだストーリーは所謂求心力を薄めていった感がありくい足りないので、お勧め度は★二つ半です。
▼(ネタバレ注意)
ロベルタとカルロの恋は、ロベルタの母親にも反対され、マッダレーナも離れていき、ロベルタ自身が先行きが明るくない事を承知していました。しかし、彼女が母親に告白するように、ロベルタにとっては初めて自分を解放した恋だったのです。母親に言われるままに年の離れた夫と結婚した。そんな想いもあったのでした。
ムッソリーニが失脚し、カルロの父親の資産も差し押さえられ、逃れられていた徴兵にも応じなければいけなくなり、ロベルタとカルロは確たる計画もなく逃れるように列車に乗り込みますが、大きな駅に着いた頃、突然列車を爆撃機が襲います。
大勢の乗客が混乱する中、一度は別れ別れになったカルロとロベルタは、死者や怪我人が横たわり悲鳴を上げながら逃げ惑う人々の中で再会。線路に横たわる少女の遺体を見るにつけロベルタに我が子を案ずる気持ちが湧いてきたのを感じたカルロは、彼女を一人列車に乗せ家族の元へ帰るように言うのです。そして自分はここに残る、と・・・FINE。
特典映像を改めて観ると、ロベルタのセリフは夜明けの海辺の砂浜の上でカルロと抱き合った時のものとほぼ同じでした。つまり、ベッドシーンを砂浜のシーンに差し替えた模様です。
いずれにしても、若いズルリーニの過激な演出はプロデューサーにカットされて、思い通りには出来なかったのかも知れませんね。
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