テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

フォードvsフェラーリ

2022-12-17 | ドラマ
(2019/ジェームズ・マンゴールド監督・共同製作/マット・デイモン(=キャロル・シェルビー)、クリスチャン・ベイル(=ケン・マイルズ)、ジョン・バーンサル(=リー・アイアコッカ)、カトリーナ・バルフ(=モリー・マイルズ)、トレイシー・レッツ(=ヘンリー・フォード2世)、ジョシュ・ルーカス(=レオ・ビーブ)/153分)


ロン・ハワード作品だと思って借りてきたら違ってて、調べたら彼のレース映画は「ラッシュ/プライドと友情 (2013)」でした。
 こちらは「フォードvsフェラーリ」。原題も【FORD V FERRARI】ですが、ヨーロッパでは「LE MANS '66」というタイトルで公開されたらしいです。つまり66年のル・マンでのフォード対フェラーリの戦いを描いた作品なんですね。
 売上低下に苦しんでいたフォードが起死回生を狙ってスポーツ・カーの耐久レースに挑む。名をあげてベビーブーマーの若者達にアピールしようと考えたわけですが、それはドラマの背景であって、中身はフォード側のレーシングチームの責任者キャロル・シェルビーとレースマシンの改良に尽力しドライバーも務めたケン・マイルズの友情を描いた作品なんですね。
 ル・マンといえばスティーブ・マックィーン主演の「栄光のル・マン (1971)」という傑作がありますが、なんだかレースシーンはアレを思い出すような格好良さでありました。参考にしたのかな。2時間半の長尺ですが、飽きずに魅せる落ち着いた語り口がジェームズ・マンゴールド監督らしい佳作でした。

マット・デイモン扮するキャロル・シェルビーはアメリカ人として唯一ル・マンでの優勝経験がある男。しかし長年の過酷なレース人生で心臓を悪くしドライバーは引退、スポーツカーの製造、販売をしている。映画は、まだ若いシェルビーがル・マンでの優勝後、医者からドライバーを止めるよう言われるシーンから始まります。

クリスチャン・ベイル扮するケン・マイルズは経験豊かなドライバーであり車の事も熟知している男だが短気で怒りっぽいのが難点。つまり協調性に問題ありと言うのがレース仲間のもっぱらの評判なんだが、シェルビーは一目置いている。妻と息子が一人。自動車整備工場を細々とやりながら折々にレースに参加する、そんな生活だがやがて税金の滞納から工場を差し押さえられてしまう。

後にフォード車の社長になるリー・アイアコッカは、ヘンリー・フォード2世にル・マン参加のアイディアを進言する重役として登場する。当初はファラ―リを傘下に収める方向で動いていたが交渉は決裂、ならばとシェルビーに声を掛けるわけです。シェルビーは一も二もなく受けるわけですが、早速マイルズにも声を掛ける。
 マイルズはフォードという大会社故に何かと動きづらくなるのではないかと懸念を示す。この辺りただの偏屈者ではないと観客に思わせうキャラ設定が宜しいです。工場の差し押さえで妻にはもうレースには出ずに地道に働くと言った手前もあって、シェルビーへの返事は延ばしていたのだが・・・。

フォードの副社長レオ・ビーブはマイルスの懸念が大当たりの悪役として配置される。大会社によく居る上役へのごますり男ですな。マイルズをチームから排除するように動き、またレースでのシェルビーの方針の邪魔をしたりする。
 扮するのはジョシュ・ルーカス。どこかで見た顔だなぁと思ったら、「アンフィニッシュ・ライフ」の優しい保安官でありました。あまりに印象が違って最初は思い出せませんでした。

お薦め度は★三つ。一見の価値あり。
 ラストシーンではシェルビーとマイルズのその後がナレーションされます。マイルズはレースの世界で殿堂入りし、シェルビーはカーデザイナーとして成功したと。





・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 

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