Vol.32 手抜きサービスが顧客を掴む!?
■ナビゲーター: 西内孝文 氏
ひげをそったばかりなのに床屋でまたひげをそられたり、外でおいしいディナーを楽しみたいのに、温泉旅館に泊まるとありきたりの食事がついてきたりするなどという経験はありませんか。しかもこっちのスケジュールはお構いなし。当たり前だからという理由で、いらないサービスにお金を払わなければいけない例がたくさんあります。今日はそんな不満にスポットライトを当ててみます。
床屋のサービス
昔ながらの床屋に行くと、髪をカットして、ひげや顔をそり、頭を洗って、整髪料をつけてきっちりセットするという一連のサービスが行われます。ちょっと気が利いたところでは耳かき、ちょっとしたマッサージ、鼻毛切りなどもついてきます。これらはいつも通い慣れている顧客にとってはあまりにも当たり前になっていて、疑問すら持たない場合がほとんどでした。
たとえば、こういう場合はどうでしょう。日曜日の朝にひげを剃ったばかりで床屋に行ったとすると、わざわざもう一度ひげをそってもらう必要はありません。ましてや平日、会社から自宅への帰り際に立ち寄った床屋では、家に帰って風呂に入って寝るだけですから、わざわざ頭を洗ってもらう必要もないでしょうし、ひげそりやセットなどまったく不要です。顧客にとっては、カットさえしてもらえれば、あとは安い方がよっぽどいいわけです。
サービスには当然、人件費がかかりますので、価格に上乗せされることになります。よくよく考えてみると、顧客が気づかないのをいいことに不必要なサービスを売りつけていたと言い換えることもできそうです。