日々の事から

日々のあれこれ   by Kirari

命に触れること。

2019-09-08 00:05:16 | 日記
先日の夜のこと。
いつものように残業しての帰り。数日雷雨が多く、この日も激しい雨の合間の小止みの時間だった。
もう少しで自宅周辺という路上で、横向きに道を塞ぐものが見えた。
道幅の左右は空いているようなので、『落ちているものを避ける場合、右か左か…』と数秒思考をめぐらし、物体を右にして左から通過するのを選んだ。
通り過ぎながら落ちているものを目視。
野生のイタチのようだった。
大きさはハクビシンのようにでっぷりしている。でも、鼻筋が短く顔が丸めなのでいたちと思う。きっと車が来てるのに横切ってしまったのだろう。
数m通り過ぎて、前を向いたままバイクを止めて数秒考えた。
思い浮かんだのは親しかった友人が、そういうものを見つけると必ず路肩に寄せてあげていたこと。持っているタオルでも何でも使って必ず。
私はそういうものに触れるのが苦手だ。
しかしそれは、母親が刷り込んだ考えだ。
何の理由か分からないが、路上に落ちて死んでいた雀を触ろうとした幼い私に『汚いから触っちゃだめ。』って。
確かに、綺麗に生活している人間が、野生のものに急に接したら強い病原菌なんかにやられることがある。間違った教えではない。

少し迷ったが『えーい』とばかりにUターン。
片道1車線で、その時間は殆ど車は通らないから決心した。
周辺が暗いので、あとからくる車に再度轢かれるのも時間の問題だ。

前側か後ろ側かか‥バイクをどっち側に止めるかも迷った。
近くにアパートがあるのでエンジンは切る。
この日に限って、雨用のグローブがなく、素手だった。
頭をめぐらしたが、大きめのタオルなんかは持っていなかったので、バイクのかごに入っていたビニールの袋を手に取り、死んでいるイタチを包むように脇のあたりを持ち上げた。

『あ‥』っと思った。
まだ轢かれたばかりだったのだろう。随分身体が温かだった(._.)
脳震盪を起こしていたら助かるのかもしれないと、顔を覗き込んだり少し揺すったりしたが、目を閉じた苦しそうな顔つきは変わらなかった。
包んだビニールをずらしたら血がついていたので諦めた。
少しでも柔らかいところ‥と、空き地の草むらに置きかけたが、そこは草刈りが時々行なわれ、そうか持ち主がいるだろうな…と思い直し、すぐ手前の歩道の側溝の蓋の上に横たえた。
ビニールはどうする?
そう思ったが、目印になるし、雨も降っているのでカッパ代わりでいいかもしれない。そのまま着ておいてもらうことにした。

それにしても熱い体温だった。素手で抱き上げたから余計だろう。
ふわふわの毛皮と肉付きと体温と…しっかり記憶に残るものとなった。
ただ生きるために歩いていたのに、人間の使う鉄の塊が飛んでくる日常。
命を落とす野生動物はたくさんいるだろう。
家猫も時々犠牲になっている。

そんな虚しいことを考えながら帰途についた。
バイクだから、カッパを着てる分、自由に作業できたのが良かった。車だったら傘さしてうまくできないところだった。

翌日はその地区の環境課に電話。
埋葬できないのが残念であった。数日悲しい気分を引きずり、毎日そこを通るときは冥福を祈る。子供はいなかったろうか…。



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