日々の事から

日々のあれこれ
by Kirari

読書記録📖

2022-02-23 23:16:09 | 
『水を縫う』 寺地はるな 著 2022.2.12 読了

男の子が縫い物をしてはいけないの?
男の子が料理に興味を持っちゃいけないの?
男の子がピンクの服着ちゃいけないの?

そんな昨今のジェンダーとか話題になりそうな問いがしたくなる。
男の子が縫い物をしなかったら、王様の仕立て屋は女ばかりだった?
男の子が料理しなかったら、有名レストランのシェフは女ばかり?
男の子が明るい色の服を着たって、似合うと思うよ。

何も特別なことじゃない。
既に前から実績のある人たちが頑張ってるじゃないか。
偏見を持つ人は、心が狭いことに気づいてほしい。

小学生の頃、弟が赤い半ズボンをはいていたら、しつこくからかった男子がいた。
私は5歳年上なので、チビに対して酷かと思ったが、『そんなにしつこく言うなら、お前、大人になっても絶対赤いズボンはくなよ! ズボンだけじゃないぞ!赤いもの着るなよ!』と怒鳴り付けたことがあった。
色差別より、性根が腹立たしかった。
赤い半ズボンは、収入が少ない家計をやりくりした結果、母が弟に手作りしてはかせていたズボンだったのだ。
あいつ、赤を着ずに済んだんだろうか。訊いてみたいものだ。

話が逸れたが、この小説は素敵だ。
縫い物が好きな男子の話。
残念だったのは、この男の子の母が、夫の良さをカバーできず離婚しているところ。
でも、全体によくまとまっている。
家族というもの、それぞれ足りないところを補ってまとまった感じ。


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読書記録📖

2022-02-23 22:57:47 | 
『蜜蜂と遠雷』上・下巻 恩田陸 著 2022.2.23 読了

ブームとなった時期は遥かに過ぎて手に取った。なぜなら、私、あまのじゃくで流行りものが嫌いなのだ。
確か、この本で恩田陸という作家を知り、興味を持ち、読もうと思ったんだったと思う。
素直に読み出せなかったが、どこかで最初の方を読み進んだ記憶はあった。立ち読みだっただろうか。
読んでしまうと意に反するので、縁があればまた読むだろうと思いつつ、面白さを感じ始め、あった場所に置き直したのを覚えている。

そうしてようやく今、手に取った。
かつて、どこまで読んだのだろう...と思って読み始めたら、意外にも40ページくらいは読んでいた。どこでこんなに読んだんだろう? 立ち読みにしては結構読んでいる(笑)
初めて接する小説家の本の選び方は、急に開いたページの文が面白味を感じるか、読みやすい言い回しか、で決める。
恩田さんは聞いてはいたものの情報がなく、おっかなびっくり手に取った。
てっきり男性だと思っていた。
冒頭で面白味を感じても1冊通して読めない人もいるなか、恩田さんは裏切らなかった。
時々間延びした小説もあるが、それは私の感覚が悪いのだろうと思っている。多分、書かれている方面の知識がないのだろう。
間延びと感じる部分の良さを語ってくれる人がいるといいんだけど...

蜜蜂と遠雷は、裏切らないストーリーだった。緩急あり、引き込まれる部分があり。何より良いのは、天才的才能を自然に書いてくれているところ。
個性や資質はきっかけによって伸び幅が変わると私も信じている。
そういう考え方を『根拠がない』と否定しない感じがすごくいい。

人には無限の可能性がある、と思わせてくれる夢のある小説だ。
実際、そんな世の中ならいいのにね。
才能があっても、傍にいる大人がそうでないとそのまま埋もれて死んでいく。
活かされたい才能に気づかず過ぎていく平凡な人生。もったいないこと、この上ない。
大したことがない自分をアピールする場合もある。あれは痛々しい。

分厚い本なので、間に数冊読んでいる。時間のあるときにじっくり読むといい。






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