マスターズに初出場した石川遼は、さすがに“重圧”にはね返された。よく“オーガスタには魔物がすむ”…といわれている。1週間以上前から現地入りし、数ラウンドをこなした。練習では2アンダーでも回った。
準備はできていたが、本番では「3万人を超すギャラリー、ホールを埋め尽くすパトロンたちが異様だった」。独特のムードに自己を見失った。「何とか楽しもうとしたが、2日間36ホール、1度も楽しめなかった」。素直な感想があった。
石川の初の米ツアー挑戦、マスターズを含め、4試合で3度の予選落ちに終わったが、気がかりなことがあった。渡米前に突然スイング改造を試みた。従来スクエアに構えていたアドレスで、右肩を下げた。そして渡米中に再び、元に戻すなど試行錯誤を繰り返していた、というのである。
進化を求め、新しいことを試みる気持ちは大事であるが、本格的なシーズン・インを前にしたいま何故なのか…という疑問は残る。
今大会のデータによればフェアウエーキープ率は2日間、28ホール中14ホールで50%、下から3番目の低い数字。パーオン率も36ホール中19ホールの52・8%で71位タイと、これも下位…。米ツアーで戦うためにはショットの精度を上げることが今後の課題となるが、スイングをいじったことも一因かもしれない。
かといって、遼の魅力が消えたわけではない。ドライバーの平均飛距離は2日間で、平均291・5ヤードと全体の6位、すでに“世界基準”にあることを示した。2000年から米ツアーに参戦していた丸山茂樹が常に口にしていたのが、「日本人に決定的に足りないものはドライバーの飛距離…」だった。遼の飛ばし技は十分に通用することが証明された。
小技、テクニックは練習を重ねることによって伸びるし、上達する、というが、飛距離は練習だけではどうにもならない壁があるという。それが“天性の才能”…。野球の世界でも「守備は練習でうまくなるけど、飛距離は教えてどうなるものじゃあない」は868号の“世界一キング”、王貞治氏(68)の言葉である。遼はマスターズで挫折を味わったが、飛距離という天賦の才能を米国で改めて実感したは有意義であっただろう。
今週、男子ゴルフ国内ツアー「東建ホームメイトカップ」(三重・東建多度CC名古屋)が開幕する。石川も参戦する。「楽しめなかった」マスターズだが、「無駄なことは一つもなかった」とも。経験という財産を身につけた。今度は“生見”してこよう。(産経新聞)
準備はできていたが、本番では「3万人を超すギャラリー、ホールを埋め尽くすパトロンたちが異様だった」。独特のムードに自己を見失った。「何とか楽しもうとしたが、2日間36ホール、1度も楽しめなかった」。素直な感想があった。
石川の初の米ツアー挑戦、マスターズを含め、4試合で3度の予選落ちに終わったが、気がかりなことがあった。渡米前に突然スイング改造を試みた。従来スクエアに構えていたアドレスで、右肩を下げた。そして渡米中に再び、元に戻すなど試行錯誤を繰り返していた、というのである。
進化を求め、新しいことを試みる気持ちは大事であるが、本格的なシーズン・インを前にしたいま何故なのか…という疑問は残る。
今大会のデータによればフェアウエーキープ率は2日間、28ホール中14ホールで50%、下から3番目の低い数字。パーオン率も36ホール中19ホールの52・8%で71位タイと、これも下位…。米ツアーで戦うためにはショットの精度を上げることが今後の課題となるが、スイングをいじったことも一因かもしれない。
かといって、遼の魅力が消えたわけではない。ドライバーの平均飛距離は2日間で、平均291・5ヤードと全体の6位、すでに“世界基準”にあることを示した。2000年から米ツアーに参戦していた丸山茂樹が常に口にしていたのが、「日本人に決定的に足りないものはドライバーの飛距離…」だった。遼の飛ばし技は十分に通用することが証明された。
小技、テクニックは練習を重ねることによって伸びるし、上達する、というが、飛距離は練習だけではどうにもならない壁があるという。それが“天性の才能”…。野球の世界でも「守備は練習でうまくなるけど、飛距離は教えてどうなるものじゃあない」は868号の“世界一キング”、王貞治氏(68)の言葉である。遼はマスターズで挫折を味わったが、飛距離という天賦の才能を米国で改めて実感したは有意義であっただろう。
今週、男子ゴルフ国内ツアー「東建ホームメイトカップ」(三重・東建多度CC名古屋)が開幕する。石川も参戦する。「楽しめなかった」マスターズだが、「無駄なことは一つもなかった」とも。経験という財産を身につけた。今度は“生見”してこよう。(産経新聞)