今、国家資格の議論が白熱しています
日本臨床心理士会は国家資格化を目指しています。しかし養成大学などからは慎重論も出ていて、今後まだ紆余曲折が予想されます。
私は20年以上培ってきた「臨床心理士ブランド」は大変大きなものがあると思っています。実際、臨床心理士と名乗った時、以前は「それ何?」と言う反応でしたが、今はほぼ国民的に定着したと思います。
今、社会福祉士の資格も、8年目に専門社会福祉士、さらに、スーパーバイズ資格を作ろうとしています。先駆者としては栄養士、管理栄養士。医師の認定資格。看護師の分野別資格などさまざまな制度が作られてきました。
教員も、大学院6年で資格を取り、その後研修資格で上がり、管理教師資格取得者のみが管理職になれるという考えが協議されるようです。
私は心理の国家資格は医療分野だけで良いのではと思います。経験から医療以外の分野は、純粋な心理技法だけでは解決できる問題は少ないと感じています。
教育、健全育成、被害者、子育てなどの現場が要請するものもソーシャルワークが入ったものがほとんどです。
今、議論している横断的国家資格の意味と、社会が要請している横断的資格の意味が異なるような気がしてなりません。
養成大学も心理的ソーシャルワーク論とか、家族論、地域福祉論などの社会学系の講座を設ける必要があります。
そうしないと医療以外の分野は社会福祉士の領域に取り込まれるように感じてなりません。実際スクールカウンセラーにもっとコーディネート能力があれば、SSW制度が導入されることも無かったように思います。
基礎は心理でも、現場で要請されるものをもう一度考えないといけない時期に来ていると思います。
>養成大学も心理的ソーシャルワーク論とか、家族論、地域福祉論などの社会学系の講座を設ける必要があります。
全く同感です。私は被害者支援に携わっていますので、警察署に付きそう、裁判を傍聴しその直後に被害者家族と話をする、といったことは、当たり前の業務なんです。臨床心理学的地域援助はまさにそういった活動ですよね。学校も一人の対象として見立てれば、地域にすんでいる人を訪問するのは当然です。大学の臨床心理センターで、不登校の相談を受けても、一度は、その児童生徒の学校を訪問するようにしています。行ってみると感じること、わかることがたくさんありますから。
さて、私は、横断的な資格が必要だと思います。司法でも、裁判員制度での心のケアの専門家として、国資格が必要です。海外での災害後の心のケアに国から派遣となったとき、医療だけの資格だと、医療チームの一員のみの派遣になります。教育の分野でも、支援は必要です。産業、福祉の分野でも、国資格の方が、あらゆる法律に位置づけられる可能性がうまれます。
電子六法全書で、「臨床心理士」 とうっても、法令、条例どちらも0件です。ちなみに、「精神保健福祉士」は、法令7件、条例171件です。
国のきまりのなかに、きちんと位置づけられることが国民の福利につながると思いますが、いかがでしょうか。
昨日、県士会理事会で資格問題を討議しましたが、我々の持ち合わしている情報は会報程度で、現実的な危機感などが共有できませんでした。
法人社員としては、国家資格成立後は、公益法人臨床心理士会がどうなるのか、資格がどうなるのか、最も知りたい部分の説明が無いと言う事の不安が大きいと思います。
このあたりの整理がないと、法人としての賛成と言うのは難しいように感じます。まず執行部が社員に対してきちんと整理して発表すべきと思います。
私は横断的国家資格は賛成です。しかし、今審議している団体は、医師会、看護協会等極めて医療色の強い団体が力を持っているように感じています。
本当に横断的資格という事ならば、教育、保育、福祉、法務等まさに横断的な団体を入れた審議をすべきと感じています。
私がとりあえず医療資格と思うのはそのあたりの事を思っているからです。また、国家資格によって、精神保健福祉士、社会福祉士などとの棲み分けで逆に仕事が限定されるような事が懸念されないか。
また、社会福祉士のように資格が直接飯の種にならない制度ならあまり意味も無いし…。
このようなことを考えていました。もちろん県士会長ではなく、個人の考えです。